26 / 143
第二章 芽吹きの祈願祭
女騎士の憂慮
しおりを挟む
「それは卑怯じゃないか?」
「あら。卑怯も戦術のうちよ」
「お前ら……俺が優勝したら覚えてろよ?」
「優勝、できたらいいわね?」
オーレンの笑みが引きつるのを見て、イーリスはせいぜい健闘を祈る、とカップを軽く掲げた。これは、連絡終了の合図でもある。途端に、今日一番の顰め面がオーレンの綺麗な顔に浮かび、こちらも終了の合図として、これ以上の話題の継続を拒否するようにその口に珈琲を含んだ。
その時、城壁の向こうから、昼の二時を知らせる時計塔の鐘の音が微かに聞こえてきた。その音に窓の外へと注意を向ければ、宿舎に出場者を見にやって来る人はその数を減らして、随分と落ち着きを取り戻した様子が目に映る。ラーシュの一家も場所を移動したのか、いつの間にかその姿はない。
「そう言えば……ミュルダール夫人はまだいらしていないんだな」
不意に食堂をぐるりと見まわしたオーレンが、いつもなら見える筈の姿がないことに気付いて目を瞬いた。
ミュルダール夫人――セルマ・ガイランディア・ミュルダール。現国王イェルドの妹で、毎年この祈願祭では女神リーテの代理人、泉の乙女を務める女性だ。
泉の乙女は試合の優勝者に対し、生命の躍動と力強さを示したとして、リーテに代わって生命の杯を授ける役を担う。王都の祈願祭では通例、王妃もしくは王女、王子の配偶者と言った女性王族がその役を務めることになっている。
王妃亡き現在、王子に婚約者もいない王家の中で国王に近しい女性王族として、既に降嫁して王都から離れた都市で暮らしているにも拘らず、セルマが長く担ってきているものだ。
例年であれば、前日の内に入城して午前中は出店を楽しみ、二時の鐘の音の前後には泉の乙女としてこの宿舎に入り、午後の試合の出場者へ言葉をかける。その後、午後からの試合観戦に国王と連れ立って観戦席へ現れるのだ。
そのセルマが、いまだ宿舎に現れない。オーレン以外にもそのことに気付いている者が食堂内にはちらほらいるようで、宿舎入口を気にする素振りが時折見られた。
何か事情を知っているのではないかと物問いたげなオーレンの視線を受けて、イーリスはすまし顔のまま一言を返す。
「夫人ならいらっしゃらないわよ」
イーリスの返答に驚いたオーレンは、だが次の瞬間はっとして、イーリスに顔を寄せた。周囲に聞こえることを危惧して、その声が自然と潜められる。
「まさか、とうとうあの弟至上主義の兄殿下が婚約するのか?」
「違うわよ」
「だったら、弟の方?」
「馬鹿言わないで」
流石にそちらは早すぎる。エイナーは、まだ十歳になったばかりだ。
「それなら――」
ミュルダール夫人が来ない理由は何だ――オーレンの口がそれを言葉にする前に、宿舎の入口が俄かに騒々しくなった。小さなどよめきがさざ波のように広がって、食堂全体に伝播する。
開け放たれている食堂の扉の向こうに皆が注目したところで、廊下を歩く一団の姿がイーリスの座る位置からでもはっきりと見えた。
先頭を進むのは正装に身を固めた国王イェルド。それに続くのはイーリスの主であるキリアン。その後ろを、エイナーが一人の美女の手を取って歩いていく。
宿舎内のどよめきは、どうやらその美女が原因らしかった。
白を基調に、泉の水を表す薄青と木々の芽吹きを表す新緑色を織り交ぜたドレスは、祈願祭で女神リーテの代理人を務める泉の乙女の衣装だ。胸下の切り替えから幾重にも重ねられた薄絹は、美女が歩く度に水中を揺蕩う水草のように揺れ、縫い込まれた銀糸がその動きに合わせて煌めいて、実に美しい。
そして、ドレスに負けず劣らず、その美女を美女足らしめているのが、水に濡れたように艶やかな緑の髪。全体が緩く波打ち、いく房かを真珠の髪飾りと共に編み込んだその髪は、白くほっそりとした美女の体を彩るように滑り、イーリスが知る姿より一段と清楚な雰囲気が増している。そして、裾の大きく広がった袖に透ける細腕が、なおのこと美女の華奢さを強調していた。
そんな己の格好にか、それとも周囲から浴びせられる視線にか、恥ずかしげに目を伏せてエイナーに手を引かれて歩く美女――ミリアムが、エイナーの上げた声に反応して顔を上げた。
エイナーが声をかけた先にいたのは、兵士と談笑していたレナートだ。彼も話を止めて食堂入口へと目を向けていた為、ごく自然な成り行きで二人の視線は交差する。
「とてもよくお似合いですよ」
さして広くもない食堂内。加えて、全員が入口に注目し、ある意味静まっていたこともあって、レナートが彼女の姿を一言褒める声が、イーリスにも十分聞き取れた。
その瞬間、ミリアムは傍で見ていてもはっきり分かるほど顔を真っ赤にさせて、小さなエイナーの背の後ろに隠れようとしてしまうくらい、盛大に狼狽える。
果たしてこの時、食堂にいてその姿を見ていた何人が、ミリアムのその愛らしさに心奪われただろうか。
その場に留まることをよしとせず、エイナーに先へ進むよう促して足早に食堂前を過ぎていくミリアムのその後ろ姿を、入口近くにいた者達が一斉に目で追いかける様に、イーリスは一人、ほくそ笑んだ。
あれだけの美女ならば、観衆もそれ以外の人間も、必ず一度はその姿に見とれること間違いなしだろう。人を着飾ることを何より喜びとするイーリスの親友は、実にいい仕事をしてくれたものだ。
「……ありゃ、何だ?」
「何って……見ての通り、今年の泉の乙女でしょう」
「そう言うことじゃなくてだなっ?」
突然の美女の来訪に食堂内が沸き立つ中、椅子から乗り出すように体を捻ってミリアムの姿を見ていたオーレンが、くわと目を見開いてイーリスに迫る。
その顔には、事前に知らされなかった悔しさとレナートに対する少しの嫉妬、知っていて黙っていたイーリスへの腹立たしさ、そして理解……様々な感情が混ざり合って現れていた。
「……つまり、だ」
大きく息を吐き、気持ちを落ち着けるように、とんとん、とオーレンの指がテーブルを叩く。
「彼女が例の子供で、噂の眠り姫だと」
「眠り姫?」
「知らないのか? 第二王子が寝たきりのご令嬢に随分ご執心らしいと、兵団内で噂になっているんだよ」
「……へぇ。眠り姫、ね」
頬杖をつき、手慰みにカップの淵を指でつつきながら、イーリスはミリアム達が去った食堂入口を見やった。
王の一団が時間になるまで宿舎内の応接室で過ごすのも、毎年のことだ。きっと今頃は、王族に加えて二組織の団長、副団長と言う面々に囲まれ、一人緊張のただ中にいるであろうミリアムを思って苦笑が零れそうになり、イーリスは努めて表情をそのままに保つ。
「その噂って、王都の人々にも広まっているの?」
「多少は広まっているだろうさ。ただ、色々知っている俺はともかく、眠り姫と今年の泉の乙女がすぐに結びつく奴は、多くはないんじゃないか? それより……」
オーレンの言葉が中途半端に途切れ、彼自身の髪を一房摘まみ上げた。言葉はなくとも、オーレンの言いたいことは分かる。
あの泉の乙女の緑の髪は本物か――そう問いたいのだろう。
イーリスの反応を見極めようと目を眇めたオーレンに対し、イーリスは口角をゆるりと上げた。
それを肯定と取ったオーレンの口から、重いため息が吐き出される。
「……まさか、とは思うんだけどな? ……繋がりがあったり……するのか?」
何と、とも、誰と、ともオーレンは言わなかったが、王都に住む者であれば、ミリアムの髪色を見て勘付かない者はいないだろう。たとえ髪が作り物であったとしても、これから会場に現れるミリアムの姿は、否応なく一人の女性の姿を観衆に想起させる。
テレシアもそれを分かって、敢えてミリアムを彼女の母に似せて飾り立てた。
それだけ彼女の母親の存在はこの王都では大きいものであり、その母親に、彼女はよく似ているのだ。それこそ当時、その姿を直接見たことがなく、少ない肖像画でしか救国の乙女の姿を知らないイーリス達若い世代ですら、気付くほどに。
だからこそイーリスも、オーレンの問いが疑問からのものではなく、確認の為のものであることを理解していた。
オーレンはいかにも否定してほしそうに眉を寄せていたが、イーリスはそれに対して微笑みはそのままに、敢えてオーレンの真似をしてテーブルを指で叩くことで返答する。
途端にオーレンが、肘をついた手で顔を覆って肩を落とした。今にも、そのままテーブルに突っ伏してしまいそうだ。そんなオーレンの指の隙間から、嘘だろ、と小さく声が漏れる。
「引きが強すぎだろう、弟殿下。……大丈夫なのか、それ?」
「私が調べたから、問題ないわ」
イーリスの返答を聞くや否や、オーレンが今度は勢いよく顔を上げ、苛立たしげに髪を掻き上げた。
「……あいつから珈琲なんて貰わなきゃよかったよ」
「そんなことを言って、結局いつも親切にしてくれるじゃない。あなたのそう言うところ、私は好きよ」
「俺の親切は、巡り巡って王都の民の為だ。断じてお前らの為じゃない」
まるで酒を呷るかのように勢い任せに珈琲を飲み干したオーレンは、そのままイーリスの空のカップを手に取ると、席を立った。その背が真っ直ぐ向かうのは、厨房だ。
同じく厨房へと向かうレナートに気付いて足を速め、連れ立って厨房の中へと消えていく二人の姿を見送って、イーリスは一つ小さく息を吐く。
窓の外は、小さな雲が所々に浮いている以外は、相変わらず実に見事に晴れ渡っている。
このまま何事もなく日々が過ぎていけばいい――思わずそう願ってしまいたくなるほどの空模様だが、現実はそう穏やかに過ぎ去ってはくれないだろう。
テーブルに残された紙袋を見やって、イーリスは形のいい眉をわずかに寄せた。
考えるのは、ミリアムのことだ。
イーリスが彼女と初めて対面した日も、先ほども。イーリス達の前で泣き、笑い、戸惑い、喜び、赤面する姿は、至って普通の少女だった。そしてその姿は、実に生き生きとしていた。
少なくとも、ミリアムがこれまでの十六年を生きた、アルグライス王国はモールト領へ実際に足を運び、この目で直に見、調べて得た彼女の暮らし振りを思って、暗鬱とした気持ちで帰城したイーリスの予想を覆すほどには、ミリアムは明るい少女に見えた。
彼女がそこまで明るい表情を見せるのは、日々そばにいて看護を続けたテレシアのお陰か、毎日彼女を見舞ったエイナーのお陰か、はたまた、それが元来の彼女の姿なのかは分からない。だが少なくとも、イーリスが調査をする中で浮かび上がってきたミリアム像とはまるで違って、驚いたのは事実だ。
仮に、イーリスが不在の間にミリアムが心身共にあそこまでの回復を見せたのであれば、それは素直に喜ばしいことだと思う。だが、身分が絶対の国で散々に虐げられてきた彼女のこと。急に他国の王城で手厚くもてなされて、不敬があってはならないと、どこかで無理をしている可能性は否定できない。
キリアンにはイーリスの懸念を伝えてはいるものの、それでも、今回ミリアムに無茶をさせることを、キリアンは結局、本気で止めることはなかった。
一番ミリアムを見ているテレシアがいいと言うのだから、大丈夫――そんなことを言っていたが、テレシアとて完璧ではないし、何より彼女は、時々その思いの強さで突っ走るところがある。それが、かえってミリアムを苦しめるようなことにならなければいいのだが……。
それに、イーリスにはそれとは別に、ミリアムに対して少なからず不安に思う面もあるのだ。
ミリアムは、傍から見る限り、何一つ後悔せず前を向いていた。それは、ミリアム自身が、彼女のいなくなった後のモールト領の様子を知りたがる素振りを見せなかったことからも確かではあるのだろう。
だが、それが反対に、イーリスに不安を覚えさせる。
あの日、涙を流すミリアムに咄嗟にイーリスが差し出したハンカチ。あれは、ミリアムへの手土産にと、彼女が針子として働いていた店で購入したものだった。それも、恐らくはミリアムが刺繍を施しただろう品。
それなのに、ミリアムはそのことに気付く素振りが全くなかった。モールト領で買い求めたのだとイーリスが伝え、差し上げますと言っても、自分が作った品とは結び付ける様子もなく。ただただ、ハンカチを贈られたことに恐縮するばかりで。
店側は、少し前に店を辞めてしまった、一番腕のいい針子の品だと認識していたのに。
店主が辞めてしまった針子のことを口にした時の表情は、後悔に塗れていて。
ある日突然、店の裏口の戸を叩いた薄汚い子供。その子が領主の娘の一人であることに気付いたのに、彼女の申し出通り、何も言わずに雇ってやること以外何もできなかったと嘆いてもいた。
交わす言葉は最小限。誰とも深く関わろうとせず、文句も言わず、ただひたすらに手を動かして、依頼されたものを依頼された通りに無心で作る――その姿は痛ましく、まるで自動で動く針子人形のようだったと、旅行客と言う余所者相手に少しばかり軽くなった口が、そう語っていた。
何を勝手な、と一瞬怒りが沸きもしたが、ミリアムが屋敷から消えても、何食わぬ顔でミリアムの異母妹である娘を連れて意気揚々と出掛ける領主のことを思えば、まだしもこの店主は後悔しているだけ人の心は持っている方だと言えよう。
ここを出て行って幸せになっているといいですね、とたいして気のない素振りで相槌を打ったイーリスに返ってきた言葉が、今でも心にずしりと響く。
『今よりましな生活はできても、お嬢様一人では、幸せにはなれんでしょう』
一人――そう。ミリアムは、一人なのだ。
ミリアムを一番に庇護すべき存在から、庇護されるどころか虐待され続けてきた彼女には、そばにいて安心できる存在がいない。最も身近な者の残虐な行為の所為で、そんな存在を求めることもしない。
今の彼女が心から信頼し、一番に頼り、その手を伸ばすのは、唯一亡くなった母親だけ。ミリアムが母親の形見の短剣を目にして涙し、もう離さないとばかりに胸に抱いた姿からも、それは明らかだ。
ミリアムは、母親の存在だけを心の支えに、これまでを生きてきたのだろう。だから、ミリアムの内側には、母親以外の存在がない。
アルグライスで、少なからずミリアムに関わった人々のことを気に留めないのも、針子として働いた自分が、これまで何を作ってきたのかを覚えていないのも、それらは彼女にとって、記憶に強く留めておくほど大事なものではないから。
だが、死者は生者に寄り添うことはできないのだ。同じように、生者が死者に何かを求めても、過ぎ去った思い出しか死者には存在しない。母親の存在に縋っていては、駄目なのだ。
生きている彼女に必要なのは、彼女と同じく今を生き、彼女と共にこの先を見たいと願ってくれる誰か。少なくとも、ミリアムが心を開いて向き合える者。
その存在をいまだ得られていないミリアムは、いつかどこかでぽきりと折れてしまうのではないか――イーリスには、そう思えてならない。
親交を深めてほしいとミリアムに対して口にしたのも、ミリアムを巻き込んでしまった者の一人としての責任からと言うこともあるが、せめて友として、彼女にそのことを気付かせる手助けができればとの思いからだった。
ミリアム自身はまだそれと自覚していないが、彼女の容姿、出自も併せて、エイナーの誘拐に巻き込まれたが故に、彼女はこの国では「ただの被害者」ではいられないのだから。
その為にも、イーリスは彼女の為に最善を尽くすと決めている。
まずは今日。この芽吹きの祈願祭を、無事に終わらせる。
広げられた紙袋を、決意を込めるように丸めて手の中に収めた。
その手の向こう側、食堂の入口にラーシュが現れ、更にその後ろから、試合の進行係の兵士が姿を見せる。
その兵士が、午後最初の試合の出場者であるイーリスとラーシュの名を呼ぶ声に、イーリスは静かに立ち上がった。
「悪いけど、手加減はしないわよ」
「勿論。自分も、簡単に負けるつもりはないんで」
短く言葉を交わし、兵士の後について、イーリスはラーシュと共に宿舎を後にした。
「あら。卑怯も戦術のうちよ」
「お前ら……俺が優勝したら覚えてろよ?」
「優勝、できたらいいわね?」
オーレンの笑みが引きつるのを見て、イーリスはせいぜい健闘を祈る、とカップを軽く掲げた。これは、連絡終了の合図でもある。途端に、今日一番の顰め面がオーレンの綺麗な顔に浮かび、こちらも終了の合図として、これ以上の話題の継続を拒否するようにその口に珈琲を含んだ。
その時、城壁の向こうから、昼の二時を知らせる時計塔の鐘の音が微かに聞こえてきた。その音に窓の外へと注意を向ければ、宿舎に出場者を見にやって来る人はその数を減らして、随分と落ち着きを取り戻した様子が目に映る。ラーシュの一家も場所を移動したのか、いつの間にかその姿はない。
「そう言えば……ミュルダール夫人はまだいらしていないんだな」
不意に食堂をぐるりと見まわしたオーレンが、いつもなら見える筈の姿がないことに気付いて目を瞬いた。
ミュルダール夫人――セルマ・ガイランディア・ミュルダール。現国王イェルドの妹で、毎年この祈願祭では女神リーテの代理人、泉の乙女を務める女性だ。
泉の乙女は試合の優勝者に対し、生命の躍動と力強さを示したとして、リーテに代わって生命の杯を授ける役を担う。王都の祈願祭では通例、王妃もしくは王女、王子の配偶者と言った女性王族がその役を務めることになっている。
王妃亡き現在、王子に婚約者もいない王家の中で国王に近しい女性王族として、既に降嫁して王都から離れた都市で暮らしているにも拘らず、セルマが長く担ってきているものだ。
例年であれば、前日の内に入城して午前中は出店を楽しみ、二時の鐘の音の前後には泉の乙女としてこの宿舎に入り、午後の試合の出場者へ言葉をかける。その後、午後からの試合観戦に国王と連れ立って観戦席へ現れるのだ。
そのセルマが、いまだ宿舎に現れない。オーレン以外にもそのことに気付いている者が食堂内にはちらほらいるようで、宿舎入口を気にする素振りが時折見られた。
何か事情を知っているのではないかと物問いたげなオーレンの視線を受けて、イーリスはすまし顔のまま一言を返す。
「夫人ならいらっしゃらないわよ」
イーリスの返答に驚いたオーレンは、だが次の瞬間はっとして、イーリスに顔を寄せた。周囲に聞こえることを危惧して、その声が自然と潜められる。
「まさか、とうとうあの弟至上主義の兄殿下が婚約するのか?」
「違うわよ」
「だったら、弟の方?」
「馬鹿言わないで」
流石にそちらは早すぎる。エイナーは、まだ十歳になったばかりだ。
「それなら――」
ミュルダール夫人が来ない理由は何だ――オーレンの口がそれを言葉にする前に、宿舎の入口が俄かに騒々しくなった。小さなどよめきがさざ波のように広がって、食堂全体に伝播する。
開け放たれている食堂の扉の向こうに皆が注目したところで、廊下を歩く一団の姿がイーリスの座る位置からでもはっきりと見えた。
先頭を進むのは正装に身を固めた国王イェルド。それに続くのはイーリスの主であるキリアン。その後ろを、エイナーが一人の美女の手を取って歩いていく。
宿舎内のどよめきは、どうやらその美女が原因らしかった。
白を基調に、泉の水を表す薄青と木々の芽吹きを表す新緑色を織り交ぜたドレスは、祈願祭で女神リーテの代理人を務める泉の乙女の衣装だ。胸下の切り替えから幾重にも重ねられた薄絹は、美女が歩く度に水中を揺蕩う水草のように揺れ、縫い込まれた銀糸がその動きに合わせて煌めいて、実に美しい。
そして、ドレスに負けず劣らず、その美女を美女足らしめているのが、水に濡れたように艶やかな緑の髪。全体が緩く波打ち、いく房かを真珠の髪飾りと共に編み込んだその髪は、白くほっそりとした美女の体を彩るように滑り、イーリスが知る姿より一段と清楚な雰囲気が増している。そして、裾の大きく広がった袖に透ける細腕が、なおのこと美女の華奢さを強調していた。
そんな己の格好にか、それとも周囲から浴びせられる視線にか、恥ずかしげに目を伏せてエイナーに手を引かれて歩く美女――ミリアムが、エイナーの上げた声に反応して顔を上げた。
エイナーが声をかけた先にいたのは、兵士と談笑していたレナートだ。彼も話を止めて食堂入口へと目を向けていた為、ごく自然な成り行きで二人の視線は交差する。
「とてもよくお似合いですよ」
さして広くもない食堂内。加えて、全員が入口に注目し、ある意味静まっていたこともあって、レナートが彼女の姿を一言褒める声が、イーリスにも十分聞き取れた。
その瞬間、ミリアムは傍で見ていてもはっきり分かるほど顔を真っ赤にさせて、小さなエイナーの背の後ろに隠れようとしてしまうくらい、盛大に狼狽える。
果たしてこの時、食堂にいてその姿を見ていた何人が、ミリアムのその愛らしさに心奪われただろうか。
その場に留まることをよしとせず、エイナーに先へ進むよう促して足早に食堂前を過ぎていくミリアムのその後ろ姿を、入口近くにいた者達が一斉に目で追いかける様に、イーリスは一人、ほくそ笑んだ。
あれだけの美女ならば、観衆もそれ以外の人間も、必ず一度はその姿に見とれること間違いなしだろう。人を着飾ることを何より喜びとするイーリスの親友は、実にいい仕事をしてくれたものだ。
「……ありゃ、何だ?」
「何って……見ての通り、今年の泉の乙女でしょう」
「そう言うことじゃなくてだなっ?」
突然の美女の来訪に食堂内が沸き立つ中、椅子から乗り出すように体を捻ってミリアムの姿を見ていたオーレンが、くわと目を見開いてイーリスに迫る。
その顔には、事前に知らされなかった悔しさとレナートに対する少しの嫉妬、知っていて黙っていたイーリスへの腹立たしさ、そして理解……様々な感情が混ざり合って現れていた。
「……つまり、だ」
大きく息を吐き、気持ちを落ち着けるように、とんとん、とオーレンの指がテーブルを叩く。
「彼女が例の子供で、噂の眠り姫だと」
「眠り姫?」
「知らないのか? 第二王子が寝たきりのご令嬢に随分ご執心らしいと、兵団内で噂になっているんだよ」
「……へぇ。眠り姫、ね」
頬杖をつき、手慰みにカップの淵を指でつつきながら、イーリスはミリアム達が去った食堂入口を見やった。
王の一団が時間になるまで宿舎内の応接室で過ごすのも、毎年のことだ。きっと今頃は、王族に加えて二組織の団長、副団長と言う面々に囲まれ、一人緊張のただ中にいるであろうミリアムを思って苦笑が零れそうになり、イーリスは努めて表情をそのままに保つ。
「その噂って、王都の人々にも広まっているの?」
「多少は広まっているだろうさ。ただ、色々知っている俺はともかく、眠り姫と今年の泉の乙女がすぐに結びつく奴は、多くはないんじゃないか? それより……」
オーレンの言葉が中途半端に途切れ、彼自身の髪を一房摘まみ上げた。言葉はなくとも、オーレンの言いたいことは分かる。
あの泉の乙女の緑の髪は本物か――そう問いたいのだろう。
イーリスの反応を見極めようと目を眇めたオーレンに対し、イーリスは口角をゆるりと上げた。
それを肯定と取ったオーレンの口から、重いため息が吐き出される。
「……まさか、とは思うんだけどな? ……繋がりがあったり……するのか?」
何と、とも、誰と、ともオーレンは言わなかったが、王都に住む者であれば、ミリアムの髪色を見て勘付かない者はいないだろう。たとえ髪が作り物であったとしても、これから会場に現れるミリアムの姿は、否応なく一人の女性の姿を観衆に想起させる。
テレシアもそれを分かって、敢えてミリアムを彼女の母に似せて飾り立てた。
それだけ彼女の母親の存在はこの王都では大きいものであり、その母親に、彼女はよく似ているのだ。それこそ当時、その姿を直接見たことがなく、少ない肖像画でしか救国の乙女の姿を知らないイーリス達若い世代ですら、気付くほどに。
だからこそイーリスも、オーレンの問いが疑問からのものではなく、確認の為のものであることを理解していた。
オーレンはいかにも否定してほしそうに眉を寄せていたが、イーリスはそれに対して微笑みはそのままに、敢えてオーレンの真似をしてテーブルを指で叩くことで返答する。
途端にオーレンが、肘をついた手で顔を覆って肩を落とした。今にも、そのままテーブルに突っ伏してしまいそうだ。そんなオーレンの指の隙間から、嘘だろ、と小さく声が漏れる。
「引きが強すぎだろう、弟殿下。……大丈夫なのか、それ?」
「私が調べたから、問題ないわ」
イーリスの返答を聞くや否や、オーレンが今度は勢いよく顔を上げ、苛立たしげに髪を掻き上げた。
「……あいつから珈琲なんて貰わなきゃよかったよ」
「そんなことを言って、結局いつも親切にしてくれるじゃない。あなたのそう言うところ、私は好きよ」
「俺の親切は、巡り巡って王都の民の為だ。断じてお前らの為じゃない」
まるで酒を呷るかのように勢い任せに珈琲を飲み干したオーレンは、そのままイーリスの空のカップを手に取ると、席を立った。その背が真っ直ぐ向かうのは、厨房だ。
同じく厨房へと向かうレナートに気付いて足を速め、連れ立って厨房の中へと消えていく二人の姿を見送って、イーリスは一つ小さく息を吐く。
窓の外は、小さな雲が所々に浮いている以外は、相変わらず実に見事に晴れ渡っている。
このまま何事もなく日々が過ぎていけばいい――思わずそう願ってしまいたくなるほどの空模様だが、現実はそう穏やかに過ぎ去ってはくれないだろう。
テーブルに残された紙袋を見やって、イーリスは形のいい眉をわずかに寄せた。
考えるのは、ミリアムのことだ。
イーリスが彼女と初めて対面した日も、先ほども。イーリス達の前で泣き、笑い、戸惑い、喜び、赤面する姿は、至って普通の少女だった。そしてその姿は、実に生き生きとしていた。
少なくとも、ミリアムがこれまでの十六年を生きた、アルグライス王国はモールト領へ実際に足を運び、この目で直に見、調べて得た彼女の暮らし振りを思って、暗鬱とした気持ちで帰城したイーリスの予想を覆すほどには、ミリアムは明るい少女に見えた。
彼女がそこまで明るい表情を見せるのは、日々そばにいて看護を続けたテレシアのお陰か、毎日彼女を見舞ったエイナーのお陰か、はたまた、それが元来の彼女の姿なのかは分からない。だが少なくとも、イーリスが調査をする中で浮かび上がってきたミリアム像とはまるで違って、驚いたのは事実だ。
仮に、イーリスが不在の間にミリアムが心身共にあそこまでの回復を見せたのであれば、それは素直に喜ばしいことだと思う。だが、身分が絶対の国で散々に虐げられてきた彼女のこと。急に他国の王城で手厚くもてなされて、不敬があってはならないと、どこかで無理をしている可能性は否定できない。
キリアンにはイーリスの懸念を伝えてはいるものの、それでも、今回ミリアムに無茶をさせることを、キリアンは結局、本気で止めることはなかった。
一番ミリアムを見ているテレシアがいいと言うのだから、大丈夫――そんなことを言っていたが、テレシアとて完璧ではないし、何より彼女は、時々その思いの強さで突っ走るところがある。それが、かえってミリアムを苦しめるようなことにならなければいいのだが……。
それに、イーリスにはそれとは別に、ミリアムに対して少なからず不安に思う面もあるのだ。
ミリアムは、傍から見る限り、何一つ後悔せず前を向いていた。それは、ミリアム自身が、彼女のいなくなった後のモールト領の様子を知りたがる素振りを見せなかったことからも確かではあるのだろう。
だが、それが反対に、イーリスに不安を覚えさせる。
あの日、涙を流すミリアムに咄嗟にイーリスが差し出したハンカチ。あれは、ミリアムへの手土産にと、彼女が針子として働いていた店で購入したものだった。それも、恐らくはミリアムが刺繍を施しただろう品。
それなのに、ミリアムはそのことに気付く素振りが全くなかった。モールト領で買い求めたのだとイーリスが伝え、差し上げますと言っても、自分が作った品とは結び付ける様子もなく。ただただ、ハンカチを贈られたことに恐縮するばかりで。
店側は、少し前に店を辞めてしまった、一番腕のいい針子の品だと認識していたのに。
店主が辞めてしまった針子のことを口にした時の表情は、後悔に塗れていて。
ある日突然、店の裏口の戸を叩いた薄汚い子供。その子が領主の娘の一人であることに気付いたのに、彼女の申し出通り、何も言わずに雇ってやること以外何もできなかったと嘆いてもいた。
交わす言葉は最小限。誰とも深く関わろうとせず、文句も言わず、ただひたすらに手を動かして、依頼されたものを依頼された通りに無心で作る――その姿は痛ましく、まるで自動で動く針子人形のようだったと、旅行客と言う余所者相手に少しばかり軽くなった口が、そう語っていた。
何を勝手な、と一瞬怒りが沸きもしたが、ミリアムが屋敷から消えても、何食わぬ顔でミリアムの異母妹である娘を連れて意気揚々と出掛ける領主のことを思えば、まだしもこの店主は後悔しているだけ人の心は持っている方だと言えよう。
ここを出て行って幸せになっているといいですね、とたいして気のない素振りで相槌を打ったイーリスに返ってきた言葉が、今でも心にずしりと響く。
『今よりましな生活はできても、お嬢様一人では、幸せにはなれんでしょう』
一人――そう。ミリアムは、一人なのだ。
ミリアムを一番に庇護すべき存在から、庇護されるどころか虐待され続けてきた彼女には、そばにいて安心できる存在がいない。最も身近な者の残虐な行為の所為で、そんな存在を求めることもしない。
今の彼女が心から信頼し、一番に頼り、その手を伸ばすのは、唯一亡くなった母親だけ。ミリアムが母親の形見の短剣を目にして涙し、もう離さないとばかりに胸に抱いた姿からも、それは明らかだ。
ミリアムは、母親の存在だけを心の支えに、これまでを生きてきたのだろう。だから、ミリアムの内側には、母親以外の存在がない。
アルグライスで、少なからずミリアムに関わった人々のことを気に留めないのも、針子として働いた自分が、これまで何を作ってきたのかを覚えていないのも、それらは彼女にとって、記憶に強く留めておくほど大事なものではないから。
だが、死者は生者に寄り添うことはできないのだ。同じように、生者が死者に何かを求めても、過ぎ去った思い出しか死者には存在しない。母親の存在に縋っていては、駄目なのだ。
生きている彼女に必要なのは、彼女と同じく今を生き、彼女と共にこの先を見たいと願ってくれる誰か。少なくとも、ミリアムが心を開いて向き合える者。
その存在をいまだ得られていないミリアムは、いつかどこかでぽきりと折れてしまうのではないか――イーリスには、そう思えてならない。
親交を深めてほしいとミリアムに対して口にしたのも、ミリアムを巻き込んでしまった者の一人としての責任からと言うこともあるが、せめて友として、彼女にそのことを気付かせる手助けができればとの思いからだった。
ミリアム自身はまだそれと自覚していないが、彼女の容姿、出自も併せて、エイナーの誘拐に巻き込まれたが故に、彼女はこの国では「ただの被害者」ではいられないのだから。
その為にも、イーリスは彼女の為に最善を尽くすと決めている。
まずは今日。この芽吹きの祈願祭を、無事に終わらせる。
広げられた紙袋を、決意を込めるように丸めて手の中に収めた。
その手の向こう側、食堂の入口にラーシュが現れ、更にその後ろから、試合の進行係の兵士が姿を見せる。
その兵士が、午後最初の試合の出場者であるイーリスとラーシュの名を呼ぶ声に、イーリスは静かに立ち上がった。
「悪いけど、手加減はしないわよ」
「勿論。自分も、簡単に負けるつもりはないんで」
短く言葉を交わし、兵士の後について、イーリスはラーシュと共に宿舎を後にした。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった
ミズノみすぎ
ファンタジー
「黒騎士ゼクード・フォルス。君を竜狩り精鋭部隊【ドラゴンキラー隊】の隊長に任命する」
15歳の春。
念願のS級騎士になった俺は、いきなり国王様からそんな命令を下された。
「隊長とか面倒くさいんですけど」
S級騎士はモテるって聞いたからなったけど、隊長とかそんな重いポジションは……
「部下は美女揃いだぞ?」
「やらせていただきます!」
こうして俺は仕方なく隊長となった。
渡された部隊名簿を見ると隊員は俺を含めた女騎士3人の計4人構成となっていた。
女騎士二人は17歳。
もう一人の女騎士は19歳(俺の担任の先生)。
「あの……みんな年上なんですが」
「だが美人揃いだぞ?」
「がんばります!」
とは言ったものの。
俺のような若輩者の部下にされて、彼女たちに文句はないのだろうか?
と思っていた翌日の朝。
実家の玄関を部下となる女騎士が叩いてきた!
★のマークがついた話数にはイラストや4コマなどが後書きに記載されています。
※2023年11月25日に書籍が発売!
イラストレーターはiltusa先生です!
※コミカライズも進行中!
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる