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38話 男装令嬢は騎士団長に甘えたい ♡
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シャーロットの下着作戦は、想像以上の効果をあげた。
ミアの中で一度果てたサイラスだったが、強靭な肉体を持つせいか、性欲も旺盛だ。
背後からミアを貫いてすぐにサイラスは、ミアを膝に座らせて雄を咥えさせると、自分で腰を振れと要求した。
「殿下が選んだというのは癪に障るが……なかなかそそるな」
唇を舌で湿らすサイラスは、普段の高潔な印象をかなぐり捨てて、ミアを下品に煽ってくる。情欲に潤んだ瞳にミアもぼうっとした。
気が付くとサイラスの肩に手をのせて、膣襞に絡みつく雄を擦り上げていた。動くたびに白濁がにちゃにちゃと卑猥な音を奏でて泡立つ。
その音に鼓動がさらに速まり、体温があがっていく。
「は、あ、はあ、んっ……」
「胎が狭まってきたな……。自ら動く方が興奮するのか」
サイラスはぷるぷると控えめにたわむ乳房に指を沈みこませながら、赤く凝った乳首を爪先で引っ掻いた。
「やん‼あっ……ん」
強烈な刺激に蜜壺は催促されたと思ったのか、こぷりと音を鳴らして愛液を吐き出そうとする。雄を受け入れるため、健気に潤いを増していく膣内の締め付けを堪えるように、サイラスは眉を寄せた。
艶めかしい顔にミアは、悪戯心を覚える。
――もっとサイラス様を気持ちよくさせたいけど、苦しめたい。
相反する感情に胎の奥がきゅんと切なく痛んだ。鍛え上げた腹筋を使って、膣筒を引き絞るように腰をうねらせる。酒場で腰を振る踊り子を思い出し、上下だけでなく、左右のグラインドも加えてみた。
すると、腹側にぴりっと癖になる箇所を見つけ、ミアは雁首が当たるように小刻みに雄を襞に擦りつけた。
――何これ、気持ちいい……。
「あん、あん、あああっ!」
犬のおすわりのごとく膝を立てて、性器を喰い締めながら出し挿れする。そんなミアをサイラスはじっと見つめていた。冷静さを装っていても、サイラスの剛直はミアの痴態にどんどん膨張していく。溝がしっかりと刻まれたサイラスの腹筋に手のひらを這わせると、掌の下でびくりと痙攣した。
「さいらす、さま、」
サイラスを攻め立てるのも楽しいが、精液を塗りたくられた襞はもっと強い刺激が欲しいとねだっている。
「さいらす、さま、うごいて……」
サイラスはぎりっと歯を噛みしめて尻肉を掴み、強靭な腰使いで、ミアを串刺した。
「あ‼ はあんっ、あ、や、あ……」
自身では到底できないピストン運動に、ミアは脳が痺れた。ぱちゅぱちゅと肉がぶつかりあう音に、子宮口が喜んで収縮する。花襞がめくれ上がるほど肉槍を引き抜き、再び挿入する。蜜液と精液でサイラスとミアの繁みはねっとりと重たげに湿っていた。
「膣内を行き来するたびに、絡みついてくるな。……そんなに俺のは美味いか」
「や、知らない……」
あまりの快感にミアはしゃくりあげていた。乳房はサイラスの厚い胸板に擦れて、敏感になっている。
「ここは、美味いと言っているようだがな。……このあたりか」
サイラスはミアの腹越し、肉杭の存在を確かめるように、ある一点をぐっと押し込んだ。
「にぁあぅ……」
発情期の猫を思わせる声が喉から迸る。反らした首筋にサイラスは吸いつき、紅い痕を残した。
「や、あ、あ……」
激しくなる抽送に身体を支えきれず、サイラスの首に腕を絡ませる。ミアの唇に唇をぴったり擦り合わせたサイラスは、荒い息をミアに注ぎ込んできた。情欲に爛々と輝くモスグリーンの瞳に釘付けにされ、ミアは夢見心地になる。
唾液が顎を濡らすのも厭わず、お互い獣のように貪り合う。腰を打ちつける速度を速めながら、サイラスはミアの背を強く抱きしめた。ミアもサイラスの均整の取れた裸体を手のひらで味わう。引き締まった背中から肩甲骨に指を這わせると、滑らかな感触に興奮がとまらない。抽送に合わせて腰を震わせたら、サイラスに下唇を甘噛みされた。
「動くな。我慢できなくなる」
「なんで、がまんするの……?」
意味が判らず、思ったままを尋ねるミアに、サイラスは眉をしかめた。
「なぜって……」
「出すの、嫌なの……?」
何度もミアの中に注ぎ込んでおいて、今更拒否するなんて、どういうつもりだ。
涙の膜で視界がぼやける。頬を伝い落ちる滴をサイラスは、またも舌で掬った。
「……早朝からの式で疲れているだろう。それに完治したとはいえ、脚の傷が開いたらどうする」
傷跡を指の腹で撫でると、サイラスはミアの肩に顔を埋めた。肉槍は硬いままミアの胎のなかで脈打っている。
「少しでも長くミアの膣内にいたい……」
「いいのに」
「何?」
何度でもミアの身体で気持ちよくなればいい。サイラスを独占していいのは自分だけだ。湧き上がる執着心にミアは胎の奥が疼いた。誰にも覚えたことのない激しい想い。ミアの生きる糧になったこの人を、誰にも渡したくない。
媚びることなど微塵も考えたことのなかった女騎士は、愛しい者を繋ぎとめるのに必死な雌になっていた。
「サイラス様の、好きにして……」
サイラスはぐううっと喉を鳴らすと、ミアをベッドに押し倒し、ミアを抱き潰す勢いで腰を振りはじめた。
「ひゃんっ!」
「その言葉、後悔するなよ……!」
ミアの膝裏を高く持ち上げ、結合を深くすると、抜き差しを大きくした。蜜襞を遠慮なく擦り上げられ、ミアは嬌声を押さえることが出来なくなる。
「あん、あ、や、あん……」
「……出すぞ」
サイラスは唸るように告げると、一際奥に性器を押し込んだ。膣襞に喰い締められた雄は膨張すると、精を放ったようで、サイラスは艶めいた吐息を吐き出し、ミアの上にくずおれた。
汗ばんでしっとりと濡れた目の前の首筋をいじっていると、サイラスは顔をあげた。前髪を乱したサイラスはいつもより幼く見え、そんな姿にもときめいてしまう。
「気持ちよかったですか?」
「……わざわざ聞くことか」
なぜか仏頂面のサイラスはますます子どものように見える。思わずくすりと笑ってしまった。
「何が可笑しい」
「いえ、サイラス様が可愛いなって」
ミアに翻弄されている様子が、とはさすがに言えない。笑い続けていると、収めたままの性器をサイラスは小刻みに動かした。心なしか硬いような。
「まだまだ余裕そうだな……」
「そんなこと、ないですっ」
にゅちゅり、と下肢から淫らな水音が聞こえ、ミアは顔を赤くした。一生懸命胸を押し返すミアに気を良くしたサイラスは、ゆっくりとミアの肉筒の締め付けを愉しみはじめた。
「ちょっと、もう無理です」
「俺の好きにしていいんだろう?」
にやりと人の悪そうな極上の笑顔が降ってくる。
――今なら私の願いを聞いてくれるかも。
「好きにしていいので、騎士を続けさせてもらえませんか……」
機嫌のよく頬に唇を寄せてくるサイラスに、ミアは言った。
結婚式当日までその問題は平行線を保っていた。騎士を続けてもいいとサイラスは約束したのだが、やはり前例がないため、公爵夫人になった段階で騎士団を退役することがほぼ決まっている。だがミアはまだ諦めきれていなかった。
「……相変わらず頑固だな」
「バッハシュタインの名に恥じないように努めますから」
公爵家の一員として王家に遣えながら騎士も続けるのは、並大抵のことではない。覚悟した上で口許をきゅっと結んで懇願すると、サイラスはため息をついた。
「……わかった。議会に掛け合ってみる」
「本当ですか。ありがとうございます!」
ミアはサイラスのうなじを引き寄せ、力いっぱい抱きしめた。
「ただし」
耳元で低く響く声にミアは動きを止めた。騎士団長としての威厳に満ちたそれではないが、近い口調に甘い雰囲気が霧散していく。
「……俺の目の届く範囲で続けてくれ」
「王国騎士団にいるのですから、当然だと思いますが……」
なぜ当たり前のことを念押しするのか。ミアは不審に思った。
「あの」
サイラスの首筋と耳朶は紅潮し、心なしか体温も上がっているような。
――まさか、体調が悪いのか。
慌てて引き離そうとするも、鉄の如くサイラスは動かない。
「具合が悪いのでしたら、お休みになってくださ……」
「今のは忘れろ」
「え」
今のとは。
「『目の届く範囲で続けろ』ですか?」
起き上がったサイラスは無言でミアを見つめ返した。顔を赤くして、眉をひそめている。
「いえ、騎士でいられるのであれば、しっかり肝に命じておきます。サイラス様のおそばで務めることができるのは、願ってもないことですから」
大好きな人のために、もっと強くなることはミアにとって今一番の目標である。言われなくともそのつもりなのだが、何がそれほど気になるのだろうか。
「それがどうかしましたか?」
「いや……」
はぐらかそうとするサイラスに、ミアは食い下がった。
「はっきり言わないのは、お互いによくありません。遠慮なく仰ってください」
散々言葉が足りずにすれ違ってきたのだ。後悔はしたくないと、胎のなかの雄を膣壁で容赦なく締め上げる。
ウッとサイラスは呻き、その声にすらきゅんとしながらも、逃さないよう視線は強くした。
「……ただの嫉妬だ」
「サイラス様が?」
「……思わず口にしてしまうほど、独占したいんだ。正直、他の奴の目に触れさせず、屋敷に閉じ込めておきたいくらいでな。……何度も言わせるな」
サイラスは、吹っ切れたように熱のこもった淡い緑の瞳でミアを射貫く。
「まさか、騎士団を辞めさせたがっていたのも、そういう理由ですか……?」
サイラスは仏頂面で「ああ」と最低限答えた。
ミアを独り占めしたかったから、騎士団に残ることを嫌がったとは。子供っぽい独占欲に頭がくらくらした。自分の夢を妨害されそうになったのだ、腹が立ってもいいはずなのに、ミアは嬉しくなってしまう。今はミアのお願いに譲歩しようとしてくれているのだ。
ミアを大事に扱ってくれるサイラスが愛おしい。
「……何が面白い?」
「サイラス様、大好きです」
目を見張るサイラスに、ミアは自分の想いを伝え続ける。
「この命が尽きるまで、サイラス様の隣で励みます。サイラス様のことが可愛すぎてどうにかなってしまうそうです」
「可愛いは余計だ」
言葉とは裏腹に、照れを隠すように紅潮した顔をそむけたサイラス。ミアがくすくすと笑っていると、
「……議会を説き伏せるのは骨が折れる。先に褒美をもらっておこう」
サイラスは腰を緩く揺すり、蜜襞を愛し始めた。
「あ、あんっ」
鼻にかかった喘ぎ声すら逃さないとばかりに、サイラスはミアの唇をむさぼる。
「……もう少し味わわせてもらうぞ」
ミアは背筋がぞくぞくとした。
ミアの中で一度果てたサイラスだったが、強靭な肉体を持つせいか、性欲も旺盛だ。
背後からミアを貫いてすぐにサイラスは、ミアを膝に座らせて雄を咥えさせると、自分で腰を振れと要求した。
「殿下が選んだというのは癪に障るが……なかなかそそるな」
唇を舌で湿らすサイラスは、普段の高潔な印象をかなぐり捨てて、ミアを下品に煽ってくる。情欲に潤んだ瞳にミアもぼうっとした。
気が付くとサイラスの肩に手をのせて、膣襞に絡みつく雄を擦り上げていた。動くたびに白濁がにちゃにちゃと卑猥な音を奏でて泡立つ。
その音に鼓動がさらに速まり、体温があがっていく。
「は、あ、はあ、んっ……」
「胎が狭まってきたな……。自ら動く方が興奮するのか」
サイラスはぷるぷると控えめにたわむ乳房に指を沈みこませながら、赤く凝った乳首を爪先で引っ掻いた。
「やん‼あっ……ん」
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艶めかしい顔にミアは、悪戯心を覚える。
――もっとサイラス様を気持ちよくさせたいけど、苦しめたい。
相反する感情に胎の奥がきゅんと切なく痛んだ。鍛え上げた腹筋を使って、膣筒を引き絞るように腰をうねらせる。酒場で腰を振る踊り子を思い出し、上下だけでなく、左右のグラインドも加えてみた。
すると、腹側にぴりっと癖になる箇所を見つけ、ミアは雁首が当たるように小刻みに雄を襞に擦りつけた。
――何これ、気持ちいい……。
「あん、あん、あああっ!」
犬のおすわりのごとく膝を立てて、性器を喰い締めながら出し挿れする。そんなミアをサイラスはじっと見つめていた。冷静さを装っていても、サイラスの剛直はミアの痴態にどんどん膨張していく。溝がしっかりと刻まれたサイラスの腹筋に手のひらを這わせると、掌の下でびくりと痙攣した。
「さいらす、さま、」
サイラスを攻め立てるのも楽しいが、精液を塗りたくられた襞はもっと強い刺激が欲しいとねだっている。
「さいらす、さま、うごいて……」
サイラスはぎりっと歯を噛みしめて尻肉を掴み、強靭な腰使いで、ミアを串刺した。
「あ‼ はあんっ、あ、や、あ……」
自身では到底できないピストン運動に、ミアは脳が痺れた。ぱちゅぱちゅと肉がぶつかりあう音に、子宮口が喜んで収縮する。花襞がめくれ上がるほど肉槍を引き抜き、再び挿入する。蜜液と精液でサイラスとミアの繁みはねっとりと重たげに湿っていた。
「膣内を行き来するたびに、絡みついてくるな。……そんなに俺のは美味いか」
「や、知らない……」
あまりの快感にミアはしゃくりあげていた。乳房はサイラスの厚い胸板に擦れて、敏感になっている。
「ここは、美味いと言っているようだがな。……このあたりか」
サイラスはミアの腹越し、肉杭の存在を確かめるように、ある一点をぐっと押し込んだ。
「にぁあぅ……」
発情期の猫を思わせる声が喉から迸る。反らした首筋にサイラスは吸いつき、紅い痕を残した。
「や、あ、あ……」
激しくなる抽送に身体を支えきれず、サイラスの首に腕を絡ませる。ミアの唇に唇をぴったり擦り合わせたサイラスは、荒い息をミアに注ぎ込んできた。情欲に爛々と輝くモスグリーンの瞳に釘付けにされ、ミアは夢見心地になる。
唾液が顎を濡らすのも厭わず、お互い獣のように貪り合う。腰を打ちつける速度を速めながら、サイラスはミアの背を強く抱きしめた。ミアもサイラスの均整の取れた裸体を手のひらで味わう。引き締まった背中から肩甲骨に指を這わせると、滑らかな感触に興奮がとまらない。抽送に合わせて腰を震わせたら、サイラスに下唇を甘噛みされた。
「動くな。我慢できなくなる」
「なんで、がまんするの……?」
意味が判らず、思ったままを尋ねるミアに、サイラスは眉をしかめた。
「なぜって……」
「出すの、嫌なの……?」
何度もミアの中に注ぎ込んでおいて、今更拒否するなんて、どういうつもりだ。
涙の膜で視界がぼやける。頬を伝い落ちる滴をサイラスは、またも舌で掬った。
「……早朝からの式で疲れているだろう。それに完治したとはいえ、脚の傷が開いたらどうする」
傷跡を指の腹で撫でると、サイラスはミアの肩に顔を埋めた。肉槍は硬いままミアの胎のなかで脈打っている。
「少しでも長くミアの膣内にいたい……」
「いいのに」
「何?」
何度でもミアの身体で気持ちよくなればいい。サイラスを独占していいのは自分だけだ。湧き上がる執着心にミアは胎の奥が疼いた。誰にも覚えたことのない激しい想い。ミアの生きる糧になったこの人を、誰にも渡したくない。
媚びることなど微塵も考えたことのなかった女騎士は、愛しい者を繋ぎとめるのに必死な雌になっていた。
「サイラス様の、好きにして……」
サイラスはぐううっと喉を鳴らすと、ミアをベッドに押し倒し、ミアを抱き潰す勢いで腰を振りはじめた。
「ひゃんっ!」
「その言葉、後悔するなよ……!」
ミアの膝裏を高く持ち上げ、結合を深くすると、抜き差しを大きくした。蜜襞を遠慮なく擦り上げられ、ミアは嬌声を押さえることが出来なくなる。
「あん、あ、や、あん……」
「……出すぞ」
サイラスは唸るように告げると、一際奥に性器を押し込んだ。膣襞に喰い締められた雄は膨張すると、精を放ったようで、サイラスは艶めいた吐息を吐き出し、ミアの上にくずおれた。
汗ばんでしっとりと濡れた目の前の首筋をいじっていると、サイラスは顔をあげた。前髪を乱したサイラスはいつもより幼く見え、そんな姿にもときめいてしまう。
「気持ちよかったですか?」
「……わざわざ聞くことか」
なぜか仏頂面のサイラスはますます子どものように見える。思わずくすりと笑ってしまった。
「何が可笑しい」
「いえ、サイラス様が可愛いなって」
ミアに翻弄されている様子が、とはさすがに言えない。笑い続けていると、収めたままの性器をサイラスは小刻みに動かした。心なしか硬いような。
「まだまだ余裕そうだな……」
「そんなこと、ないですっ」
にゅちゅり、と下肢から淫らな水音が聞こえ、ミアは顔を赤くした。一生懸命胸を押し返すミアに気を良くしたサイラスは、ゆっくりとミアの肉筒の締め付けを愉しみはじめた。
「ちょっと、もう無理です」
「俺の好きにしていいんだろう?」
にやりと人の悪そうな極上の笑顔が降ってくる。
――今なら私の願いを聞いてくれるかも。
「好きにしていいので、騎士を続けさせてもらえませんか……」
機嫌のよく頬に唇を寄せてくるサイラスに、ミアは言った。
結婚式当日までその問題は平行線を保っていた。騎士を続けてもいいとサイラスは約束したのだが、やはり前例がないため、公爵夫人になった段階で騎士団を退役することがほぼ決まっている。だがミアはまだ諦めきれていなかった。
「……相変わらず頑固だな」
「バッハシュタインの名に恥じないように努めますから」
公爵家の一員として王家に遣えながら騎士も続けるのは、並大抵のことではない。覚悟した上で口許をきゅっと結んで懇願すると、サイラスはため息をついた。
「……わかった。議会に掛け合ってみる」
「本当ですか。ありがとうございます!」
ミアはサイラスのうなじを引き寄せ、力いっぱい抱きしめた。
「ただし」
耳元で低く響く声にミアは動きを止めた。騎士団長としての威厳に満ちたそれではないが、近い口調に甘い雰囲気が霧散していく。
「……俺の目の届く範囲で続けてくれ」
「王国騎士団にいるのですから、当然だと思いますが……」
なぜ当たり前のことを念押しするのか。ミアは不審に思った。
「あの」
サイラスの首筋と耳朶は紅潮し、心なしか体温も上がっているような。
――まさか、体調が悪いのか。
慌てて引き離そうとするも、鉄の如くサイラスは動かない。
「具合が悪いのでしたら、お休みになってくださ……」
「今のは忘れろ」
「え」
今のとは。
「『目の届く範囲で続けろ』ですか?」
起き上がったサイラスは無言でミアを見つめ返した。顔を赤くして、眉をひそめている。
「いえ、騎士でいられるのであれば、しっかり肝に命じておきます。サイラス様のおそばで務めることができるのは、願ってもないことですから」
大好きな人のために、もっと強くなることはミアにとって今一番の目標である。言われなくともそのつもりなのだが、何がそれほど気になるのだろうか。
「それがどうかしましたか?」
「いや……」
はぐらかそうとするサイラスに、ミアは食い下がった。
「はっきり言わないのは、お互いによくありません。遠慮なく仰ってください」
散々言葉が足りずにすれ違ってきたのだ。後悔はしたくないと、胎のなかの雄を膣壁で容赦なく締め上げる。
ウッとサイラスは呻き、その声にすらきゅんとしながらも、逃さないよう視線は強くした。
「……ただの嫉妬だ」
「サイラス様が?」
「……思わず口にしてしまうほど、独占したいんだ。正直、他の奴の目に触れさせず、屋敷に閉じ込めておきたいくらいでな。……何度も言わせるな」
サイラスは、吹っ切れたように熱のこもった淡い緑の瞳でミアを射貫く。
「まさか、騎士団を辞めさせたがっていたのも、そういう理由ですか……?」
サイラスは仏頂面で「ああ」と最低限答えた。
ミアを独り占めしたかったから、騎士団に残ることを嫌がったとは。子供っぽい独占欲に頭がくらくらした。自分の夢を妨害されそうになったのだ、腹が立ってもいいはずなのに、ミアは嬉しくなってしまう。今はミアのお願いに譲歩しようとしてくれているのだ。
ミアを大事に扱ってくれるサイラスが愛おしい。
「……何が面白い?」
「サイラス様、大好きです」
目を見張るサイラスに、ミアは自分の想いを伝え続ける。
「この命が尽きるまで、サイラス様の隣で励みます。サイラス様のことが可愛すぎてどうにかなってしまうそうです」
「可愛いは余計だ」
言葉とは裏腹に、照れを隠すように紅潮した顔をそむけたサイラス。ミアがくすくすと笑っていると、
「……議会を説き伏せるのは骨が折れる。先に褒美をもらっておこう」
サイラスは腰を緩く揺すり、蜜襞を愛し始めた。
「あ、あんっ」
鼻にかかった喘ぎ声すら逃さないとばかりに、サイラスはミアの唇をむさぼる。
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