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36話 男装令嬢は結婚式に臨みます
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一抹の不安を抱えながらも、それから半月後、サイラスとの結婚式の朝を迎えた。
早朝から身支度に追われているミアは、すでに疲労困憊だった。加えて式が近づくにつれ、緊張感は増していき控室の椅子に縮こまっていると、扉がノックされ、背筋がピンと伸びた。
「ミア様、こちらへ」
侍女の案内に導かれ、控室から表宮殿内の礼拝堂に向かう。ミアは豪華なドレスではなく、軍服をベースにした純白の礼服姿だった。
アマグスタニア王国では、貴族の男子に複数の妻を娶らせることを、法律で禁止していない。禁止したところで庶子が増えるだけであり、ならばいっそのこと血筋を明らかにしてしまえ、という意図がある。
ミアが正妻に収まったとしても、第二、第三の夫人の座を狙う者が出てくる可能性は高い。ミアが男装を貫くことで、公爵の趣味は特殊であり、他の妻を迎える意思はないと社交界に周知させるのが手っ取り早いのだ。
――だからって、ドレスの代わりに軍服だなんて……。動きやすくていいけれど。
歩き慣れた歩幅で動けるのは有り難い。見た目の優雅さに反して、豪奢な生地をふんだんに使用したドレスは重いのだ。まあ、多少はサイラスにドレス姿を見せたかったと残念に思うものの、ミアは奥の手を用意していた。
――初夜に使うのよ、いいわね。
結婚式の数日前。
シャーロットにこっそりと渡されたポーチの中に入っている品に、ミアは目を剥いた。
「で、殿下‼」
「サイラスがどんな表情をするのか、楽しみだわぁ。今度教えて頂戴」
上品に口許に手をあてているが、「くふふ」と似つかわしくない含み嗤いが漏れている。シャーロットにとってミアが玩具であることに変わりはないのだ。
「団長は、こういうのお好きじゃないと思いますけど……」
「何言ってるの? 私が着せたドレスに大興奮していたじゃない」
シャーロットは監視からの報告で、サイラスとミアが外で抱き合っていたのを知っているのだ。ミアは今更ながら羞恥に開いた口が塞がらない。
「サイラスのことだから監視に見せつけるためとかなんとか言ったのでしょう? 好きな娘を抱くのに、ぐだぐだ言い訳するなんて、器の小さい男だこと。そんな姿を見せられた私の身にもなってほしいものだわ」おかげで、長年の想いも醒めてしまったのよ、とシャーロットは締めくくる。
とことんサイラスを貶めるシャーロットだが、口調には親しみが籠っていた。嫉妬の色はなく、シャーロットは心からミアとサイラスの結婚を祝福してくれているようだ。
シャーロットの想いを無駄にしてはいけない。ミアは力強く言い切った。
「サイラス様のことは私にお任せください」
握りこぶしをつくり応じると、シャーロットはため息をついた。
「サイラスは普段の貴女が気に入ってるはずだから、そんなに気負わなくてもいいと思うわよ」
シャーロットの心配をよそにミアは意気込んでいた。
――勢いで頂いてしまったけれど、よかったのかな。
結局、シャーロットに押しつけられた品を返すことはできなかった。贈り物のことを思い出すと、顔から火を噴きそうだが、恥ずかしさを押し殺して、いざサイラスの待つ大聖堂を目指す。
扉の前に佇むサイラスは、神が造った彫刻のように美しかった。ミアの軍服と同じ装飾だが色違いで、黒と赤を基調にしたジャケットはサイラスの威厳に満ちた容姿をより引き立てている。ミアに気付くと、ふっと口許を緩めた。
「似合っている」
「団長こそお似合いです。……なんだか負けた気分になります」
「勝手に勝負にするな」
腕を差し出され、その肘に手を添えるミアは、悔しくなると同時に、この人が夫になるのかと信じられなかった。
聖堂では大勢の招待客が拍手で二人を祝福する。その間を赤い絨毯を踏みしめ進みながら、ミアは客席に視線をやった。祭壇近くの席にシャーロットはいるが、ジョナサンは結局姿を現していない。
花嫁の父親であるヴォルフガルト男爵は、涙をこらえているだけなのだが、傍から見れば視線で人を殺しそうな形相でミアを凝視しており、周囲の人々はそっと距離をとっていた。
――父様もいらしているのに、兄様は一体どこにいるんだ……。
胸騒ぎは増すばかりだ。上の空でいると、サイラスは腕を引いてミアを呼び戻した。
神官の前で愛を誓い、唇を触れ合わせた。
式は二人の意向により、貴族としては簡素な様式で行うことにしたため、婚姻の儀が終わるとすぐに祝宴会場への移動となった。
「殿下、お越しいただきありがとうございます」
招待客が聖堂の広間を後にするなか、ミアはシャーロットの前で跪いた。
「主役が跪くなんて、およしなさい」
優雅に入り口へと向かいながら、シャーロットは言った。
表宮殿に併設された聖堂の前には、馬車が用意されている。色とりどりの花吹雪が舞うなか、聖堂の外階段を下りていると、視界の端に見覚えのある人影が過ぎった。
――兄様?
参列客の注意はミアたち新郎新婦に向いており、シャーロットの護衛騎士たちも例外ではなかった。
人影は外階段の脇にいるシャーロットの背後に音もなく近づくと、彼女を軽々と抱き上げる。
「きゃっ!」
「兄様!」
シャーロットの悲鳴とミアの叫びに、衆人の視線は一か所に集まった。
「ミア、結婚おめでとう! そこの鉄仮面に幸せにしてもらえよ。俺は自分の幸せは自分で掴むことにした!」
ジョナサンはためらうことなく走り出した。横抱きにされたシャーロットは振り落とされまいとジョナサンの首にしがみついている。
「殿下が攫われた! 追え!」
護衛騎士たちは堂々とした誘拐犯に呆気に取られていたが、我に返るとジョナサンを追いかけだした。
息子の暴挙に父は無表情でいた。その落ち着きぶりに、もしかしてジョナサンの計画を知っていたのではないかとミアは勘ぐった。
「行くぞ」
呆然とするミアの腰を引き寄せ、サイラスは馬車へと促す。
――もしかして団長もグルなのか。
自身の結婚式を台無しにされても、動じることなくこの場を去ろうとしている。本来であれば、王族が誘拐されたのだ。王国騎士団長として前面に立って指揮しなければならないはずである。
「あの、サイラス様……」
「義兄上なら殿下に危害は加えんさ」
「そういう問題では」
「俺は休暇中だ。……追跡は護衛騎士に任せればいい」
やっぱりジョナサンの思惑を知っていたのだ。もう隠し事はしないと言っているそばからサイラスは約束を破る。
「そんな顔をしても可愛いだけだぞ」
ふくらませた頬をつつかれ、ミアは歯噛みするしかなかった。
早朝から身支度に追われているミアは、すでに疲労困憊だった。加えて式が近づくにつれ、緊張感は増していき控室の椅子に縮こまっていると、扉がノックされ、背筋がピンと伸びた。
「ミア様、こちらへ」
侍女の案内に導かれ、控室から表宮殿内の礼拝堂に向かう。ミアは豪華なドレスではなく、軍服をベースにした純白の礼服姿だった。
アマグスタニア王国では、貴族の男子に複数の妻を娶らせることを、法律で禁止していない。禁止したところで庶子が増えるだけであり、ならばいっそのこと血筋を明らかにしてしまえ、という意図がある。
ミアが正妻に収まったとしても、第二、第三の夫人の座を狙う者が出てくる可能性は高い。ミアが男装を貫くことで、公爵の趣味は特殊であり、他の妻を迎える意思はないと社交界に周知させるのが手っ取り早いのだ。
――だからって、ドレスの代わりに軍服だなんて……。動きやすくていいけれど。
歩き慣れた歩幅で動けるのは有り難い。見た目の優雅さに反して、豪奢な生地をふんだんに使用したドレスは重いのだ。まあ、多少はサイラスにドレス姿を見せたかったと残念に思うものの、ミアは奥の手を用意していた。
――初夜に使うのよ、いいわね。
結婚式の数日前。
シャーロットにこっそりと渡されたポーチの中に入っている品に、ミアは目を剥いた。
「で、殿下‼」
「サイラスがどんな表情をするのか、楽しみだわぁ。今度教えて頂戴」
上品に口許に手をあてているが、「くふふ」と似つかわしくない含み嗤いが漏れている。シャーロットにとってミアが玩具であることに変わりはないのだ。
「団長は、こういうのお好きじゃないと思いますけど……」
「何言ってるの? 私が着せたドレスに大興奮していたじゃない」
シャーロットは監視からの報告で、サイラスとミアが外で抱き合っていたのを知っているのだ。ミアは今更ながら羞恥に開いた口が塞がらない。
「サイラスのことだから監視に見せつけるためとかなんとか言ったのでしょう? 好きな娘を抱くのに、ぐだぐだ言い訳するなんて、器の小さい男だこと。そんな姿を見せられた私の身にもなってほしいものだわ」おかげで、長年の想いも醒めてしまったのよ、とシャーロットは締めくくる。
とことんサイラスを貶めるシャーロットだが、口調には親しみが籠っていた。嫉妬の色はなく、シャーロットは心からミアとサイラスの結婚を祝福してくれているようだ。
シャーロットの想いを無駄にしてはいけない。ミアは力強く言い切った。
「サイラス様のことは私にお任せください」
握りこぶしをつくり応じると、シャーロットはため息をついた。
「サイラスは普段の貴女が気に入ってるはずだから、そんなに気負わなくてもいいと思うわよ」
シャーロットの心配をよそにミアは意気込んでいた。
――勢いで頂いてしまったけれど、よかったのかな。
結局、シャーロットに押しつけられた品を返すことはできなかった。贈り物のことを思い出すと、顔から火を噴きそうだが、恥ずかしさを押し殺して、いざサイラスの待つ大聖堂を目指す。
扉の前に佇むサイラスは、神が造った彫刻のように美しかった。ミアの軍服と同じ装飾だが色違いで、黒と赤を基調にしたジャケットはサイラスの威厳に満ちた容姿をより引き立てている。ミアに気付くと、ふっと口許を緩めた。
「似合っている」
「団長こそお似合いです。……なんだか負けた気分になります」
「勝手に勝負にするな」
腕を差し出され、その肘に手を添えるミアは、悔しくなると同時に、この人が夫になるのかと信じられなかった。
聖堂では大勢の招待客が拍手で二人を祝福する。その間を赤い絨毯を踏みしめ進みながら、ミアは客席に視線をやった。祭壇近くの席にシャーロットはいるが、ジョナサンは結局姿を現していない。
花嫁の父親であるヴォルフガルト男爵は、涙をこらえているだけなのだが、傍から見れば視線で人を殺しそうな形相でミアを凝視しており、周囲の人々はそっと距離をとっていた。
――父様もいらしているのに、兄様は一体どこにいるんだ……。
胸騒ぎは増すばかりだ。上の空でいると、サイラスは腕を引いてミアを呼び戻した。
神官の前で愛を誓い、唇を触れ合わせた。
式は二人の意向により、貴族としては簡素な様式で行うことにしたため、婚姻の儀が終わるとすぐに祝宴会場への移動となった。
「殿下、お越しいただきありがとうございます」
招待客が聖堂の広間を後にするなか、ミアはシャーロットの前で跪いた。
「主役が跪くなんて、およしなさい」
優雅に入り口へと向かいながら、シャーロットは言った。
表宮殿に併設された聖堂の前には、馬車が用意されている。色とりどりの花吹雪が舞うなか、聖堂の外階段を下りていると、視界の端に見覚えのある人影が過ぎった。
――兄様?
参列客の注意はミアたち新郎新婦に向いており、シャーロットの護衛騎士たちも例外ではなかった。
人影は外階段の脇にいるシャーロットの背後に音もなく近づくと、彼女を軽々と抱き上げる。
「きゃっ!」
「兄様!」
シャーロットの悲鳴とミアの叫びに、衆人の視線は一か所に集まった。
「ミア、結婚おめでとう! そこの鉄仮面に幸せにしてもらえよ。俺は自分の幸せは自分で掴むことにした!」
ジョナサンはためらうことなく走り出した。横抱きにされたシャーロットは振り落とされまいとジョナサンの首にしがみついている。
「殿下が攫われた! 追え!」
護衛騎士たちは堂々とした誘拐犯に呆気に取られていたが、我に返るとジョナサンを追いかけだした。
息子の暴挙に父は無表情でいた。その落ち着きぶりに、もしかしてジョナサンの計画を知っていたのではないかとミアは勘ぐった。
「行くぞ」
呆然とするミアの腰を引き寄せ、サイラスは馬車へと促す。
――もしかして団長もグルなのか。
自身の結婚式を台無しにされても、動じることなくこの場を去ろうとしている。本来であれば、王族が誘拐されたのだ。王国騎士団長として前面に立って指揮しなければならないはずである。
「あの、サイラス様……」
「義兄上なら殿下に危害は加えんさ」
「そういう問題では」
「俺は休暇中だ。……追跡は護衛騎士に任せればいい」
やっぱりジョナサンの思惑を知っていたのだ。もう隠し事はしないと言っているそばからサイラスは約束を破る。
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