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18話 騎士団長は婚約者の変貌ぶりにご機嫌斜めです(サイラス視点)
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ミアは見たこともないほど美しい姿で現れた。
灰色の髪にはゆるく内巻きにウェーブが掛かり、血色の良い頬を優しく包み込んでいる。
唇には紅がさされ、くっきりと強調されているにもかかわらず頼りなく潤んだ瞳に、サイラスは眩暈を起こしそうになった。極めつけはミアの虹彩の色に合わせた炎のような深紅のマーメイドドレスである。
両の肩が露出したネックラインから目をそらすも、胸から腰、足元にかけての曲線を追いかけてしまう。ドレスは高い身の丈と細くしなやかな肢体を魅力的に引き立てている。
内心の動揺を隠し、サイラスはミアから視線を引き剥がすと、第三王女に目を向けた。勝ち誇ったように微笑むその頬を張り倒してやりたい。
――なぜ俺ではなく、他の者がミアを飾り立てているのだ。
サイラスの憤懣を気にすることもなく、シャーロットはいかにミアがサイラスにふさわしくないか滔々と語っている。周囲の貴族たちは興味津々に聞き耳を立てていた。
ミアを舞踏会に招待する時点で何かしでかすとは思っていたが、まさか社交界で恥をかかせようとしていたとは。
聡明だと買っていた王女の幼稚さに愕然とした。サイラスの苦手とする衣装を纏えば、ミアを嫌悪すると考えているようだが、すでにそんなことはどうでもよくなっている。今では、ミアを繋ぎとめるために【女嫌い】を装っていると言っても過言ではない。
相変わらず宮廷の令嬢、貴婦人たちの華美な出で立ちには気が滅入る。ミアだからこそ見惚れてしまうのだ。
周囲の男どもがミアの美貌に気付き始めているのも気に食わない。雄々しく戦場を駆け回る彼女を知っている者は、心もとなさそうにダンスフロアに縮こまっているミアに庇護欲をそそられているはずだ。
――これは早急に連れ帰らねば。
「少し待っていろ」
小声で耳打ちすると、ミアはこくりと大人しく頷いた。しずしずと壁際に歩いていく後姿を引き止めたくなるものの、シャーロットにミアへの執着心を見せたくない一心で自制する。
サイラスはシャーロットの手を取り、礼儀正しくその腰を引き寄せた。歓喜に菫色の虹彩を潤ませる王女を義務的にエスコートし、怒りを抑えることに徹した。
灰色の髪にはゆるく内巻きにウェーブが掛かり、血色の良い頬を優しく包み込んでいる。
唇には紅がさされ、くっきりと強調されているにもかかわらず頼りなく潤んだ瞳に、サイラスは眩暈を起こしそうになった。極めつけはミアの虹彩の色に合わせた炎のような深紅のマーメイドドレスである。
両の肩が露出したネックラインから目をそらすも、胸から腰、足元にかけての曲線を追いかけてしまう。ドレスは高い身の丈と細くしなやかな肢体を魅力的に引き立てている。
内心の動揺を隠し、サイラスはミアから視線を引き剥がすと、第三王女に目を向けた。勝ち誇ったように微笑むその頬を張り倒してやりたい。
――なぜ俺ではなく、他の者がミアを飾り立てているのだ。
サイラスの憤懣を気にすることもなく、シャーロットはいかにミアがサイラスにふさわしくないか滔々と語っている。周囲の貴族たちは興味津々に聞き耳を立てていた。
ミアを舞踏会に招待する時点で何かしでかすとは思っていたが、まさか社交界で恥をかかせようとしていたとは。
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周囲の男どもがミアの美貌に気付き始めているのも気に食わない。雄々しく戦場を駆け回る彼女を知っている者は、心もとなさそうにダンスフロアに縮こまっているミアに庇護欲をそそられているはずだ。
――これは早急に連れ帰らねば。
「少し待っていろ」
小声で耳打ちすると、ミアはこくりと大人しく頷いた。しずしずと壁際に歩いていく後姿を引き止めたくなるものの、シャーロットにミアへの執着心を見せたくない一心で自制する。
サイラスはシャーロットの手を取り、礼儀正しくその腰を引き寄せた。歓喜に菫色の虹彩を潤ませる王女を義務的にエスコートし、怒りを抑えることに徹した。
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