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ぜったいしたい美少女VS強面婚約者
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「ねぇ、十夜くん、えっちしたい…」
年下の女の子にこう言われて、断る男なんかいるのだろうか。いるんだよ、ここに。
「七梨、今日は駄目だ」
「明日ならいいの?」
「…明日も駄目」
ぷっと頬を膨らませて、泣きそうになるのを堪える横顔は、成る程昔に比べれば大人になったかもしれない。許嫁に婚前から手を出してこそ男らしいというふざけた風潮もある。だが。
(こんなにちっちぇの、抱けるかよ…)
十夜は静かに溜め息をつくと、自分の胸より低い頭を撫でた。
「ちゃんと結婚してから、な?」
手で顔を覆う七梨の、震えていた肩がピタリと止まった。まずい、と思った時には既に遅く、ダアンッと激しい音をたてて十夜は背中から引っくり返った。七梨得意の足払いだ。
「~~っっ!」
「十夜くんの馬鹿!嫌い!早く結婚して!」
わーん、と泣きながら去っていく細い背中。その悲しい声は、叩きつけられた背中よりも十夜の心を痛ませた。
******
「うう、っ、七梨は可愛くっ、なヒッ、の?かわいくないからっ、とおやくんはっ、七梨をすきじゃないっからっ、…うわああああ」
「ちょっとぉ、落ち着きなさいって、ななちゃんはちゃんと綺麗よぉ」
十夜の家から歩いて五分、七梨の実家の裏庭で、機織りをしていた姉は泣きじゃくりながら帰ってきた妹を慰めていた。
七梨の白く透き通るような頬っぺたに手を当てながら、べしょべしょの顔を拭ってやる。泣いても衰えないその美貌は、睫毛についた涙の粒と、赤くなってしまった鼻とで、愛嬌が増してさえいるから恐ろしい。
「まぁた十夜くんにふられちゃったの?」
毎度のことなので笑いながら聞くと、妹はまた大きな瞳を潤ませた。本人は傷ついているらしいが、姉からすれば妹は随分婚約者から大事にされているように思えた。
十夜といえば、この辺りでも一番の背の高さと、きつくつり上がった三白眼を持つ強面男なのだが、その見た目に反して安易に虫すら殺さない優しい人であり、その彼が婚約者を意地悪で泣かしているわけではないことくらい皆が知っていた。
とはいえ、七梨だって十夜の許嫁になってから十年以上、年上の彼と釣り合うように、毎日毎日己を磨き続けてきたのだ。その努力も知っている姉は、家族の絆にかけて、妹に手を貸すことにした。
ニッコリ笑って七梨の耳許に口を寄せると、女だけに伝えられてきた秘密をそっと囁いた。
******
その晩、十夜が蒲団をめくると七梨が寝ていて、ままあることではあったので─この家の下男は七梨の下僕に成りはてていて、彼女がおめめをきゃるんとするだけで主人の部屋へ入室できる─そのまま蒲団を被せ直して出ていこうとすると、七梨が可愛い欠伸をしながら起き上がった。艶のある長い黒髪がさらさらと肩からこぼれ落ちる。
「ふわ…ぁあ、…あ、とおやくん、おはよぉ」
「うん。おやすみ。じゃあ」
しゃがんでもう一度蒲団を手に持ち、さっさと寝かしつけようとする彼に、七梨がくったりと抱きついた。瞬間、十夜の動きが止まる。七梨が微笑みながら頬っぺたをくっつけた。その細い、小さな身体は、眠っていたせいか蕩けるほど熱く、少し汗ばんでいた。甘い、女の匂いが十夜の鼻を擽る…。
(…まずい、まずいまずいまずい)
しなだれかかってくる柔らかい身体。柳のような腰に触れたくなるのを、理性で押し止める。
「な、七梨、もう寝るじか」
ん。
唇が塞がれ、言葉はくぐもった。まるで蜘蛛の糸のように、白い長い腕を十夜の首に絡ませ、七梨は熱い接吻を愛しい彼に捧げた。
ちゅ、ちゅっ…ちゅ
潤んだ音が静かな寝室に響く。キスの合間に漏れる吐息が、混じりあって、熱を高める。
「っ、あ…」
気がついた時には、七梨を蒲団の上に押し倒し、滑らかな喉に舌を這わせていた。
「…!すまん、つい、…悪かった、…」
慌てて起き直って項垂れ、気づいてしまった。勃起してる。バレないように隠そうとしたが、それより早く七梨の指が、それを撫でた。
「な、…」
「十夜くん…したい」
えっち。
幽かに囁かれたそれは、長く長く我慢を重ねてきた男の箍を外すのに充分だった。
******
「う、あう、いたいいっ」
「ああこら、そんなに締めるな、っ…」
たっぷり時間をかけて愛撫したはずだが、小柄な上に初めての七梨は想像以上にきつく、十夜は七梨の目尻に溜まった涙を舐めとると、深く溜め息をつき、
「ごめん、痛くする」
一気に挿入した。
「あ゛、っ………」
ぎりり、と七梨の爪が十夜の背中に食い込む。貫かれた痛みを堪えるように、眉間に皺を寄せながら荒い息を吐く。うう。呻いて十夜の首筋に歯をたてる。立ちこめる汗の匂い。引きちぎられそうにきつくて熱い、ふたりの繋がったところ。
十夜ができるだけ動かず見守っていると、次第に七梨は身体をゆるめ、薬指で涙を拭って十夜を見上げた。
「も、大丈夫…。ねぇ、おなかのとこ、すごい、ふふ、十夜くんのでいっぱい…」
掠れた声で小さく喋って、猫みたいに笑う。子供扱いばかりされてきた彼女の笑顔は、男を迎え入れて、今や艶然とした色気を湛えていた。
十夜はきついつり目を細めると、つやめく唇を吸って、舌を割り入れた。ぬぷぬぷと深くまで絡ませあって、蕩けた表情でみつめあう。
「七梨、動くぞ」
「うん…」
さっきよりも格段に濡れたそこに、ゆっくり腰のものを飲み込ませ、女の蜜でぬとぬとに愛されながら、また…。
「あっ、あ…すごい、音、するぅ…」
ぐちゅぐちゅ、ぬち…ぬち、優しい腰の動きが、ねっとりとふたりの体液を混ぜあって、卑猥な音を響かせる。十夜は身を起こすと、左手は七梨の手と恋人繋ぎしながら、長い右手の指をふたりの繋がったところに差し入れた。柔らかだが少し濃い茂みの陰の、敏感なところを優しくこりゅこりゅ刺激してやる。と、
「ひっぅ゛、」
びくっと彼女の身体が震えた。ぎゅううとなかで締め付けられて、十夜も喉の奥で呻いた。
「あ、待って、なに、今の…」
白い綺麗な脚がぶるぶる痙攣するのを混乱した顔で眺め、不安げに十夜を見つめる。
「ここ、気持ちよかったか?」
「………」
とんとんと指先で「ここ」を叩きながら、低い声で聞くと、黙って恥ずかしそうにそっぽをむいたが、ほんのちょっぴりだけ頷いた。かわいい。また股のものが膨らむのを感じた。七梨も気づいたようで、戸惑ったように視線をさ迷わせている。
「…」
十夜は右手を滑らせ、なめらかな曲線を描く双丘に指を埋めた。みずみずしい白い肌の上、ぷっくり膨らんだ桃色の乳首を指で弾く。
「あっ…」
ぐっと指を伸ばし、片手でふたつの乳首をぷりゅぷりゅ弄んでやると、ふ、ふ、と目を閉じて息をつく七梨の背中が反り返る。絡めた指をぎゅうときつくきつく食い込ませながら、七梨が喘ぐ。
「ん、ああ、おっぱいきもちぃよお…」
はぁん、と自身の唇に指を当て、黒髪を散らしながら腰をねじる様はとんでもなく官能的だ。
「七梨、七梨…」
浮いた細い腰の下に腕を差し入れ、肌を腹から胸へ舐めあげる。ふるふると柔らかな胸が、敏感な先っぽを天井へ向ける。熱い唾液を一筋落として、十夜は甘く乳首を噛んだ。
「あん、それ、だめえ…」
びくんびくんと腰が震え、男のものをまた濡らす。男は唇をすぼめて桃色乳首をちゅぽちゅぽしたあと、大きく口を開けて、官能の果実をはっぷり咥える。舌をたっぷり回して舐め、吸ってその柔らかさを堪能する。
「あっ、あっ、あっ、とおやくん、とおやくん、っ」
七梨が小さな手で十夜の髪をめちゃくちゃに撫でる。蒲団はもうふたりの汗と蜜でぐちゃぐちゃだ。
ちゅっぽん、とわざと音をたてて胸から唇を離し、十夜は愛しい恋人を見つめた。そろそろ十夜も限界だ。
ぐっと腕に力をこめて、繋がったまま七梨を抱き上げ膝立ちになると、
「ふ、あぅ…」
七梨が足と腕を絡ませ十夜にしがみついた。
その柔い尻を大きな両手で掴みながら、ずん、と深く突く。七梨の腹の内側をごりごりと狂暴的にかたくて大きいものがえぐる。
「は、ああっ、あ、っきっ、もちい、ぃいっ」
ぱんっぱんっぱんっぱんっぱんっ
ふーっ、ふーっと息をつきながら、肉の棒でおんなを揺さぶる。
「な、七梨…、っ、出すぞ、…」
「あんっ、あんっ、らひて、お願い、なか…っなか、とおやくんの欲しいっ」
パンパンパンパンパンパンッッッ
「あぁ、…う…っ」
びゅるるるるっ。どぷんっどぷんっ
低い呻きと共に、重くて熱い迸りが七梨の奥で弾けた。十夜の腰が震え、見たことのない表情で眉根をよせている。七梨は愛おしそうに、汗の伝う彼の首筋を何度も何度も舐めた…。
******
やってしまった…。
朝の清浄な光の中で、十夜は両手に顔を埋めて溜め息をついた。隣には、ぽけえと口を開けて涎を垂らしながら、大の字になって寝る七梨がいる。蒲団は蹴散らかされて、昨夜十夜が舐め回した胸が露になっている。
男を知ってもなお初心な輝きを失わない裸体にそっと蒲団をかけてやると、ふにゃりと寝顔が笑った。
「七梨?起きてるのか?」
違ったようだ。すやすやと深い寝息が聞こえる。
ふと、十夜は枕元に見慣れない香炉があるのに気がついた。七梨のものだろうか。焚き染めたあとはあるのだが、香りは残っていない…。
突然、十夜の顔が青ざめた。香りのない香炉。風の噂で聞いたことがある。この辺りの女に代々伝わっている調合法があるのだそうだ。その香は焚くと香りが無くなり、香炉さえ隠しておけば気づかれることはない。効果は、催淫…。
あどけない顔で眠り続ける婚約者を見る。
なるほど身体は小さく表情も幼いが、媚薬を仕込むとは。子供扱いなどとんでもない、そんじょそこらの女よりずっと。
「悪い女に育ったな…」
また、ふにゃりと七梨が微笑んだ。
年下の女の子にこう言われて、断る男なんかいるのだろうか。いるんだよ、ここに。
「七梨、今日は駄目だ」
「明日ならいいの?」
「…明日も駄目」
ぷっと頬を膨らませて、泣きそうになるのを堪える横顔は、成る程昔に比べれば大人になったかもしれない。許嫁に婚前から手を出してこそ男らしいというふざけた風潮もある。だが。
(こんなにちっちぇの、抱けるかよ…)
十夜は静かに溜め息をつくと、自分の胸より低い頭を撫でた。
「ちゃんと結婚してから、な?」
手で顔を覆う七梨の、震えていた肩がピタリと止まった。まずい、と思った時には既に遅く、ダアンッと激しい音をたてて十夜は背中から引っくり返った。七梨得意の足払いだ。
「~~っっ!」
「十夜くんの馬鹿!嫌い!早く結婚して!」
わーん、と泣きながら去っていく細い背中。その悲しい声は、叩きつけられた背中よりも十夜の心を痛ませた。
******
「うう、っ、七梨は可愛くっ、なヒッ、の?かわいくないからっ、とおやくんはっ、七梨をすきじゃないっからっ、…うわああああ」
「ちょっとぉ、落ち着きなさいって、ななちゃんはちゃんと綺麗よぉ」
十夜の家から歩いて五分、七梨の実家の裏庭で、機織りをしていた姉は泣きじゃくりながら帰ってきた妹を慰めていた。
七梨の白く透き通るような頬っぺたに手を当てながら、べしょべしょの顔を拭ってやる。泣いても衰えないその美貌は、睫毛についた涙の粒と、赤くなってしまった鼻とで、愛嬌が増してさえいるから恐ろしい。
「まぁた十夜くんにふられちゃったの?」
毎度のことなので笑いながら聞くと、妹はまた大きな瞳を潤ませた。本人は傷ついているらしいが、姉からすれば妹は随分婚約者から大事にされているように思えた。
十夜といえば、この辺りでも一番の背の高さと、きつくつり上がった三白眼を持つ強面男なのだが、その見た目に反して安易に虫すら殺さない優しい人であり、その彼が婚約者を意地悪で泣かしているわけではないことくらい皆が知っていた。
とはいえ、七梨だって十夜の許嫁になってから十年以上、年上の彼と釣り合うように、毎日毎日己を磨き続けてきたのだ。その努力も知っている姉は、家族の絆にかけて、妹に手を貸すことにした。
ニッコリ笑って七梨の耳許に口を寄せると、女だけに伝えられてきた秘密をそっと囁いた。
******
その晩、十夜が蒲団をめくると七梨が寝ていて、ままあることではあったので─この家の下男は七梨の下僕に成りはてていて、彼女がおめめをきゃるんとするだけで主人の部屋へ入室できる─そのまま蒲団を被せ直して出ていこうとすると、七梨が可愛い欠伸をしながら起き上がった。艶のある長い黒髪がさらさらと肩からこぼれ落ちる。
「ふわ…ぁあ、…あ、とおやくん、おはよぉ」
「うん。おやすみ。じゃあ」
しゃがんでもう一度蒲団を手に持ち、さっさと寝かしつけようとする彼に、七梨がくったりと抱きついた。瞬間、十夜の動きが止まる。七梨が微笑みながら頬っぺたをくっつけた。その細い、小さな身体は、眠っていたせいか蕩けるほど熱く、少し汗ばんでいた。甘い、女の匂いが十夜の鼻を擽る…。
(…まずい、まずいまずいまずい)
しなだれかかってくる柔らかい身体。柳のような腰に触れたくなるのを、理性で押し止める。
「な、七梨、もう寝るじか」
ん。
唇が塞がれ、言葉はくぐもった。まるで蜘蛛の糸のように、白い長い腕を十夜の首に絡ませ、七梨は熱い接吻を愛しい彼に捧げた。
ちゅ、ちゅっ…ちゅ
潤んだ音が静かな寝室に響く。キスの合間に漏れる吐息が、混じりあって、熱を高める。
「っ、あ…」
気がついた時には、七梨を蒲団の上に押し倒し、滑らかな喉に舌を這わせていた。
「…!すまん、つい、…悪かった、…」
慌てて起き直って項垂れ、気づいてしまった。勃起してる。バレないように隠そうとしたが、それより早く七梨の指が、それを撫でた。
「な、…」
「十夜くん…したい」
えっち。
幽かに囁かれたそれは、長く長く我慢を重ねてきた男の箍を外すのに充分だった。
******
「う、あう、いたいいっ」
「ああこら、そんなに締めるな、っ…」
たっぷり時間をかけて愛撫したはずだが、小柄な上に初めての七梨は想像以上にきつく、十夜は七梨の目尻に溜まった涙を舐めとると、深く溜め息をつき、
「ごめん、痛くする」
一気に挿入した。
「あ゛、っ………」
ぎりり、と七梨の爪が十夜の背中に食い込む。貫かれた痛みを堪えるように、眉間に皺を寄せながら荒い息を吐く。うう。呻いて十夜の首筋に歯をたてる。立ちこめる汗の匂い。引きちぎられそうにきつくて熱い、ふたりの繋がったところ。
十夜ができるだけ動かず見守っていると、次第に七梨は身体をゆるめ、薬指で涙を拭って十夜を見上げた。
「も、大丈夫…。ねぇ、おなかのとこ、すごい、ふふ、十夜くんのでいっぱい…」
掠れた声で小さく喋って、猫みたいに笑う。子供扱いばかりされてきた彼女の笑顔は、男を迎え入れて、今や艶然とした色気を湛えていた。
十夜はきついつり目を細めると、つやめく唇を吸って、舌を割り入れた。ぬぷぬぷと深くまで絡ませあって、蕩けた表情でみつめあう。
「七梨、動くぞ」
「うん…」
さっきよりも格段に濡れたそこに、ゆっくり腰のものを飲み込ませ、女の蜜でぬとぬとに愛されながら、また…。
「あっ、あ…すごい、音、するぅ…」
ぐちゅぐちゅ、ぬち…ぬち、優しい腰の動きが、ねっとりとふたりの体液を混ぜあって、卑猥な音を響かせる。十夜は身を起こすと、左手は七梨の手と恋人繋ぎしながら、長い右手の指をふたりの繋がったところに差し入れた。柔らかだが少し濃い茂みの陰の、敏感なところを優しくこりゅこりゅ刺激してやる。と、
「ひっぅ゛、」
びくっと彼女の身体が震えた。ぎゅううとなかで締め付けられて、十夜も喉の奥で呻いた。
「あ、待って、なに、今の…」
白い綺麗な脚がぶるぶる痙攣するのを混乱した顔で眺め、不安げに十夜を見つめる。
「ここ、気持ちよかったか?」
「………」
とんとんと指先で「ここ」を叩きながら、低い声で聞くと、黙って恥ずかしそうにそっぽをむいたが、ほんのちょっぴりだけ頷いた。かわいい。また股のものが膨らむのを感じた。七梨も気づいたようで、戸惑ったように視線をさ迷わせている。
「…」
十夜は右手を滑らせ、なめらかな曲線を描く双丘に指を埋めた。みずみずしい白い肌の上、ぷっくり膨らんだ桃色の乳首を指で弾く。
「あっ…」
ぐっと指を伸ばし、片手でふたつの乳首をぷりゅぷりゅ弄んでやると、ふ、ふ、と目を閉じて息をつく七梨の背中が反り返る。絡めた指をぎゅうときつくきつく食い込ませながら、七梨が喘ぐ。
「ん、ああ、おっぱいきもちぃよお…」
はぁん、と自身の唇に指を当て、黒髪を散らしながら腰をねじる様はとんでもなく官能的だ。
「七梨、七梨…」
浮いた細い腰の下に腕を差し入れ、肌を腹から胸へ舐めあげる。ふるふると柔らかな胸が、敏感な先っぽを天井へ向ける。熱い唾液を一筋落として、十夜は甘く乳首を噛んだ。
「あん、それ、だめえ…」
びくんびくんと腰が震え、男のものをまた濡らす。男は唇をすぼめて桃色乳首をちゅぽちゅぽしたあと、大きく口を開けて、官能の果実をはっぷり咥える。舌をたっぷり回して舐め、吸ってその柔らかさを堪能する。
「あっ、あっ、あっ、とおやくん、とおやくん、っ」
七梨が小さな手で十夜の髪をめちゃくちゃに撫でる。蒲団はもうふたりの汗と蜜でぐちゃぐちゃだ。
ちゅっぽん、とわざと音をたてて胸から唇を離し、十夜は愛しい恋人を見つめた。そろそろ十夜も限界だ。
ぐっと腕に力をこめて、繋がったまま七梨を抱き上げ膝立ちになると、
「ふ、あぅ…」
七梨が足と腕を絡ませ十夜にしがみついた。
その柔い尻を大きな両手で掴みながら、ずん、と深く突く。七梨の腹の内側をごりごりと狂暴的にかたくて大きいものがえぐる。
「は、ああっ、あ、っきっ、もちい、ぃいっ」
ぱんっぱんっぱんっぱんっぱんっ
ふーっ、ふーっと息をつきながら、肉の棒でおんなを揺さぶる。
「な、七梨…、っ、出すぞ、…」
「あんっ、あんっ、らひて、お願い、なか…っなか、とおやくんの欲しいっ」
パンパンパンパンパンパンッッッ
「あぁ、…う…っ」
びゅるるるるっ。どぷんっどぷんっ
低い呻きと共に、重くて熱い迸りが七梨の奥で弾けた。十夜の腰が震え、見たことのない表情で眉根をよせている。七梨は愛おしそうに、汗の伝う彼の首筋を何度も何度も舐めた…。
******
やってしまった…。
朝の清浄な光の中で、十夜は両手に顔を埋めて溜め息をついた。隣には、ぽけえと口を開けて涎を垂らしながら、大の字になって寝る七梨がいる。蒲団は蹴散らかされて、昨夜十夜が舐め回した胸が露になっている。
男を知ってもなお初心な輝きを失わない裸体にそっと蒲団をかけてやると、ふにゃりと寝顔が笑った。
「七梨?起きてるのか?」
違ったようだ。すやすやと深い寝息が聞こえる。
ふと、十夜は枕元に見慣れない香炉があるのに気がついた。七梨のものだろうか。焚き染めたあとはあるのだが、香りは残っていない…。
突然、十夜の顔が青ざめた。香りのない香炉。風の噂で聞いたことがある。この辺りの女に代々伝わっている調合法があるのだそうだ。その香は焚くと香りが無くなり、香炉さえ隠しておけば気づかれることはない。効果は、催淫…。
あどけない顔で眠り続ける婚約者を見る。
なるほど身体は小さく表情も幼いが、媚薬を仕込むとは。子供扱いなどとんでもない、そんじょそこらの女よりずっと。
「悪い女に育ったな…」
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