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狡猾なシルバー家は使えるものはなんでも利用するスタンスだ。
それは権謀術数の権化で悪代官のように映るが、身分問わず才覚に恵まれていれば重用されるということでもある。
逆に本家の子弟でも使えないと判断すれば表舞台に立たせない。
厳しいようだが、名門貴族を維持するには血筋も大事だが、その血筋に見合う実力を持っていることが最低限のシルバー家としての条件と考えている。
エドガーは父親に秘蔵のNTR小説を燃やされて失意のどん底であった。
兄ミシェルや弟リンより劣っていて、もっと言えば妹のシンシアやジャンヌより圧倒的に頭脳の面積バカチン市国という自覚はエドガーにもある。
シルバー家の子供なら頭よくて当然という宮廷での暗黙の了解が心底苦痛だった。
なまじ兄も妹も異母弟も更には兄の愛人少年まで超優秀なのがエドガーのツラいとこだ。
「ヘンリー君がリンゴを500個所持してました。しかし、メアリーちゃんがリンゴを133個食べてしまいました。ヘンリー君の手元に残ったリンゴは何個ですか?」
ミシェルが算術の教本を手にエドガーに問いかけている。
27歳の兄貴が25歳の弟に勉強を指南しているが、色々と間違っているとモモは思っていた。
シルバー家から静養中のエドガーに少しでも勉強させて自信をつけさせろと命じられたのでモモはミシェルと相談してリンには内密に部屋で学習させることにした。
エドガーだって10歳も離れてて神童と父親から認められている弟のリンに勉強を教わるのはツラいだろうという兄ミシェルの優しい判断である。
リンゴの問題の正解は367個であり、モモは瞬時に暗算で解ける。
おそらくステフも少し考えれば正解を述べるだろう。
しかし、エドガー・イリス・シルバー様を舐めてはいけない。
微動だにしないで沈黙したのちエドガーは答えた。
「0個です。兄上」
ミシェルは一瞬だが問題が聞こえてないのかと困惑したがエドガーは理由を述べたのだ。
「ヘンリー君はリンゴを133個も奪ったメアリーちゃんを粛清する。しかし、メアリーちゃんの夫のフィリップが怒ってヘンリー君を殺してリンゴを奪うはずだ。そうすればヘンリー君の屍にリンゴは残らない。簡単な理論です」
「エドガー。問題文のどこにフィリップ君が登場した?勝手なオリキャラを出さないでくれ」
「エドガー様。普通に引き算すれば正解は出ますよ」
理論とかそういう問題じゃないとミシェルとモモは伝えたいのだが、エドガーは頑としてリンゴは0個説を譲らない。
ここでストレートに「素直に計算しろよ!バカ!」なんて言ったらエドガーは益々勉強嫌いになるとミシェルは思案して閃いたのだ。
「では、ステフたちにも意見を求めよう。別の考察があるかもしれない」
考察もなにもリンゴが0ではないのは明白だが、ミシェルなりの弟への気遣いである。
モモは別室にいるステフ、マックス、ヒナリザを呼んでヘンリー君問題を説明した。
「ヘンリー君がメアリーちゃんにリンゴを食べられたあとに残るのは何個か考えてくれ」
美少年トリオはお互いに顔を見合わせている。
マックスとヒナリザはおそらく答えが解ってるが言ってもよいのか躊躇ってるのバレバレだ。
しかし、ステフだけは「はい!」と元気に挙手して笑顔で答えた。
「ヘンリー君の手元にはリンゴは0個です!!」
ステフまでヘンリー君リンゴ0個説を唱えたのでミシェルとモモは別の意味で焦った。
「ステフ!?エドガーを気遣いわざと間違えたのか?それとも純粋に0個だと計算したのか?」
明らかにミシェルが困ってるのでモモがステフにヘンリー君問題の理論を訊ねた。
するとステフはある意味、モモさえも驚く理論を述べたのだ。
「ヘンリー君のリンゴはメアリーちゃんに食べられたから367個だと思います。でも、リンゴを食べられてもヘンリー君は怒らないので優しい子だと思います!そう考えるとヘンリー君はメアリーちゃんが食い逃げで逮捕されないように残りのリンゴをプレゼントします!そうすればリンゴは0個です!」
正解をわかったうえで超絶善良な解釈をしているステフにミシェルは感激したように微笑んだ。
「素晴らしい答えだよ。ステフ!そうだね!ヘンリー君は慈愛の心でメアリーちゃんを助けるだろう!算術から大切な道徳まで理解するなんて!」
正解を答えてもエドガーが傷つかない雰囲気になったのでモモとしても1本取られた。
モモにはステフのような優しい解釈はできない。
「ステフは優しいな。勉強して色々と考えてる」
モモに褒められてステフは嬉しそうに無邪気な笑顔になった。
和やかなムードになってきたのに突如エドガーが号泣しだした。
今までの流れで泣く要素あったかとモモは疑問だったが、エドガーは泣きながら言ったのだ。
「自分の愚かさが恥ずかしい!!リンゴを奪われたから粛清するなんて残酷すぎる!!フィリップは妻がリンゴをヘンリーから奪ったのだから謝罪するべきだ!それを報復にヘンリーを殺すなんて!だから、戦争がなくならない!」
いや、いい加減にオリキャラによるオリジナルストーリーから離れろとモモは言ってやりたかったが、エドガーはなんか、ヤル気スイッチが入ったらしく気合いを入れている。
「兄上!次の問題を出してください!次こそ素晴らしい解答を披露します」
「わ、わかった。では、アンネちゃんはフローラちゃんとカルロス君の家に遊びに行きます。2人は午後2時にカルロス君の家に到着しました。午後6時にカルロス君の家を出で帰りました。アンネちゃんとフローラちゃんは何時間カルロス君の家に滞在してましたか?はい。エドガー?」
「ズバリ翌朝の6時です!」
「問題文をちゃんと聞いてくれ。私は午後6時と言った。翌朝とは言っていない」
勝手に問題文を変えるなとミシェルは思ったが、エドガーは清々しく答えていく。
「アンネちゃんとフローラちゃんとカルロス君が3Pセックスしてたなら午後だけの情事で済まない。もし、カルロス君の弟のフィリップ君もいたら4Pになる。そんなスペシャル愛欲タイムが午後6時で終わるのはおかしい!どういう順番と体位にもよるがお互いの身体をむさぼり尽くして愛欲に溺れてる4人が午後6時でスパッと4Pセックスをやめるはずはない!兄上だってモモとステフ、マックス、ヒナリザと同時にセックスしたら2時から6時で絶対に終わらないでしょう?」
エドガーの澄ましたどや顔の前にミシェルは数秒沈黙して口を開いた。
「すまない。エドガー。もうお前に教えることはなにもない」
ミシェルさえも降参させる変態エドガーの面目躍如を、モモはなにも出来ず見てるしかなかった。
ステフはキョトンとしてるが、マックスとヒナリザはエドガーの変態発言に赤面している。
そして、ヒナリザが控えめに答えた。
「あの…エドガー様。僕ら5Pなんてしたことないです…」
「ヒナリザ。マジレスしなくていい」
モモはシルバー家当主クロードに手紙でエドガーにいまさら勉強させても手遅れだと書き記して送った。
シルバー家ではモモからの手紙を読んだ当主クロード・ルカ・シルバーが苦汁の選択をしようとしていた。
この変態エドガー手遅れ問題がリンやユーリ、そしてミシェルやモモを巻き込む厄介な騒動に発展する。
クロード・ルカ・シルバーは御家存続のため、アンネちゃんとフローラちゃんとカルロス君とフィリップ君が4Pセックスしてるなんて頭脳指数バカチン市国なことを真顔で答えるエドガーに家督を継がせる件を諦めた。
そこで白羽の矢が2本…前嫡男ミシェルと三男で庶子のリンにたとうとしていたのである。
変態エドガーはそんな事態になるとも知らず、澄ました顔で都のエロシェンコが贈ってくれたNTR小説を嗜んでいた。
end
それは権謀術数の権化で悪代官のように映るが、身分問わず才覚に恵まれていれば重用されるということでもある。
逆に本家の子弟でも使えないと判断すれば表舞台に立たせない。
厳しいようだが、名門貴族を維持するには血筋も大事だが、その血筋に見合う実力を持っていることが最低限のシルバー家としての条件と考えている。
エドガーは父親に秘蔵のNTR小説を燃やされて失意のどん底であった。
兄ミシェルや弟リンより劣っていて、もっと言えば妹のシンシアやジャンヌより圧倒的に頭脳の面積バカチン市国という自覚はエドガーにもある。
シルバー家の子供なら頭よくて当然という宮廷での暗黙の了解が心底苦痛だった。
なまじ兄も妹も異母弟も更には兄の愛人少年まで超優秀なのがエドガーのツラいとこだ。
「ヘンリー君がリンゴを500個所持してました。しかし、メアリーちゃんがリンゴを133個食べてしまいました。ヘンリー君の手元に残ったリンゴは何個ですか?」
ミシェルが算術の教本を手にエドガーに問いかけている。
27歳の兄貴が25歳の弟に勉強を指南しているが、色々と間違っているとモモは思っていた。
シルバー家から静養中のエドガーに少しでも勉強させて自信をつけさせろと命じられたのでモモはミシェルと相談してリンには内密に部屋で学習させることにした。
エドガーだって10歳も離れてて神童と父親から認められている弟のリンに勉強を教わるのはツラいだろうという兄ミシェルの優しい判断である。
リンゴの問題の正解は367個であり、モモは瞬時に暗算で解ける。
おそらくステフも少し考えれば正解を述べるだろう。
しかし、エドガー・イリス・シルバー様を舐めてはいけない。
微動だにしないで沈黙したのちエドガーは答えた。
「0個です。兄上」
ミシェルは一瞬だが問題が聞こえてないのかと困惑したがエドガーは理由を述べたのだ。
「ヘンリー君はリンゴを133個も奪ったメアリーちゃんを粛清する。しかし、メアリーちゃんの夫のフィリップが怒ってヘンリー君を殺してリンゴを奪うはずだ。そうすればヘンリー君の屍にリンゴは残らない。簡単な理論です」
「エドガー。問題文のどこにフィリップ君が登場した?勝手なオリキャラを出さないでくれ」
「エドガー様。普通に引き算すれば正解は出ますよ」
理論とかそういう問題じゃないとミシェルとモモは伝えたいのだが、エドガーは頑としてリンゴは0個説を譲らない。
ここでストレートに「素直に計算しろよ!バカ!」なんて言ったらエドガーは益々勉強嫌いになるとミシェルは思案して閃いたのだ。
「では、ステフたちにも意見を求めよう。別の考察があるかもしれない」
考察もなにもリンゴが0ではないのは明白だが、ミシェルなりの弟への気遣いである。
モモは別室にいるステフ、マックス、ヒナリザを呼んでヘンリー君問題を説明した。
「ヘンリー君がメアリーちゃんにリンゴを食べられたあとに残るのは何個か考えてくれ」
美少年トリオはお互いに顔を見合わせている。
マックスとヒナリザはおそらく答えが解ってるが言ってもよいのか躊躇ってるのバレバレだ。
しかし、ステフだけは「はい!」と元気に挙手して笑顔で答えた。
「ヘンリー君の手元にはリンゴは0個です!!」
ステフまでヘンリー君リンゴ0個説を唱えたのでミシェルとモモは別の意味で焦った。
「ステフ!?エドガーを気遣いわざと間違えたのか?それとも純粋に0個だと計算したのか?」
明らかにミシェルが困ってるのでモモがステフにヘンリー君問題の理論を訊ねた。
するとステフはある意味、モモさえも驚く理論を述べたのだ。
「ヘンリー君のリンゴはメアリーちゃんに食べられたから367個だと思います。でも、リンゴを食べられてもヘンリー君は怒らないので優しい子だと思います!そう考えるとヘンリー君はメアリーちゃんが食い逃げで逮捕されないように残りのリンゴをプレゼントします!そうすればリンゴは0個です!」
正解をわかったうえで超絶善良な解釈をしているステフにミシェルは感激したように微笑んだ。
「素晴らしい答えだよ。ステフ!そうだね!ヘンリー君は慈愛の心でメアリーちゃんを助けるだろう!算術から大切な道徳まで理解するなんて!」
正解を答えてもエドガーが傷つかない雰囲気になったのでモモとしても1本取られた。
モモにはステフのような優しい解釈はできない。
「ステフは優しいな。勉強して色々と考えてる」
モモに褒められてステフは嬉しそうに無邪気な笑顔になった。
和やかなムードになってきたのに突如エドガーが号泣しだした。
今までの流れで泣く要素あったかとモモは疑問だったが、エドガーは泣きながら言ったのだ。
「自分の愚かさが恥ずかしい!!リンゴを奪われたから粛清するなんて残酷すぎる!!フィリップは妻がリンゴをヘンリーから奪ったのだから謝罪するべきだ!それを報復にヘンリーを殺すなんて!だから、戦争がなくならない!」
いや、いい加減にオリキャラによるオリジナルストーリーから離れろとモモは言ってやりたかったが、エドガーはなんか、ヤル気スイッチが入ったらしく気合いを入れている。
「兄上!次の問題を出してください!次こそ素晴らしい解答を披露します」
「わ、わかった。では、アンネちゃんはフローラちゃんとカルロス君の家に遊びに行きます。2人は午後2時にカルロス君の家に到着しました。午後6時にカルロス君の家を出で帰りました。アンネちゃんとフローラちゃんは何時間カルロス君の家に滞在してましたか?はい。エドガー?」
「ズバリ翌朝の6時です!」
「問題文をちゃんと聞いてくれ。私は午後6時と言った。翌朝とは言っていない」
勝手に問題文を変えるなとミシェルは思ったが、エドガーは清々しく答えていく。
「アンネちゃんとフローラちゃんとカルロス君が3Pセックスしてたなら午後だけの情事で済まない。もし、カルロス君の弟のフィリップ君もいたら4Pになる。そんなスペシャル愛欲タイムが午後6時で終わるのはおかしい!どういう順番と体位にもよるがお互いの身体をむさぼり尽くして愛欲に溺れてる4人が午後6時でスパッと4Pセックスをやめるはずはない!兄上だってモモとステフ、マックス、ヒナリザと同時にセックスしたら2時から6時で絶対に終わらないでしょう?」
エドガーの澄ましたどや顔の前にミシェルは数秒沈黙して口を開いた。
「すまない。エドガー。もうお前に教えることはなにもない」
ミシェルさえも降参させる変態エドガーの面目躍如を、モモはなにも出来ず見てるしかなかった。
ステフはキョトンとしてるが、マックスとヒナリザはエドガーの変態発言に赤面している。
そして、ヒナリザが控えめに答えた。
「あの…エドガー様。僕ら5Pなんてしたことないです…」
「ヒナリザ。マジレスしなくていい」
モモはシルバー家当主クロードに手紙でエドガーにいまさら勉強させても手遅れだと書き記して送った。
シルバー家ではモモからの手紙を読んだ当主クロード・ルカ・シルバーが苦汁の選択をしようとしていた。
この変態エドガー手遅れ問題がリンやユーリ、そしてミシェルやモモを巻き込む厄介な騒動に発展する。
クロード・ルカ・シルバーは御家存続のため、アンネちゃんとフローラちゃんとカルロス君とフィリップ君が4Pセックスしてるなんて頭脳指数バカチン市国なことを真顔で答えるエドガーに家督を継がせる件を諦めた。
そこで白羽の矢が2本…前嫡男ミシェルと三男で庶子のリンにたとうとしていたのである。
変態エドガーはそんな事態になるとも知らず、澄ました顔で都のエロシェンコが贈ってくれたNTR小説を嗜んでいた。
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