異国のマツリ

寿里~kotori ~

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1~拉致された公主の異国生活~

パパと息子

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 「茉莉、最初に会った時よりも顔色が良くなりましたね。パパとして嬉しいですよ」

 別荘での静養を終えた茉莉は街に戻されて、父藍月と面会していた。

 ユンとレンに案内されたのは異国情緒が漂う瀟洒な豪邸で、ここが本来の藍月の住まいらしい。

 今回は親子だけで話があると藍月が命じたのでユンとレンは席を外している。

 「静養をして少しは心が落ち着きました。ありがとうございます。藍月さん」

 「藍月さんなんて他人行儀な呼び方はやめてくださいね。私は茉莉のパパなのですから」

 「貴方がそう主張しても僕は貴方が父とは認めていません。他人行儀なのは当たり前です」

 頑なに藍月を父と認めない茉莉に藍月は「困りましたねぇ」と苦笑いをしたが大して困ってはなさそうである。

 この藍月という男の思考は茉莉には到底理解できない。常に笑みを絶やさない穏やかな態度が逆に怖かった。

 銀髪が映える眉目秀麗で只者ではないオーラに圧倒されるが茉莉は屈せずに毅然と口にした。

 「藍月さんを父とは認めませんが、僕は貴方に従って、この異国でマフィアとして生きていく。それならば問題はないはずです」

 祖国に戻る手段もなく、奇跡的に戻れても以前のような生活はできない。本当の両親だと疑わなかった養父母もいない。この現実はいまだに茉莉に絶望を与えるが、何もかも奪われた代わりに得たものもあった。

 それがレンの存在である。異国に拉致された茉莉を不器用だが心配してくれて好意を持ってくれた。レンが側にいなかったら茉莉は全てに絶望して本当に自ら命を絶ってしまっただろう。

 レンの献身さと好意に報いたいという気持ちが茉莉を絶望から救ってくれた。だから、現状を受け入れる覚悟を決めたのである。

 茉莉の覚悟を静かに聴いていた藍月は笑みを浮かべたまま頷くと、緊張している茉莉の柔らかな黒髪をソッと撫でたのだ。

 「茉莉がそのように覚悟を決めたのなら喜ばしいことです。私のことは父と認められるようになったらパパと呼んでくださいね?」

 「そんな日は永遠に来ないと思います。藍月さん、これから何卒よろしくお願いします」

 丁寧に茉莉が頭を下げる姿を見ている藍月の顔は優しかった。あくまで自分を父と認めない息子に対してこんなに寛大な態度をとれるものかと茉莉の心に戸惑いが生じた。

 寛大な藍月に対して頑固に父親とは認めない姿勢を貫く自分は子供っぽいかと恥ずかしくなってきたのである。

 「あの……藍月さん。僕が貴方の息子だという証拠はあるのですか?遺伝的な?」

 「おや?私をパパと認めない癖にそこは気になるのですね?遺伝的に父だと証明すればパパと呼んでくれるのですか?」

 それならば組織と癒着している検査機関でDNA鑑定とやらが可能ですよ、と藍月は茉莉を試すように誘ってくる。

 そこで藍月と茉莉が血縁上の親子だと鑑定されたら茉莉は藍月を父と心から思えるのだろうか?

 少し自問自答した茉莉だがゆっくりと首をふった。

 「DNAで証明されても僕は心から貴方を親とは思えない。だから結構です」

 たとえ血縁で藍月が実の父だと判明しても気持ちの問題でいまは心から父だと慕えないだろうと告げると藍月は端正な顔立ちをゆるませて、小さく笑った。

 「血縁より気持ちの問題ですか?分かりました。茉莉の気持ちが変化するまで待ちます。でも、私にとって茉莉は大切な息子です。そういうことにしておきましょう」

 クスクスと愉快そうに笑う藍月の表情は本当に息子を想う父親の顔である。

 茉莉は本能的に目の前で微笑んでいる藍月というマフィアのボスが自分の父親であると確信したが、素直にそれを口に出すことはなかった。

 茉莉が藍月と会話していた時、隣室ではユンとレンが待機していた。

 盗聴まではしていないが、藍月がご機嫌に笑っている声が聞こえてきたのでユンは親子の絆が少しは深まったのかと安心していたのだ。

 「藍月は愛情深い人だ。いまは無理でも茉莉様にだってきっとそれが伝わる」

 マフィア組織のボスとして非情な面もあるが、そもそもの藍月は穏やかで優しい人柄である。

 茉莉も少し天然だが、温厚な性格なので気性を照らし合わせると、やはり藍月に似ている。

 「茉莉がボスを親父と認めるまでに何年かかることか!」

 別荘での茉莉は藍月のことを頑固に『自称僕の父親』と呼んでいたので、そう簡単に『自称』がなくなるとは思えない、とレンがニヤリとするとユンはすべてを悟ったような笑顔で断言したのだ。

 「茉莉様はおそらく、藍月を実の父親だと心では理解している。でも態度に出すには時間が必要なんだ」

 「そういうもんなの?まあ!拉致された異国で急に対面した男が自分の親父なんて認めるには時間がかかるし、無理ってこともあるよな?」

 「レンと比較的はやく打ち解けたように茉莉様は本来は順応性が高い。マフィアになる決意もすんなりかためた」

 これはさい先が佳いと満足げなユンに対してレンは異議ありとばかりに叫んだ。

 「兄ちゃん!俺と茉莉は両想いで恋人同士だ!茉莉は絶対に俺が護る!命懸けで!」

 その為ならばなんでもすると宣言するレンの顔を眺めながらユンは弟も自分と同じ道を選んでしまったかと妙に感慨深かった。

 藍月の為にどんな残忍な所業も平然と行うのがユンならばレンは茉莉の為にどんなことをしていくのだろう。

 レンにとって茉莉はマフィア『藍珠幇』の次期ボスというよりは護るべきお姫様のような存在らしい。

 「レン、誓い通りに茉莉様を命懸けでお守りしろ。俺は藍月の為に死ねたら本望だ」

 ユンがそう告げるとレンは表情を引き締めて深く頷いた。

 お互いに愛しい存在の為に命懸けで生きることを選んだユンとレン兄弟だが、ユンは藍月という君主を支えることが役目なら、レンの役目は茉莉という公主(姫君)を護り抜く護衛である。

 マフィアの親子に恋慕するユンとレンの運命にどのようなことが待ち受けているのかまだ分からないが、愛する人の為に生きると誓い合う兄弟の耳に楽しそうな笑い声が聞こえてきた。

 「ボスが笑ってる?茉莉、何か冗談でも言ったのか?」

 「今の茉莉様と藍月の関係性で冗談交じりの会話なんてできない。様子を見に行こう!」

 ユンとレンが立ち上がって、茉莉が藍月と話している部屋に急ぐと藍月はお腹を抱えて笑っており、茉莉はそれを見て困惑していた。

 「そんなに大笑いする内容でしたか!?」

 ポカンとする茉莉の顔を見ながら藍月は茉莉と同じ琥珀色の瞳に涙を浮かべてコロコロ笑っている。

 「茉莉は面白い子ですね!修学旅行の思い出だけで爆笑なのに聖歌隊の合宿の思い出が……もう!」

 どうやら茉莉の学校生活の思い出話で盛り上がっていたらしいが、由緒ある名門男子校に通っていた茉莉の学校生活って爆笑するほど楽しいだろうか?

 不思議に思ったユンが茉莉にどんな内容の話をしたのか訊いてみると茉莉は困ったように教えてくれた。

 「藍月さんから学校生活の話をしてほしいと言われて修学旅行と聖歌隊合宿の思い出を話してて……」

 そこまでツボな話はしてませんとオロオロする茉莉に向かって藍月は涙を拭きながら更に笑った。

 「修学旅行で同級生のタカシ君にパンツを窃盗されて、タカシ君が茉莉のパンツを音楽教師のハヤト先生に1万円で売買して、聖歌隊の合宿でハヤト先生が買った茉莉のパンツを頭に被っていた写真を同じ聖歌隊のアキラ君が撮影していた!こんな話で笑うなと言うのが無理ですよ!」

 要は藍月は息子の茉莉のパンツが友達に盗まれて、音楽教師がそれを購入して頭に被ったという事実が笑いのツボに嵌まり爆笑しているのだ。

 茉莉は自分は友達に恵まれていたと信じているが、レンの感想ではパンツを窃盗されて変態音楽教師に売られてしまう時点で全然友達に恵まれていない。

 「ボス!親父なら茉莉のパンツが盗まれた件を怒れよ!タカシとアキラとハヤト先生に対して!」

 レンの主張に茉莉は平然と「ユウト君も僕の上履きを舐めてた」と告げたので、やはり茉莉は壊滅的に友達に恵まれていない。

 ミッション系の名門男子校での犯罪もとい変態行為にユンとレンは唖然としたが、藍月はようやく笑い終わると再度涙を拭きながら茉莉に声をかけた。

 「茉莉は素敵に変態な学友と教師に囲まれていたのですね。パパとして嬉しいです」

 そこ親父ならば喜ぶなとレンは心で突っ込んだが、茉莉は笑み崩れる藍月に対して反射的に言ってしまった。

 「そんなにパパが笑うなんて思わなかった!」

 口に出してから茉莉はハッとなって手で口を隠したが藍月はにこりとすると茉莉の頭を撫でた。

 あんなに頑なに藍月を父と認めないと拒んでいたのにパンツの話題でアッサリと茉莉は藍月を『パパ』と呼んでしまった。

 ユンはやはり茉莉には常人離れした適応力が備わっていると感心したが、別荘で1ヶ月以上、茉莉に無視され続けたレンとしては複雑な心持ちであった。

 あの約1ヶ月間の心を閉ざした茉莉を世話した日々はなんだったのか?

 頭にそんな想いがよぎったレンであったが、茉莉が藍月を父親と認めたのは事実だ。

 レンはこの天然で温厚な茉莉という公主様と苦楽を共にしようと決意する一方で、パンツを1万円で売られるなど、茉莉は基本的に売られる運命のお姫様であると確信していた。

 茉莉は迂闊に藍月を『パパ』と認めてしまい慌てたが、茉莉の特に面白いとは云えないパンツ騒動を楽しんで聴いている藍月の笑顔を見ていて、彼は自分の父親だと内心では納得していたのである。

 自分には偽物の『父さん』と『母さん』しかいなかった。

 でも、藍月は年齢差こそ16歳だが確実に茉莉の実の父親であり、パパだったのである。

 そう結論付けると茉莉は深呼吸をしたあとに藍月に告げた。

 「貴方を父と認めます」

 茉莉の決断に藍月は柔和な笑みで言葉を返した。

 「それは光栄です。茉莉、私のことはパパと呼んでください」

 「はい。……パパ」

 照れた様子で茉莉が微笑むとレンはボスである藍月に頼み込んだ。

 「ボス!俺、茉莉直属の部下になりたい!茉莉と離れたくない。絶対に茉莉を護るから!お願いします!」

 レンが頭を下げると藍月はユンに笑いかけて、こう命令を下した。

 「分かりました。レン、命に代えても茉莉を護ること。誓ってくださいね?」

 「はい!茉莉は俺の恋人で公主(姫様)だから俺が護る!」

 毅然とレンが宣言すると藍月は笑顔のままこう云い放った。

 「レン……。貴方と茉莉の間に愛情があっても、貴方がユンの弟であっても、13歳で未熟な貴方が茉莉の恋人なんて私は茉莉のパパとして認めません」

 つまりユンの弟というだけの若干13歳のレンでは藍月パパは茉莉と深い仲になるのを認めないらしい。

 「茉莉とそういう仲になりたいなら、敵マフィアの幹部の首をユンのように私にプレゼントしてください」

 「ユンさん、パパに敵の首をプレゼントしていたのですか?」

 しれっとパパ呼びが馴染んでいる茉莉に対してユンは「14歳でマフィアになってすぐに。まだ面が割れてなかったので楽勝でした」と涼しい顔で答えている。

 茉莉は敵組織の幹部の首なんてプレゼントされても困るし、むしろ要らないが、藍月に焚き付けられたレンは茉莉と恋人になるためにやる気満々である。

 「OK!ボス!明日には最近、藍珠幇のシマを荒らしてるライバル組織の頭目の首を納品する!」

 そう誓うとレンは走って飛び出していってしまった。

 「レンが無茶しないかな?ユンさん、ライバル組織と対決なんてレンの身に危険が?」

 心配する茉莉にユンは藍月の膝に乗りながら言い切った。

 「あの程度の雑魚に返り討ちにされるほど、レンは弱くはありません。ご安心ください」

 「茉莉、レンはマフィアの神童です。ほら?茉莉もパパの膝に座りますか?」

 愛人のユンを愛撫しながら息子を膝に乗せようとする藍月も大概だが、茉莉の反応も天然であった。

 「ユンさんの定位置なので僕は遠慮します。それより、レンが戻ってきたら僕の膝に乗せてあげたいです」

 茉莉にとってはレンはまだまだ男ではなく弟のような可愛い存在らしい。

 「本当にレンの恋は前途多難ですねえ。パパが思うにレンは茉莉を膝に乗せたいと切望していますが?」

 父藍月の言葉の真意が分からずポカンとする茉莉であったが、ユンは「茉莉様は聡明で温厚で可愛い方だが少し鈍感すぎる。だからパンツを盗難された挙げ句に転売されたんだ」と考えていた。

 翌日未明、ユンと眠っていた藍月は寝室に入り込んだレンに叩き起こされた。

 鍵をかけたボスの寝室に無断でズカズカ入ってきたレンは得意気に3級の首を掲げている。

 「暗がりで待ち伏せして散弾獣で蜂の巣にして、首は近くの料理屋から刃物を借りて切断してきた!」

 3級の首は間違いなく最近シマを荒らしてるライバル組織の頭目と幹部2人のもので間違いないが、寝室まで乗り込んで披露するレンに対してユンは兄として注意をした。

 「首の切断で刃物を借りた料理屋にお礼はしたのか?残った死体は?」

 「料理屋の大将が『ここ通学路だから』って片付けてくれた。礼金は払ったよ」

 通学路だから死体の後始末をつけてくれる料理屋の大将がいる異国!

 とにかく街を荒らす邪魔者はレンが抹殺したので藍月はあくびをしながらレンに告げた。

 「今日にでも刃物を貸してくれて、死体の後始末をしてくれた料理屋さんに菓子折りを持ってお礼にいかないとですね。ユン、高級なのを買ってきてください」

 「わかった。レン、返り血を浴びないで殺せたのは偉いぞ」

 ユンが褒めるとレンは笑顔で藍月にお願いをした。

 「約束は守ったから茉莉の恋人と認めてください!」

 首を納品してきたレンの顔を見ながら藍月は微笑して息を吐くと潔く頷いた。

 「その調子で茉莉を護ってくださいね」

 藍月の返事にレンは「もちろん!」と応えて首3級を寝室に放置して茉莉の部屋に行ってしまった。

 「やれやれ!本当に首を納品されてしまいましたね」

 苦笑する藍月の傍らでユンが息を吐いて、レンが獲ってきた生首は生ゴミの日に捨てなければと頭を痛めていた。

 「生ゴミの日まであと3日もある。それまでは地下の冷凍庫に保管しないとだな。レンも生ゴミの日を考えて暗殺してほしい」

 異国のマフィア組織『藍珠幇』が支配する街のゴミ収集では生首は生ゴミで捨てられるのだ。

 何故ならばゴミ清掃業者もマフィアとズブズブだからである。

 「ユンは明日が生ゴミ収集日だと計算した上で首を獲ってきますからねぇ?」

 普通に生首に落書きをしている藍月に笑われながら、ユンは次からゴミ収集日を念頭に敵を暗殺してこいとレンに言い聞かせると息を吐いていた。

 茉莉が寝台で瞳を開くと、レンがすぐ横でスヤスヤ眠っていた。

 「よかった……。レンが無事に帰ってきて」

 茉莉は布団をレンに掛けると頬にキスをして、レンを抱き締めた。

 抱き締めた拍子にレンが目を覚ましたので、茉莉が「おかえりなさい」と告げると「ただいま」とレンが赤面しながら返事をした。

 2人で部屋を出ると豪華なダイニングに藍月とユンが待っている。

 「おはようございます。茉莉」

 「おはようございます。パパ」

 茉莉が挨拶をすると藍月は優しく微笑んだ。

 ユンは茉莉の食事を並べながら、レンに何やら厳しく注意をしている。

 ゴミ収集日を無視するなとレンに真剣に言い聞かせるユンを眺めながら茉莉は思っていた。

 「ユンさんって家庭的な人なんだな。マフィアなのに」

 屋敷の地下倉庫にある冷凍庫にレンが獲得した首3級が保管されているなど茉莉はまだ知らない。

 そして、レンが殺った後始末をしてくれた親切な料理屋さんの後始末が、超雑で通学路には血と肉片など色々落ちていたが、通学している子供たちはスルーしている。

 マフィア組織『藍珠幇』が支配する街では料理屋の近くに血痕やら肉片があっても、生ゴミが落ちてるくらいの感覚であった。

 藍月とユンはレンが迷惑を掛けた料理屋の大将に菓子折りを持って行ったが、大将はあっけらかんと「あの余所者のマフィア連中、タバコの吸殻を店先に捨てるし、殺したいと思ってたんで渡りに船ですよ!」と断言したので、レンが殺らなくてもライバルマフィア頭目と幹部は遠からず料理屋の大将に殺されていただろう。

 そんな治安が世紀末な街だが、藍月は茉莉にパパと呼ばれてご機嫌であった。

 藍月がご機嫌なのでユンは代わりに料理屋の大将に粗大ゴミ料金を支払った。

 生首は可燃ゴミで済むが、首以外の四肢は粗大ゴミで有料というゴミ収集の掟があるからだ。

 ユンがお金を払うと料理屋の大将は笑って凄いことを暴露した。

 「実は先日、店の金を盗んだアルバイト、ぶっ殺して冷凍庫に保管しててね~!」

 「そうなのか。では謝礼でアルバイトの死体粗大ゴミ料金も支払おう」

 支払いとお礼を終えて料理屋を出たユンは(あの料理屋の料理は絶対に食べたくない)と思っていた。

 しかし、藍月は逆のようで、ユンに向かって「茉莉をあそこで少し働かせたら有益です」と決定事項を述べた。

 こうして、茉莉はマフィアになるための第1段階としてアルバイトを平気で殺す大将が営む料理屋でアルバイトをすることになる。

 「アルバイトは学校で禁止されていたからワクワクする!」

 すごくハードモードな料理屋とは知らずに茉莉は初めてのアルバイトに心踊らせていた。

 「茉莉、料理屋の大将は気さくな優しい人なので安心なさい。パパが保証します」

 藍月が励ましている近くでユンは心で何も保証できないと嘆いていた。

 そして、レンは茉莉の側にいたいと主張したので一緒にアルバイトはするが、実質タダ働きが決定する。

 世間知らずな茉莉公主(姫様)が街に馴染むための最初の一歩は、平気で死体を処理して、店の金を盗んだアルバイトを平然と殺す、気さくで優しい大将が経営する料理屋のアルバイトであった。

 【完】
 

 
 

 

 

 

 
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