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寿里~kotori ~

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楽しいミュージカルとフランクフルト!

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「1音外した者はミュージカル俳優にあらず!!滑舌を疎かにする者は舞台から去れ!!」

軽音楽ミュージカル部での稽古にて部長がどっかの大劇団の演出家みたいな鬼指導をしている。

凛はミュージカル初心者なので猛特訓されているが正直、「なら、帰っていいですか?」と思っている。

ロックバンド薬指のベース担当の白珠とキーボード担当の設楽が部外者なのに主演するミュージカル「姫と騎士の冒険」のせいで凛は強制的に厳しい稽古を受けている。

バンドではベースとキーボードの白珠と設楽だが、やっぱり音楽の才能は抜群で歌も上手だ。

久世いわく白珠はダブルボーカルしても問題ないほど歌唱力がある。

おまけにダンスもプロかと驚くほど凄くウマイ!!

「音楽やってりゃ、リズム感は自然と身につく。歌って、踊れないとバンドマンは務まらない!」

なんだろ、白珠はなんて事なく言ってるが勉強できて、容姿がよくて、ベースができて、おまけに歌とダンスもバッチリできる。

マルチに才能が突出してる白珠は久世とは別のスター性を感じる。

設楽も普通に稽古してる分にはキモさが封印されており、クールなイケメンである。

騎士役なので剣を使うが殺陣がプロの域だ。

武術が得意らしいので納得だが主演2名の才能がずば抜けてて凛は助っ人なのに落ちこぼれる。

端役なのに主演より猛特訓されてる。

ミュージカルなんて縁もなかった凛は豆柴を軍用犬にする気かよと思うレベルに練習が容赦ない。

軽音楽ミュージカルの部長は完璧主義者らしいが完璧目指すなら今までの設楽のアドリブを叱れと言いたい。

単に自分の台詞だけ言えればOKと思ってたらダンスとか強要されてる。

助っ人の範疇を越えた本格稽古である。

こんな、ハードな公演のあとに設楽と白珠は本来のロックバンド薬指の学園祭特別ライブが控えている。

身体がもたないと思うが設楽も白珠も平気そうだ。

「公演は昼でライブは夕方だ。数時間休めば余裕にこなせる」

設楽の体力ならそうかもだが細身の白珠はツラくないのか?

凛の疑問に白珠はニヤリと笑った。

「この程度でへばるほどヤワじゃねーよ!バンドって体力使うし!」

主演の2人が余裕なので必然的に凛も全力だす必要がある。

だが、実際の凛は歌も普通でダンスにいたっては素人なのだ。

「加藤!ワンテンポずれてる!そこでターン!」

斗真の個別指導でダンスを練習してる凛だが自分でも下手だと理解できる。

端役で助っ人なのに皆で踊る群舞があるのでダンスは必須だった。

そして、凛がダンスド素人なのに振り付けの難易度が高すぎる。

これはプロの振り付けだ。

斗真は演出顧問であり、振り付け担当でもある。

表舞台には出ないが斗真もダンス激ウマであった。

まあ、ウマイから振り付け担当なわけで仕方ない。

しかし、肝心の軽音楽ミュージカル部の皆さん!

お前ら薬指メンバーに依存しすぎだぞ!

これだと軽音楽ミュージカル部でなく劇団薬指だ。

そんなツッコミをしつつ凛は慣れないダンスに悪戦苦闘した。

当然だがミュージカルは観劇するのが1番楽しい。

観て天国、演じて地獄の象徴でもある。

見かねた白珠がお手本に踊ってくれるが凛にはついていけない。

ステップとか複雑で足がもつれる。

「緊張するな加藤!振りだけ憶えようとしてもギクシャクする!リズムを身体にたたき込め」

運動神経は悪くないと凛は自負していたがリズム感が死んでいた。

振りを記憶しても白珠や設楽のようにキレがまるでない。

これでは助っ人どころか設楽と白珠の足を引っ張ってしまう。

それだけは避けようと凛は稽古に励んでいた。

そんな、ある休日のこと。

凛が勉強の合間にミュージカルの練習をしてたらスマホに連絡があった。

確認すると白珠からで「暇ならこい!」と手短に記されている。

指定された文京区の施設に行くと久世を初め、薬指がバンドの練習をしていた。

「急にごめんな!練習の合間にミュージカルごっこしよう!」

斗真の笑顔に凛は悟った。

下手すぎてヤバいので特別稽古をすると斗真が決めたのだ。

久世は「使用時間が限られてるから30分だけだぞ!!」とエレキギターをいじりながら座った。

久世が見てるなかで稽古かと凛は憂鬱だったが本番は久世どころか十六夜にも見られる。

やはり、カッコいい姿を見せたい。

目立たなくても下手で悪目立ちは避けたい。

そう心を奮い立たせる凛に斗真はにこりと言った。

「加藤は見学してて、じゃあ、始めるよ!」

「えっ?俺の稽古じゃないの?」

凛がポカンとしていると久世がギターをおいて立ち上がった。

なんと、久世も参加するようである。

曲が流れて白珠が歌うとミュージカルはスタートした。

見学してる凛は改めて薬指メンバーの実力と才能に圧倒され、言葉が出ない。

こんな、凄い奴らと友達になった気でいたけどレベルが違いすぎる。

凛が久々の劣等感に苦しんでいると久世がソロで歌った。

「踊って、狂って、皆で歌う!さぁ……おいでよ!!この作り物の楽しい天国へ!」

久世が歌うと凛は自分の意思関係なく身体が動いた。

皆と狂ったように踊って、歌い、気がついたら汗だくになっていた。

でも、楽しかった。

凄く楽しかった。

自分が下手とか周囲が上手なんて考えず、楽しんで音楽の世界に没入できたのだ。

久世の生歌の影響でも、これまでとは考えられないほど楽しく夢中になれた。

凛が息をきらしてると斗真が笑顔で肩をたたいた。

「楽しかった?その楽しさを忘れるな!音楽は楽しいと思える人の味方だ!」

「ありがとう。忙しいのに稽古してくれて」

この4人の才能は突出しているが根本は楽しいからやってる。

凛はようやく理解した。

天才と同じ土俵に立とうと頑張るより楽しむことだ。

逆に彼らと楽しめるように努力する方が幾分か素敵だ。

そう気がついた凛に白珠が気軽に背中をバシンとしてきた。

地味に痛い!

「俺も玄も加藤が頑張るから学園祭は本気だす!もちろん、バンドのライブも!だから、楽しめばいいんだよ!!」

楽しくないと生きてる意味なんてないだろ、と白珠は笑っている。

短いミュージカル稽古のあとに凛は薬指の練習を見学した。

さぞや凄い練習風景かと期待したが凛の見てる前での薬指の稽古はグダグダである。

久世が設楽のイントロが弱いと注意すると設楽は負けずに逆ギレ。

「今日は旅人と朝に1回しかヤってないから溜まってんだよ!朝起ちでムラムラしたまんまキーボードが弾けるか!!」

「うるせーよ!!その今の溜まった絶叫をイントロに変えろよ!!バカ発情鬼!!」

久世の怒る姿に凛は「久世も大変だな」と初めて同情した。

一方、白珠のAメロでの音が不安定だと久世が注意したら白珠は少し恥ずかしそうに答えた。

「朝起ちした玄に1発だけにしろって言ったけど1発だけだと物足りない。帰ったら玄の玄を咥えて……うわ!恥ずかしい!!そればっか考えててベースが玄のあれみたく見えてきて!」

恥じらってるが、白珠の言ってる内容が限りなくセックス依存患者のそれに近い気がする。

これには久世も「家に帰ったら、好きなだけ設楽のあれをフランクフルトみたく咥えろ」と言うのみだ。

久世のフランクフルト発言に白珠は「やめろよ!!コンビニでフランクフルト見るたびに玄の玄を思い出してヤバい!!」と赤面してるが絶賛発情鬼である。

こんな、年中盛ってる動物を2匹従えてる久世は偉大だと凛は尊敬したが斗真が朗らかにとどめをさした。

「なら!練習が終わったら早速、コンビニに行こう!白珠がフランクフルト咥えてる顔が見たいな!」

1番無害そうで斗真が1番の鬼畜かもしれない。

練習が終了したので凛は薬指メンバーとコンビニに寄り道した。

フランクフルトを咥えてる白珠がエロ可愛いが、それを凝視してる設楽が目がめっちゃたぎってる!!

白珠はこの後に別のフランクフルトを咥える運命なのかと凛は思ったが口には出さなかった。

end








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