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133 真打ち搭乗

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「ね、ねえねえだーちゃん。今ならあーしモフリ放題だよ~。中々ないことなんよ」


 どこか声に焦りの成分が入るアビーに対して、カタリンの声には余裕しかない。


「わらわの旦那さんに、馴れ馴れしく話しかけないで欲しいすけど?」


「だーちゃーん、第二夫人がウルサイんですけどー」


 自信満々だったカタリンも、アビーの余計な一言を聞いて、顔を強張らせる。


「ああん? 誰が第二夫人なんすか。言葉には気を付けるっすよ」


「アタシのほうが先に結婚したんだから、事実じゃーん」


 アビーの言葉を聞くや、カタリンは口角を上げ、手で口を覆った。


 意地の悪い猫のように歪んだ瞳と、アゴを上げる仕草は、高慢なお嬢様そのものだった。


「あくまで婚約ですわ。しかも正式な結婚の条件は、わらわとマサノブが結婚すること、でしょう。ならわらわがが本妻です。ドロボーネコはドロボーネコらしく愛人、いえ、獣に相応しくペットとして、後ろに控えていて欲しいですわね


 悪役令嬢のような笑みを浮かべたカタリンは、揉めるしかない事実を言い放った。


 次の瞬間、アビーは姿勢を低く取り、カタリンも腰を落として応じる。無言なところが、両者の真剣さを物語っていた。


 新婚早々、二人の妻が喧嘩を始めてしまった。


 二人の妻同士の諍いなんて、どうやって仲裁すればいいんだよ。政信の精神が途方に暮れる準備を始めたところで、カタリンが長い耳を上下に動かした。


「……ん? 何の音ですの」


「ニャ?」


 第一夫人と第二夫人が、互いの尊厳を賭けた戦いに突入しようとしたその時、遠くから無数の足音が響いてきた。


 足音がとどろく方向へ顔を巡らせると、先頭を行く珠緒と目が合った。


「マサ、助けに来たわよ!」


 ジュリアンくんを抱き寄せながら、珠緒とはドヤ顔をしていた。
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