決闘で死んだ俺が凶悪なロリ令嬢として転生してしまったので、二度と負けないために最強を目指して妖魔との戦いに身を投じることにした

呉万層

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7:出会わず別れ

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「やる気になったのなら結構なことだ。では、手続きを行う。キミの御両親を呼んでくれ」



 山田剛太郎改めミオ・オスロンからの真摯な宣言を正面から受けたハイテに、心を動かした様子はなかった。



 一大決心を示したにもかっわらず塩対応とあって、ミオは不満だった。



 が、口にはしない。男らしくないからだ。



 ミオはいっそう胸を張って、ハイテと対峙した。



「よかろう。おいメイドども、両親を呼び出せ。急げ。時間は有限だ」



 ミオは、細く短い腕を、鋭い動作で振るって、メイドたちに命令を下した。



「了!」



「解!」



「でっす!」



「「「承りまし、た~~~」」」



 メイドたちは、一人一人がカマキリや女豹、怪鳥のような不可思議なポーズを決め、冗長に返事を返してきた。



「早くしろと言っただろうが! さっさと呼んで来い。クビをきるぞ」


 
 脅されると、メイドの一人が代表して答える。



「スグには無理なので~す。御当主様と奥様は、薬草園か研究所にこもりきりでっすから~」



「そうか、それでお会いできなかったのだな。納得がいったよ」



 ハイテが一人頷いていた。



 一応ハイテも、ミオの両親に会おうとしていたらしい。考えれば当然か。保護者に話を通さず、いきなり寮のある学校に入れるなど、できるはずもない。



「俺が行こう。両親は今、薬草園と研究所のどちらにおられるか。代表一人で答えろ。一番背の高いお前な」



 この世界の両親に〝御〟はつけるべきだったろうか? 実の両親い丁寧過ぎるのも変か? 前世で身に着けた武道礼しか知らないミオは、この世界で貴族が身に着けるべき貴族の礼儀作法には疎いため、頭を悩ます羽目になった。
 もっとも、一瞬のことだ。
 ミオに長々と悩む習慣はないのだ。



「御当主様も奥様も、研究所にこもりきりです。行ってもお会いできませんよー。お嬢様もご存じでしょう?」



 メイドの口ぶりから、ミオの両親が研究所とやらにこもりきりでいることは、このオスロン家では知られたことのようだ。



 ハイテが事務的な態度で質問する。



「いつならお会いできるのだ?」



「最低でも三日ですねー、研究が長引けば、十日ほどでございます」



 陶酔にうるんだ瞳で、メイドがハイテに答えた。



 仕事中に、色ボケな態度を示すとはいい度胸だ。



 ミオは、メイドに対する低い評価を、さらに下げた。



 同時に、待つことが嫌いなミオは、即座に決断する。



「そうか、ならいい。荷物をまとめしだい、出立だ」



 ミオが廊下へ向けて歩き出すと、ハイテが止めてくる。



「待て。どこへ行く」



「無論、魔法学校とやらだ、あないしろ」



 何をいまさらとばかりに、ミオが言い放つと、ハイテは嘆息する。



「ご両親との挨拶はどうするのかね。入学前に済ませておきたい。それに、魔法学校では寮で生活するのだ、中々会えなくなるぞ」



「また今度でいいだろう。死に分かれるわけでもあるまいし」



「ご両親の許可なくキミを連れ出すとなると、誘拐とみなされかねない」



 そういうものか。ハイテに不必要な打撃を与えたいわけではない。流石にミオも躊躇を覚えた。



 ではどうしよう。せっかく覚悟を決めたというのに……ミオを考えた。



 そして、面倒になった。



「どうでもいい。行くぞ」



 ミオは短絡した。
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