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Chapter4(Remember You編)
Chapter4-⑧【夕日を見ているか?】
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蜩がけたたましく鳴いている。
仁藤からメールが来たが、読む事なく削除した。
先日の公園から電話を掛ける。
「おう、タカユキか。
今、何処だ?」
ケンゴの声が懐かしく感じた。
「この間の公園なんだけど、ちょっと早かったかな?」
躊躇い勝ちに答える。
「今、近所をジョギング中なんだ。
そっちに向かうから、ちょっと待っててくれ。」
電話は呆気なく切れた。
ブランコに座り、空を見上げる。
一番星が低い位置に見えた。
明日、仁藤はジムに来るだろうか?
そう考えると、気分が沈んだ。
残り少ない陽光を全身に受けたジョガーが目に入る。
真っ赤なタンクトップとショートパンツが、オレンジ色に染まっていた。
「おう、待たせたな。」
全身汗だくのケンゴが白い歯を零す。
汗を吸った薄い生地は筋肉に張り付き、一層淫らに見せた。
「うんん。星を見てた。」
視線を逸らして答える。
緩やかに闇へシフトしていく中、沈黙が続く。
「お前、今日もエロ親父と会ってたのか?」
先に口を開いたのはケンゴだ。
「えっ?」
思いも寄らない質問に聞き返す。
「だから、エロ親父とやったのかって、聞いてんだよ!」
苛立った声が辺りに響いた。
「会ったけど、やりはしなかったよ。」
言い訳がましく答える。
「どうだかな?
お前がこんなに尻軽とは思わなかったよ。」
語気が落ちた発言に普段の威勢はない。
「…。」
最後の残光を帯びた顔を見詰める。
『これって、もしかしてヤキモチ?』
ケンゴは昼と夜が鬩ぎ合う空に視線を向けた。
「まあ、いいさ。
俺達、別に付き合ってる訳じゃないしな。」
闇が口元を覆う。
『だってケンゴには一緒に住んでる人がいるだろ?』
出掛かった言葉を飲み込む。
「これ見ろよ。
俺はいつもケンゴと一緒さ。」
スパッツを下ろし、マラを突き出す。
弱弱しい夕陽を浴びたコックリングが鈍く光る。
「そ、それは俺がやったリング…。」
暗闇の中、目だけが大きく見開くのが分かった。
「そっか…、いつも装着してくれてたんだ。」
掌が勃起したマラを優しく包む。
「あっ…。」
思わず声が漏れる。
その声をケンゴの唇が飲み込む。
夕暮れの抱擁は、煩わしい思いを全て忘却させてくれた。
右手をケンゴの股間に伸ばす。
「えっ?」
指先に異物が触れた。
金属製らしく微動だにしない。
「お守りだ。
こいつが俺を守ってくれる。」
離れた唇がニヤリと笑う。
「守るって?」
意味が分からず、聞き返す。
「ジムにいると触ってくる奴がいるだろ?
前に俺がキレた奴とか。
あれ以来ずっと装着してんだ。」
今度はケンゴがショートパンツを下ろす。
金属製のケージの中で熱り起つペニスが藻掻いていた。
「ス、スゲェ!」
ありふれた驚きの声を発するのがやっとだ。
「お前も、これをしてくれないか?
そうすれば俺も安心出来るんだ…。」
いつもの命令口調は影を潜め、哀願気味に囁く。
「頼むよ。
お前があのエロ親父とイチャイチャしてると、腸が煮え繰り返りそうになるんだ。」
素直な訴えが胸を打つ。
「…。」
嬉しい反面、デメリットも考えてしまう。
当然ケンゴが鍵を持つ事になれば、今みたいに週一の射精すら出来なくなる。
街路灯が瞬き、遊具が浮かび上がる。
「鍵はケンゴが持つんだろ?
俺はいつ射精出来るんだ?」
不安の種を聞いてみた。
「ああ勿論だ。
一週間経てば勝手に夢精するさ。」
ケンゴが吹き出す。
「そんな笑い事じゃないよ。」
膨れっ面で言う。
「悪かったな。
だが、俺はそうしてるんだ。
夢精しても直に洗えねぇから、めちゃクセエぞ。
嗅いでみるか?」
ケンゴが悪戯っ子の様な表情で聞く。
ふらふらと近寄り、ケージに鼻を寄せる。
饐えた雄の異臭が鼻孔を劈く。
しかし今のタカユキにとっては至極官能的で、五感を刺激した。
「お前もこの淫奔な匂いを発して欲しいんだ。」
掌で後頭部を押され、ケージが鼻にめり込んだ。
(つづく)
仁藤からメールが来たが、読む事なく削除した。
先日の公園から電話を掛ける。
「おう、タカユキか。
今、何処だ?」
ケンゴの声が懐かしく感じた。
「この間の公園なんだけど、ちょっと早かったかな?」
躊躇い勝ちに答える。
「今、近所をジョギング中なんだ。
そっちに向かうから、ちょっと待っててくれ。」
電話は呆気なく切れた。
ブランコに座り、空を見上げる。
一番星が低い位置に見えた。
明日、仁藤はジムに来るだろうか?
そう考えると、気分が沈んだ。
残り少ない陽光を全身に受けたジョガーが目に入る。
真っ赤なタンクトップとショートパンツが、オレンジ色に染まっていた。
「おう、待たせたな。」
全身汗だくのケンゴが白い歯を零す。
汗を吸った薄い生地は筋肉に張り付き、一層淫らに見せた。
「うんん。星を見てた。」
視線を逸らして答える。
緩やかに闇へシフトしていく中、沈黙が続く。
「お前、今日もエロ親父と会ってたのか?」
先に口を開いたのはケンゴだ。
「えっ?」
思いも寄らない質問に聞き返す。
「だから、エロ親父とやったのかって、聞いてんだよ!」
苛立った声が辺りに響いた。
「会ったけど、やりはしなかったよ。」
言い訳がましく答える。
「どうだかな?
お前がこんなに尻軽とは思わなかったよ。」
語気が落ちた発言に普段の威勢はない。
「…。」
最後の残光を帯びた顔を見詰める。
『これって、もしかしてヤキモチ?』
ケンゴは昼と夜が鬩ぎ合う空に視線を向けた。
「まあ、いいさ。
俺達、別に付き合ってる訳じゃないしな。」
闇が口元を覆う。
『だってケンゴには一緒に住んでる人がいるだろ?』
出掛かった言葉を飲み込む。
「これ見ろよ。
俺はいつもケンゴと一緒さ。」
スパッツを下ろし、マラを突き出す。
弱弱しい夕陽を浴びたコックリングが鈍く光る。
「そ、それは俺がやったリング…。」
暗闇の中、目だけが大きく見開くのが分かった。
「そっか…、いつも装着してくれてたんだ。」
掌が勃起したマラを優しく包む。
「あっ…。」
思わず声が漏れる。
その声をケンゴの唇が飲み込む。
夕暮れの抱擁は、煩わしい思いを全て忘却させてくれた。
右手をケンゴの股間に伸ばす。
「えっ?」
指先に異物が触れた。
金属製らしく微動だにしない。
「お守りだ。
こいつが俺を守ってくれる。」
離れた唇がニヤリと笑う。
「守るって?」
意味が分からず、聞き返す。
「ジムにいると触ってくる奴がいるだろ?
前に俺がキレた奴とか。
あれ以来ずっと装着してんだ。」
今度はケンゴがショートパンツを下ろす。
金属製のケージの中で熱り起つペニスが藻掻いていた。
「ス、スゲェ!」
ありふれた驚きの声を発するのがやっとだ。
「お前も、これをしてくれないか?
そうすれば俺も安心出来るんだ…。」
いつもの命令口調は影を潜め、哀願気味に囁く。
「頼むよ。
お前があのエロ親父とイチャイチャしてると、腸が煮え繰り返りそうになるんだ。」
素直な訴えが胸を打つ。
「…。」
嬉しい反面、デメリットも考えてしまう。
当然ケンゴが鍵を持つ事になれば、今みたいに週一の射精すら出来なくなる。
街路灯が瞬き、遊具が浮かび上がる。
「鍵はケンゴが持つんだろ?
俺はいつ射精出来るんだ?」
不安の種を聞いてみた。
「ああ勿論だ。
一週間経てば勝手に夢精するさ。」
ケンゴが吹き出す。
「そんな笑い事じゃないよ。」
膨れっ面で言う。
「悪かったな。
だが、俺はそうしてるんだ。
夢精しても直に洗えねぇから、めちゃクセエぞ。
嗅いでみるか?」
ケンゴが悪戯っ子の様な表情で聞く。
ふらふらと近寄り、ケージに鼻を寄せる。
饐えた雄の異臭が鼻孔を劈く。
しかし今のタカユキにとっては至極官能的で、五感を刺激した。
「お前もこの淫奔な匂いを発して欲しいんだ。」
掌で後頭部を押され、ケージが鼻にめり込んだ。
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