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Chapter11(物怪編)
Chapter11-⑩【嵐の第三京浜】後編
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リュウヘイはピークに達し、男の尻をがっちり掴む。
一部の隙間も出来ない様に下半身を押し付ける。
男は仰け反って、マラを締め付けてきた。
「おおっ!」
空に向かって、咆哮を上げる。
雨粒が口内に溜まっていく。
それを吐き出すと、ザーメンも一気に出口に向かう。
羽交い締めにした男の重みを堪能する。
最後の一滴迄、送り込みたい。
しかし相手にその余韻を味わう余裕はない様だ。
離れた男はそそくさと立ち去っていく。
「ちょっ、ちょい待て…。」
手を伸ばし、一歩踏み出す。
水溜まりに倒れている男に気付く。
「おいっ、どうしたんだ!
大丈夫か?」
それがワタルだと分かる。
肩を揺さぶるが、身動き一つしない。
「興奮し過ぎて、失神した様です。」
脇にいた男が代わりに答えた。
ワタルを掘っていた男ではない。
『何時の間に来たんだ?』
フードを被った男に覚えはない。
「新顔だな。」
リュウヘイは胡散臭そうな視線を向ける。
「ええ、初めて来ました。
ワタル君と飲んでいて、誘われたんですよ。
まあ、誘った本人は酔いが回ってしまいましたが。」
男はワタルの腕を自分の肩に掛けた。
「どうするんだ?」
「勿論、連れて帰ります。
安心して下さい。」
ワタルを背負うと、暗闇へ向かって歩き出す。
「おいっ、連れて帰るって…。」
答える事なく、雨の中へ消えていった。
「何か、変だな。」
リュウヘイはミニバンに乗り込むと、タオルで頭を拭く。
男の行動に違和感を覚えた。
「本当にワタルの知り合いなのか?」
エンジンを掛けると、暖気が全身を包み込む。
身体が暖まると、思考も冴えてくる。
声を掛けた時、ワタルは一人だった。
付いて来たなら、普通一緒にいる筈だ。
やはり腑に落ちない。
「もういないか?」
リュウヘイはハイビームにすると、アクセルを踏み込む。
男が向かった公園の出口へ急ぐ。
公園を出た横断歩道で手を挙げている男が見えた。
背負っているシルエットは間違いない。
ずぶ濡れの男を乗せるタクシーはいない。
どのタクシーも水飛沫を上げ、通過して行く。
「乗らないっすか?」
横断歩道に停車し、声を掛ける。
開けた窓から雨が吹き込む。
驚いた表情の男は一瞬、躊躇した。
「早く乗って!
ワタルの体調が悪いみたいだし。」
スライドドアを開ける。
「申し訳ない。
助かりました。」
「ほらっ、これで拭いて。」
タオルを後部座席に投げた。
男は頭を拭くと、レインコートを脱ぐ。
思いの外、ビルドアップした筋肉がバックミラーに映った。
「俺、ワタルの実家知ってるから、そこへ向かうっすよ。」
リュウヘイはウインカーを出す。
「いや、それは困ります。
今日は私の家に泊まる予定なので…。」
「何言ってだ?。
意識もないのによ。
今日は一先ず実家に連れていくぜ。
やりたいなら別の日にしろ。」
リュウヘイは車線を変更し、右折レーンで止まる。
「本当に酔ってるだけ…。」
振り返ろうとした時、後頭部に激痛が走った。
突っ伏したハンドルがけたたましくクラクションを鳴らす。
だが耳障りなノイズは直ぐ闇に飲み込まれた。
(つづく)
一部の隙間も出来ない様に下半身を押し付ける。
男は仰け反って、マラを締め付けてきた。
「おおっ!」
空に向かって、咆哮を上げる。
雨粒が口内に溜まっていく。
それを吐き出すと、ザーメンも一気に出口に向かう。
羽交い締めにした男の重みを堪能する。
最後の一滴迄、送り込みたい。
しかし相手にその余韻を味わう余裕はない様だ。
離れた男はそそくさと立ち去っていく。
「ちょっ、ちょい待て…。」
手を伸ばし、一歩踏み出す。
水溜まりに倒れている男に気付く。
「おいっ、どうしたんだ!
大丈夫か?」
それがワタルだと分かる。
肩を揺さぶるが、身動き一つしない。
「興奮し過ぎて、失神した様です。」
脇にいた男が代わりに答えた。
ワタルを掘っていた男ではない。
『何時の間に来たんだ?』
フードを被った男に覚えはない。
「新顔だな。」
リュウヘイは胡散臭そうな視線を向ける。
「ええ、初めて来ました。
ワタル君と飲んでいて、誘われたんですよ。
まあ、誘った本人は酔いが回ってしまいましたが。」
男はワタルの腕を自分の肩に掛けた。
「どうするんだ?」
「勿論、連れて帰ります。
安心して下さい。」
ワタルを背負うと、暗闇へ向かって歩き出す。
「おいっ、連れて帰るって…。」
答える事なく、雨の中へ消えていった。
「何か、変だな。」
リュウヘイはミニバンに乗り込むと、タオルで頭を拭く。
男の行動に違和感を覚えた。
「本当にワタルの知り合いなのか?」
エンジンを掛けると、暖気が全身を包み込む。
身体が暖まると、思考も冴えてくる。
声を掛けた時、ワタルは一人だった。
付いて来たなら、普通一緒にいる筈だ。
やはり腑に落ちない。
「もういないか?」
リュウヘイはハイビームにすると、アクセルを踏み込む。
男が向かった公園の出口へ急ぐ。
公園を出た横断歩道で手を挙げている男が見えた。
背負っているシルエットは間違いない。
ずぶ濡れの男を乗せるタクシーはいない。
どのタクシーも水飛沫を上げ、通過して行く。
「乗らないっすか?」
横断歩道に停車し、声を掛ける。
開けた窓から雨が吹き込む。
驚いた表情の男は一瞬、躊躇した。
「早く乗って!
ワタルの体調が悪いみたいだし。」
スライドドアを開ける。
「申し訳ない。
助かりました。」
「ほらっ、これで拭いて。」
タオルを後部座席に投げた。
男は頭を拭くと、レインコートを脱ぐ。
思いの外、ビルドアップした筋肉がバックミラーに映った。
「俺、ワタルの実家知ってるから、そこへ向かうっすよ。」
リュウヘイはウインカーを出す。
「いや、それは困ります。
今日は私の家に泊まる予定なので…。」
「何言ってだ?。
意識もないのによ。
今日は一先ず実家に連れていくぜ。
やりたいなら別の日にしろ。」
リュウヘイは車線を変更し、右折レーンで止まる。
「本当に酔ってるだけ…。」
振り返ろうとした時、後頭部に激痛が走った。
突っ伏したハンドルがけたたましくクラクションを鳴らす。
だが耳障りなノイズは直ぐ闇に飲み込まれた。
(つづく)
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