妄想日記5<<DISPARITY>>

Chapter11(物怪編)

Chapter11-⑩【嵐の第三京浜】前編

「まだ相手は諦めてないかもしれません。
止めておいた方がいいのでは？」
「こんな大雨の日に襲ってこないよ。
ちょっと見学したら、直ぐに帰るからさ。
どうせ一緒に帰っても、風呂待ちになるだけだし。」
その理由を聞き、笑顔を向ける。
『一緒に入ってもいいですよ。』
顔を上に向け、その言葉を飲み込む。
引き攣った顔を笑いで誤魔化す。
「では30分ですよ。
充分に注意する様に。」
中嶋も傘を閉じる。
この横殴りの雨では傘が壊れるだけだ。
ワタルの言う通り、びしょ濡れになるのは一緒だった。
スキップしながら、遠ざかっていく後ろ姿を見送る。
雨を直に受け、口を開く。
深層で燻る焔を鎮める為に。
 
公園に人影はない。
普段の夜であればジョギングしている人がいた。
しかしこの雨ではそんな奇特の者はいない。
ワタルは木々の下を歩き、極力雨を避ける。
枝が強風に煽られ、がさがさとざわめく。
下半身に血流が集まる。
正に血が騒ぐという感覚だ。
目の前に野球場のグランドが広がる。
そのバックネット裏が目的の場所だ。
木々の下から出ると、大粒の雨粒が顔を打ち付けてきた。
前屈みになり、強風に抗う。
バックネットの裏を覗いてみる。
三体の陰が合体していた。
ワタルはふらふらとその塊に近寄っていく。
 
「おう、ワタル！
やっぱ来たな。」
腰を振っている男が両手で顔を拭う。
ゴーゴー仲間のリュウヘイだ。
「当たり前さ。
この時期に嵐なんて珍しいからな。
逃す訳ないよ。」
ワタルはゴーグルをすると、三人のポジションを確認する。
リュウヘイに掘られている男の口はもう一人の男のペニスで塞がれていた。
「あんた、どう見てもウケだな。
ケツ出せよ。」
フェラされていた男が竿を抜き、ワタルに歩み寄る。
「ああ、この嵐で身体が疼いて仕方ないんだ。」
ワタルはスパッツを下ろし、尻を突き出す。
剥き出しになったアナルにも、雨が打ち付けてきた。
 
「おおっ、たまんねぇ！」
ここでは本能通りに振る舞える。
声を潜める必要はなかった。
『風よ吹け！嵐を呼べ！』
三浦の所為で禁欲生活が続いている。
自業自得だが、身体は納得しない。
雨がスクリーンとなり、周りから見えない筈だ。
「おおっ、もっと降れぇ！」
太マラがアナルを掻き回す。
唐突に頬を張られた。
ドキッとして、頬に手を伸ばす。
それは水分をたっぷり吸ったビニール袋だった。
腕を突き上げ、指から離す。
高く舞い上がった袋はバックネットを超えて行った。
一緒に恐怖心も飛ばされていく。
目の前にリュウヘイに掘られている男の顔があった。
やはりゴーグルをし、舌を伸ばして挑発してくる。
ワタルも舌を出し、ゴーグル男の舌に絡めた。
雨の味は刺激的だ。
ゴーグル男が身体を仰け反らし、舌が離れた。
ワタルは好物を奪われて、必死に舌を伸ばす。
その時、掌で口を塞がれた。
慌てて鼻から空気を吸い込む。
次に鼻を摘ままれた。
反射的に口を開く。
それを見越した様に長いペニスが侵入してきた。
ワタルは夢中でしゃぶりつく。
そのペニスが誰の物か知らずに。
 
 
(つづく)