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Chapter11(物怪編)
Chapter11-③【浅い眠り】後編
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「随分デカいバッグだな。
何持ってきたんだ?」
「それは追々。
まあナツキさんが嫌いじゃない事は確かだけど。」
ミナトはジーンズを脱ぐと、真っ裸になる。
「じゃあ、ちょっと泳いで来るんで、ゆっくりしてて。」
ゴーグルを持ったミナトは男を追った。
浜で寝ていた男達が一斉に起き上がる。
全裸のイケメンは珍しい様だ。
中には目を擦って、瞬きしている者をいた。
ミナトの変わり様に感心する。
以前あった周りの視線を気にする様子はない。
「欲望に真っ直ぐ突き進む。
これがモデルの第一条件です。
カメラを気になるようでは無理です。
タチ役にイケメンモデルが少ないのはこれが原因です。
最初にこれを見極めて下さい。」
中嶋の心配は杞憂に終わった。
ナツキは旅の疲れか、横になると目を瞑る。
潮騒が子守唄代わりとなり心地好い。
覆い被さる睡魔に抗う気はなかった。
男は沖の岩場で甲羅干しをしていた。
足元に競パンが脱ぎ捨ててある。
「よっ、観光か?」
ミナトは声を掛ける。
ゲイと話すのは久し振りだ。
「ああ、そうだ。
あんたもか?」
顔だけ上げた男が答えた。
ミナトも岩に上がり、男を見下ろす。
熱り起つペニスが背中に影を作った。
海水に浸かっても、照った身体は治まらない。
「元は東京だが、今はこっちで働いている。」
「連れは相方か?」
男の股が少し開いた。
黒々とした剛毛の中でアナルが蠢く。
「いや、東京のダチだ。
どっちがタイプだ?」
安直に聞く。
「どっちもイケるが、今はあんただ。」
男が尻を高く上げた。
「もう勘弁してくれ。」
男が弱音を吐く。
久々の交尾だというのに快楽は一向に訪れてこない。
『どうしちまったんだ?』
自らに問い掛ける。
答えはない。
濡れた競パンを見詰め、男から離れる。
立ち上がった男はマラを掴み、尿道に残ったザーメンを絞り出す。
「あんた、遅漏にも程があるぜ。
ケツマンがぶっ壊れそうだ。」
男は競パンを穿くと、岩場から飛び降りた。
「悪かったな。」
その後ろ姿に声を掛ける。
緩いアナルに巨大なディルドをぶち込みたい衝動を振り払う。
スポーティな競パンにマラが萎えていた。
雲が太陽を覆う。
風が冷たく感じる。
春先の海に長居は無用な様だ。
「不発だったな。」
振り返ると、ナツキがニヤリと笑う。
「まあな、あんなユルマンだったらオナニーの方がマシさ。」
ミナトは視線を逸らす。
「そう強がんな。
もう普通の交尾じゃ、満足感出来ねぇんだろ。」
ナツキの指摘に反論が浮かばない。
その事は薄々自分でも感じていた。
自慰すら道具を使わずにいられない自身を顧みる。
不発は今回だけでない。
この半年で欲する物の形が変わった。
より淫らで、より異形な物に惹かれる。
それが手に入るなら、何を差し出しても良い。
だがここでは入手が困難だ。
『沖縄を離れるか?
折角軌道に乗った仕事を捨てる事になるが。』
家賃も食費も殆ど必要としないここは正に楽園だ。
少なくとも半年前まではそう信じていた。
あのパーティーに参加する迄は。
(つづく)
何持ってきたんだ?」
「それは追々。
まあナツキさんが嫌いじゃない事は確かだけど。」
ミナトはジーンズを脱ぐと、真っ裸になる。
「じゃあ、ちょっと泳いで来るんで、ゆっくりしてて。」
ゴーグルを持ったミナトは男を追った。
浜で寝ていた男達が一斉に起き上がる。
全裸のイケメンは珍しい様だ。
中には目を擦って、瞬きしている者をいた。
ミナトの変わり様に感心する。
以前あった周りの視線を気にする様子はない。
「欲望に真っ直ぐ突き進む。
これがモデルの第一条件です。
カメラを気になるようでは無理です。
タチ役にイケメンモデルが少ないのはこれが原因です。
最初にこれを見極めて下さい。」
中嶋の心配は杞憂に終わった。
ナツキは旅の疲れか、横になると目を瞑る。
潮騒が子守唄代わりとなり心地好い。
覆い被さる睡魔に抗う気はなかった。
男は沖の岩場で甲羅干しをしていた。
足元に競パンが脱ぎ捨ててある。
「よっ、観光か?」
ミナトは声を掛ける。
ゲイと話すのは久し振りだ。
「ああ、そうだ。
あんたもか?」
顔だけ上げた男が答えた。
ミナトも岩に上がり、男を見下ろす。
熱り起つペニスが背中に影を作った。
海水に浸かっても、照った身体は治まらない。
「元は東京だが、今はこっちで働いている。」
「連れは相方か?」
男の股が少し開いた。
黒々とした剛毛の中でアナルが蠢く。
「いや、東京のダチだ。
どっちがタイプだ?」
安直に聞く。
「どっちもイケるが、今はあんただ。」
男が尻を高く上げた。
「もう勘弁してくれ。」
男が弱音を吐く。
久々の交尾だというのに快楽は一向に訪れてこない。
『どうしちまったんだ?』
自らに問い掛ける。
答えはない。
濡れた競パンを見詰め、男から離れる。
立ち上がった男はマラを掴み、尿道に残ったザーメンを絞り出す。
「あんた、遅漏にも程があるぜ。
ケツマンがぶっ壊れそうだ。」
男は競パンを穿くと、岩場から飛び降りた。
「悪かったな。」
その後ろ姿に声を掛ける。
緩いアナルに巨大なディルドをぶち込みたい衝動を振り払う。
スポーティな競パンにマラが萎えていた。
雲が太陽を覆う。
風が冷たく感じる。
春先の海に長居は無用な様だ。
「不発だったな。」
振り返ると、ナツキがニヤリと笑う。
「まあな、あんなユルマンだったらオナニーの方がマシさ。」
ミナトは視線を逸らす。
「そう強がんな。
もう普通の交尾じゃ、満足感出来ねぇんだろ。」
ナツキの指摘に反論が浮かばない。
その事は薄々自分でも感じていた。
自慰すら道具を使わずにいられない自身を顧みる。
不発は今回だけでない。
この半年で欲する物の形が変わった。
より淫らで、より異形な物に惹かれる。
それが手に入るなら、何を差し出しても良い。
だがここでは入手が困難だ。
『沖縄を離れるか?
折角軌道に乗った仕事を捨てる事になるが。』
家賃も食費も殆ど必要としないここは正に楽園だ。
少なくとも半年前まではそう信じていた。
あのパーティーに参加する迄は。
(つづく)
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