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Chapter10(倒影編)
Chapter10-⑥【ロンリー・チャップリン】後編
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「だったら失敗は出来ませんね。
一世一代の勝負です。
私の知識をフル稼働させて、絶対に成功させます。」
「無駄にエロビを見てねぇ事を証明してくれ。」
ナツキはニヤニヤして言う。
「だったらそのエロビマニアの提案です。
ナツキさんも出演して下さい。」
笑い顔がみるみる引き攣る。
「俺がか?冗談言うな。」
「冗談ではありません。
ヒットさせる為の秘策です。」
今度は中嶋が微笑む。
「ワタルのヒットを見ても分かる通り、意外性が重要です。
見る者にやはりなと思われては駄目です。
先を読めない、要は買わないと見れなくするのです。」
「そのヒットの方式は分かるが、それと俺が出るのが関係すんのか?」
訝るナツキは聞く。
「勿論、大ありですよ。
精悍なワタルがここ迄するか、というのも意外性です。
これがこのビデオのヒット要因です。
次を出すなら、他の意外性が必要となります。」
「どんなだ?」
「ナツキさんみたいな極道面がヨガり狂うという意外性です。」
「この俺がヨガり狂うだと!」
カウンターを思い切り叩く。
「そうです。極道物って、コアなマニアがいるんです。
絶対に経験出来ない、Sの究極の願望ですから。」
中嶋はそう言うとパソコンを操作し、ディスプレイにDVDのパッケージを映す。
ナツキに負けじ劣らずの厳つい男が口枷を嵌められ、拘束されていた。
「こんなモン、買う奴がいるのか?
馬鹿な奴っているもんだな。」
ナツキは呆れ顔で言う。
「ええ、ここにいます。」
中嶋が満面の笑みを溢した。
「さて、問題はワタルです。
間違いなく次作の出演依頼が来てる筈です。
どうやって、こっちに引き込むかです。」
腕を組んだ中嶋が顔を顰めた。
「んなもん簡単だ。
あいつに飴をやればいいんだ。
一番大好物な飴をな。」
ナツキは携帯を操作すると、耳に当てる。
「おい、命の恩人だ。
やっと恩返しが出来るぞ。
急いで店に来い!」
一方的に電話を切った。
「これでもう一人のモデルも調達出来た。
後はカメラマンだな。」
こればかりは見当が付かない。
ゲイビデオのカメラマン等何処に問い合わせればいいのか、ネットにも載っていな
い。
「プロは断念しましょう。
それなら当てがあります。
学生時代は映研だったので、目星い知り合いがいます。
金を出せば、きっと撮ってくれるでしょう。」
「映研って、お前は学生の時からホモビデオ撮ってたのか?」
体育会系のナツキには想像出来ない。
「いや、その頃はチャップリンに憧れていたので、風刺映画を撮っていました。」
「ちゃ、チャップリン?」
名前位は聞いた事はあるが、口にするのは初めてだ。
ナツキはまじまじと中嶋を見る。
目の前の男が益々分からなくなった。
「最初は荒唐無稽な話に思えました。
しかしこうやって次々に決まっていくと、何か出来そうな気がしてきました。
ナツキさんって、本当に不思議な人だな。」
思っていた事を中嶋が言い出したので、ナツキは噎せ返る。
吐き出す煙が気管に入ったのだ。
(つづく)
一世一代の勝負です。
私の知識をフル稼働させて、絶対に成功させます。」
「無駄にエロビを見てねぇ事を証明してくれ。」
ナツキはニヤニヤして言う。
「だったらそのエロビマニアの提案です。
ナツキさんも出演して下さい。」
笑い顔がみるみる引き攣る。
「俺がか?冗談言うな。」
「冗談ではありません。
ヒットさせる為の秘策です。」
今度は中嶋が微笑む。
「ワタルのヒットを見ても分かる通り、意外性が重要です。
見る者にやはりなと思われては駄目です。
先を読めない、要は買わないと見れなくするのです。」
「そのヒットの方式は分かるが、それと俺が出るのが関係すんのか?」
訝るナツキは聞く。
「勿論、大ありですよ。
精悍なワタルがここ迄するか、というのも意外性です。
これがこのビデオのヒット要因です。
次を出すなら、他の意外性が必要となります。」
「どんなだ?」
「ナツキさんみたいな極道面がヨガり狂うという意外性です。」
「この俺がヨガり狂うだと!」
カウンターを思い切り叩く。
「そうです。極道物って、コアなマニアがいるんです。
絶対に経験出来ない、Sの究極の願望ですから。」
中嶋はそう言うとパソコンを操作し、ディスプレイにDVDのパッケージを映す。
ナツキに負けじ劣らずの厳つい男が口枷を嵌められ、拘束されていた。
「こんなモン、買う奴がいるのか?
馬鹿な奴っているもんだな。」
ナツキは呆れ顔で言う。
「ええ、ここにいます。」
中嶋が満面の笑みを溢した。
「さて、問題はワタルです。
間違いなく次作の出演依頼が来てる筈です。
どうやって、こっちに引き込むかです。」
腕を組んだ中嶋が顔を顰めた。
「んなもん簡単だ。
あいつに飴をやればいいんだ。
一番大好物な飴をな。」
ナツキは携帯を操作すると、耳に当てる。
「おい、命の恩人だ。
やっと恩返しが出来るぞ。
急いで店に来い!」
一方的に電話を切った。
「これでもう一人のモデルも調達出来た。
後はカメラマンだな。」
こればかりは見当が付かない。
ゲイビデオのカメラマン等何処に問い合わせればいいのか、ネットにも載っていな
い。
「プロは断念しましょう。
それなら当てがあります。
学生時代は映研だったので、目星い知り合いがいます。
金を出せば、きっと撮ってくれるでしょう。」
「映研って、お前は学生の時からホモビデオ撮ってたのか?」
体育会系のナツキには想像出来ない。
「いや、その頃はチャップリンに憧れていたので、風刺映画を撮っていました。」
「ちゃ、チャップリン?」
名前位は聞いた事はあるが、口にするのは初めてだ。
ナツキはまじまじと中嶋を見る。
目の前の男が益々分からなくなった。
「最初は荒唐無稽な話に思えました。
しかしこうやって次々に決まっていくと、何か出来そうな気がしてきました。
ナツキさんって、本当に不思議な人だな。」
思っていた事を中嶋が言い出したので、ナツキは噎せ返る。
吐き出す煙が気管に入ったのだ。
(つづく)
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