妄想日記5<<DISPARITY>>

YAMATO

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Chapter10(倒影編)

Chapter10-⑤【北風のキャロル】前編

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「正直、サク君の使い込んだアナルが広がっても、誰も新鮮味は感じないでしょう。
ああ、やっぱりそうきたかと思われてしまいます。
ワタルさんには先を読ませない高貴さがあるのです。
この眩しい身体がどう汚れていくか？
次の作品でも皆を驚かせましょう。」
ワタルはその言葉に頷く。
「確か貴方の投稿には尿道責めとも書いてありましたね。
経験はおありですか？」
蛇の様な一重の瞼がワタルを捉えた。
「まあ、多少なら。
本格的な責めは受けた事がないんです。」
正直に告げる。
「それは良かった。
最初からズボズボでは新鮮味がないですから。
徐々に入らなかった尿道へ太い異物が入っていく。
その成長過程が見る者を共感させるのです。
次のテーマが決まりましたね。」
三浦がジョッキを掲げた。

「今日は一つお願いがあります。」
赤ら顔の三浦が座り直す。
「何ですか？
出来る事なら。」
ワタルは用心して聞く。
「製作会社から非売品の映像を頼まれまして。
イニシャルの多い販売店に配るらしいのです。」
「それこそ、この間の未収録を使ったらどうですか？」
当然の事を言う。
「実はモデルの顔を見たいという問い合わせが多いらしいのです。
それを少しでも叶えられないかと。」
「それは無理ですよ。
三浦さんの依頼でも引き受けられません。」
ワタルは首を横に振る。
「そんな大袈裟に考えなくても大丈夫ですよ。
ほんの少しだけ、雰囲気が伝わればいいのです。
それでこれを用意してきました。」
三浦がテーブルにキャップとサングラスを置く。
「勿論、ギャラは弾みますよ。」と付け加えた。

「それなら誰だか、分かりませんよ。
しかしワタルさんの瀟洒さは伝わります。
高貴な肉体の持ち主がイケメンと分かれば、更に次作は売れるでしょう。
その為の種蒔きです。」
ワタルの気持ちは揺れ動く。
『飽きられるのは早いぞ。
ギャラの良い中に稼いでおけ。』
サクのアドバイスだ。
非売品とはいえ販売店に配るとなると、ナツキの目にも触れるだろう。
背徳心が顔を縦に振らせない。

「撮影は電車の中を考えてます。」
「でっ、電車ですか？」
聞き返す声が裏返る。
「そう、電車です。
こちらをアナルに入れて、車内で悶える姿を撮ります。
非売品なので過激さは不要です。
モデル紹介の気軽な作品と思って下さい。」
テーブルの上に鶉の卵大の球体が置かれた。
「これを？」
「これをアナルに入れて、電車に乗るだけです。
それだけでギャラが貰えるのですから、楽な仕事ですよ。
さあ、入れてみて下さい。」
突然動き出した球体がテーブルをブルブルと這い出す。
モーター音に反応してしまう性癖が疎ましく思えた。
始発駅で電車に乗る。
三浦は席に座り、膝にバッグを乗せた。
鞄と同色のレンズが覗いている。
ワタルはその前に立ち、吊革を掴む。
レンズは股間に向いていて、顔が映り込む心配はなさそうだ。
発車のベルが鳴った時、空いた吊革は殆どなかった。

(つづく)

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