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Chapter10(倒影編)
Chapter10-①【WANDERERS】後編
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ミナトとの強烈なプレイ以来、ワタルの欲望は鬱積する一方だ。
以前なら、イベントは日頃の憂さを発散する場だった。
だがあの日を境に、舞台に立つ度にイライラが増す。
ゴーゴーを辞めようと思ったのも、これが原因だった。
今は溜まりに溜まった欲求で、押し潰されそうだ。
これだけ多くの人が見ているのに、誰も願いを叶えてくれない。
『今一度、アナルを広げられたい。』
この願望は日増しに大きくなっていく。
「沖縄か、遠いな。」
思わず声に出た。
発展場で抜きあっても、物足りなさばかりが残る。
イケてる男はライトなセックスを望む。
ルックスで選べば、欲求は満たされない。
『ミナトなら…。』
結局、思いはそこへ達し、満たされない欲求は膨らむばかりだ。
思い余って希望のプレイを投稿サイトに載せてみた。
だがワタルが望むプロフィールの持ち主からの連絡はない。
沖縄へ行く事も考えたが、連絡先を知らない男と遭遇する確率はかなり低い。
サクは親が金持ちだと言うが、小遣いを貰っている訳ではない。
家賃や食費が掛からない程度だ。
ゴーゴーを辞めれば、収入源は不定期なナツキな店のバイト代だけになる。
何度も沖縄に行く余裕はない。
行けるとしたら、一回だ。
ゲイビーチや飲み屋に行けば、会える気もした。
『真冬の沖縄って、泳げるのか?』
低い確率に賭けて行くべきか、思い悩む。
ミナトには相方がいると、チカラは言っていた。
やはり沖縄行きは無謀だと思い止まる。
「だったら今度ミナトが来る時に会わせてやろうか?」
チカラの言葉を思い返すが、その口約束が守られる保証はない。
揺れる想いにワタルの苛立ちはピークに達した。
携帯を取り出し、メールを開く。
『投稿文を読みました。
貴方の様な素晴らしい肉体の持ち主が私の趣味と一致する事に感動を覚えました。
私は趣味が高じて、ボディービルコンテストに出場しています。
貴方の望むアナル拡張、鞭打ち、電マ責めは私の得意とする所です。
もしお望みなら、貴方の卑猥な一面を動画に収める事も可能です。
連絡頂ける事を心待にしています。三浦』
一つ引っ掛かっていたメールを読み返す。
添付されている画像を開く。
オイルでテカテカに光る筋肉はボディービルダーに間違いなさそうだ。
『だが…。』
何かが引っ掛かる。
防御本能がサイレンを鳴らしていた。
ワタルは返信ボタンを押すと、文章を考える。
『連絡ありがとうございます。』
相手が馬鹿丁寧なので、こちらもつい丁寧になってしまう。
そう、この馬鹿丁寧さが胡散臭いのだ。
ボディービルダーなら発展場に行けば、引く手あまただろう。
何も投稿等利用しなくても、やる相手には困らない筈だ。
そこが引っ掛かった。
他人に知りたくない性癖なら、名字は書かない。
『きっと俺と同じ変わった趣味だからさ。』
イライラがワタルから正常な判断力を奪う。
『ただ撮影は望みません。』
最後にそう書き込み、送信ボタンに指を置く。
(つづく)
以前なら、イベントは日頃の憂さを発散する場だった。
だがあの日を境に、舞台に立つ度にイライラが増す。
ゴーゴーを辞めようと思ったのも、これが原因だった。
今は溜まりに溜まった欲求で、押し潰されそうだ。
これだけ多くの人が見ているのに、誰も願いを叶えてくれない。
『今一度、アナルを広げられたい。』
この願望は日増しに大きくなっていく。
「沖縄か、遠いな。」
思わず声に出た。
発展場で抜きあっても、物足りなさばかりが残る。
イケてる男はライトなセックスを望む。
ルックスで選べば、欲求は満たされない。
『ミナトなら…。』
結局、思いはそこへ達し、満たされない欲求は膨らむばかりだ。
思い余って希望のプレイを投稿サイトに載せてみた。
だがワタルが望むプロフィールの持ち主からの連絡はない。
沖縄へ行く事も考えたが、連絡先を知らない男と遭遇する確率はかなり低い。
サクは親が金持ちだと言うが、小遣いを貰っている訳ではない。
家賃や食費が掛からない程度だ。
ゴーゴーを辞めれば、収入源は不定期なナツキな店のバイト代だけになる。
何度も沖縄に行く余裕はない。
行けるとしたら、一回だ。
ゲイビーチや飲み屋に行けば、会える気もした。
『真冬の沖縄って、泳げるのか?』
低い確率に賭けて行くべきか、思い悩む。
ミナトには相方がいると、チカラは言っていた。
やはり沖縄行きは無謀だと思い止まる。
「だったら今度ミナトが来る時に会わせてやろうか?」
チカラの言葉を思い返すが、その口約束が守られる保証はない。
揺れる想いにワタルの苛立ちはピークに達した。
携帯を取り出し、メールを開く。
『投稿文を読みました。
貴方の様な素晴らしい肉体の持ち主が私の趣味と一致する事に感動を覚えました。
私は趣味が高じて、ボディービルコンテストに出場しています。
貴方の望むアナル拡張、鞭打ち、電マ責めは私の得意とする所です。
もしお望みなら、貴方の卑猥な一面を動画に収める事も可能です。
連絡頂ける事を心待にしています。三浦』
一つ引っ掛かっていたメールを読み返す。
添付されている画像を開く。
オイルでテカテカに光る筋肉はボディービルダーに間違いなさそうだ。
『だが…。』
何かが引っ掛かる。
防御本能がサイレンを鳴らしていた。
ワタルは返信ボタンを押すと、文章を考える。
『連絡ありがとうございます。』
相手が馬鹿丁寧なので、こちらもつい丁寧になってしまう。
そう、この馬鹿丁寧さが胡散臭いのだ。
ボディービルダーなら発展場に行けば、引く手あまただろう。
何も投稿等利用しなくても、やる相手には困らない筈だ。
そこが引っ掛かった。
他人に知りたくない性癖なら、名字は書かない。
『きっと俺と同じ変わった趣味だからさ。』
イライラがワタルから正常な判断力を奪う。
『ただ撮影は望みません。』
最後にそう書き込み、送信ボタンに指を置く。
(つづく)
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