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Chapter8(男童編)
Chapter8-⑥【顔】前編
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「一体、どうなってんだ!」
寸止めをくらったミサキは穏やかでない。
「後10秒あれば…。」
思わず愚痴が出る。
「遅かったな。
もうターゲットとやってきたのか?」
汗だくのタケルが聞いてきた。
「ああ、未遂だけど。
あー、ムシャクシャする!」
ミサキは狂った様に身体を動かす。
「で、ターゲットはどいつだ?」
タケルが飲み干したグラスを置く。
テーブルの上で空のグラスが震えている。
「え?聞こえない!」
ミサキは吠えるが、それすら轟音に飲み込まれた。
踊る男達は皆上半身裸だ。
日頃鍛えた大胸筋の品評会だ。
大きな胸筋を揺らし、乳首を起たせてアピールする。
汗は筋肉を輝かせるアクセサリーだ。
誰も他人の飛び散る汗等、気にしない。
皆、自分が輝く事しか考えていないのだから。
淫らな筋肉は勝者の証だ。
それは元の世界では通用しない。
ここだけのローカルルールだ。
ここには現実から逃避したい者達が集まっていた。
また明日になれば、詰まらない日常が待っている。
突然、音楽が止まり、照明が明るくなった。
皆、不安げな顔で辺りを見回している。
「おい、裏口行くぞ。」
ミサキの手を引っ張る。
タケルは過去にこれと同じ状況を経験していた。
警察が入ってきたのだ。
ミサキの乱闘が通報されたのだろうと察しが付く。
他の者が気付く前に脱出する必要がある。
タケルは出口とは逆の舞台袖へ向かった。
通用口から外に出る。
建物の影から海岸通りを覗く。
暗い海にパトランプが反射していた。
「こっちはヤバい。
このフェンスを乗り越えて、隣の倉庫を突っ切るぞ。」
タケルはフェンスに足を掛けると、よじ登る。
ミサキは上部を掴むと、腕力だけで身体を引き上げた。
「さすが体操選手だな。
さあ、とっとと行こうぜ。」
降り立ったタケルがフェンスの上で留まるミサキに声を掛ける。
ミサキはフェンスを下を見ていた。
警官が追ってきたかと、フェンス越しに様子を伺う。
暗闇の中にマスクが浮かぶ。
身体は闇に紛れ、不気味な顔だけが浮いている。
「よっ、子守歌の続きは聞かないのか?
降りてこいよ。」
籠った声が聞こえた。
身動ぎしないミサキに不安を覚えた。
「おいっ、早くしろ。
警官が来るぞ!」
タケルは声を荒らげる。
「おらっ、ダチが待ってるぞ。
どうすんだ?
俺とダチのどっちを取んだ?」
愉快そうに選択を迫った。
「すっ、凄い数の警官ですよ!
急がないと!」
フェンスの向こう側から別の声がした。
マスクマンは単独ではない。
「まあ、今日は行け。
こんな所で補導されたら、親が泣くぞ。
続きは又の機会だ。
じゃあな、ミサキ。」
名前を呼ばれ、金縛りが解けた。
タケルの脇に飛び降りる。
「何で俺の名前を?」
フェンスを掴み、顔を押し付けた。
「俺は未来から来たんだ。
未来のお前は牢獄の中だ。
で、ガキンチョのお前にメッセージを頼まれた訳だ。」
奇天烈な答えに二の句が継げない。
(つづく)
寸止めをくらったミサキは穏やかでない。
「後10秒あれば…。」
思わず愚痴が出る。
「遅かったな。
もうターゲットとやってきたのか?」
汗だくのタケルが聞いてきた。
「ああ、未遂だけど。
あー、ムシャクシャする!」
ミサキは狂った様に身体を動かす。
「で、ターゲットはどいつだ?」
タケルが飲み干したグラスを置く。
テーブルの上で空のグラスが震えている。
「え?聞こえない!」
ミサキは吠えるが、それすら轟音に飲み込まれた。
踊る男達は皆上半身裸だ。
日頃鍛えた大胸筋の品評会だ。
大きな胸筋を揺らし、乳首を起たせてアピールする。
汗は筋肉を輝かせるアクセサリーだ。
誰も他人の飛び散る汗等、気にしない。
皆、自分が輝く事しか考えていないのだから。
淫らな筋肉は勝者の証だ。
それは元の世界では通用しない。
ここだけのローカルルールだ。
ここには現実から逃避したい者達が集まっていた。
また明日になれば、詰まらない日常が待っている。
突然、音楽が止まり、照明が明るくなった。
皆、不安げな顔で辺りを見回している。
「おい、裏口行くぞ。」
ミサキの手を引っ張る。
タケルは過去にこれと同じ状況を経験していた。
警察が入ってきたのだ。
ミサキの乱闘が通報されたのだろうと察しが付く。
他の者が気付く前に脱出する必要がある。
タケルは出口とは逆の舞台袖へ向かった。
通用口から外に出る。
建物の影から海岸通りを覗く。
暗い海にパトランプが反射していた。
「こっちはヤバい。
このフェンスを乗り越えて、隣の倉庫を突っ切るぞ。」
タケルはフェンスに足を掛けると、よじ登る。
ミサキは上部を掴むと、腕力だけで身体を引き上げた。
「さすが体操選手だな。
さあ、とっとと行こうぜ。」
降り立ったタケルがフェンスの上で留まるミサキに声を掛ける。
ミサキはフェンスを下を見ていた。
警官が追ってきたかと、フェンス越しに様子を伺う。
暗闇の中にマスクが浮かぶ。
身体は闇に紛れ、不気味な顔だけが浮いている。
「よっ、子守歌の続きは聞かないのか?
降りてこいよ。」
籠った声が聞こえた。
身動ぎしないミサキに不安を覚えた。
「おいっ、早くしろ。
警官が来るぞ!」
タケルは声を荒らげる。
「おらっ、ダチが待ってるぞ。
どうすんだ?
俺とダチのどっちを取んだ?」
愉快そうに選択を迫った。
「すっ、凄い数の警官ですよ!
急がないと!」
フェンスの向こう側から別の声がした。
マスクマンは単独ではない。
「まあ、今日は行け。
こんな所で補導されたら、親が泣くぞ。
続きは又の機会だ。
じゃあな、ミサキ。」
名前を呼ばれ、金縛りが解けた。
タケルの脇に飛び降りる。
「何で俺の名前を?」
フェンスを掴み、顔を押し付けた。
「俺は未来から来たんだ。
未来のお前は牢獄の中だ。
で、ガキンチョのお前にメッセージを頼まれた訳だ。」
奇天烈な答えに二の句が継げない。
(つづく)
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