妄想日記5<<DISPARITY>>

YAMATO

文字の大きさ
上 下
159 / 236
Chapter8(男童編)

Chapter8-④【立ちっぱなしのBad Boy】前編

しおりを挟む
「てっ、てめぇ!」
ミサキはもう一人の男を無視して、リーダー格の男を見詰める。
薄ら笑いは既に消えていた。
「難癖付ける相手を間違ったな。」
ミサキはリーダー格との間合いを詰める。
「ふざけやがって!」
背後の男が羽交い締めした。
小柄な相手を押さえる為に顔が下を向く。
ミサキは大きく頭を前に引くと、反動を使って後ろに戻す。
顎に命中した男はへなへなと座り込んだ。
「雑魚じゃあ、相手にならないよ。
さあ、どうする?」
ミサキが逆に笑顔を向ける。
だがその目は狂気を伴っていた。
 
「おい、少しは楽しみを取っておけよ。」
野次馬の中からハーフが声を掛けてきた。
全身ブラックレザーを着込んでいるが、幼い顔にはアンバランスだ。
「あっ、タケル!ごめんな。
もう出番はないよ。」
視線を逸らした隙に、リーダー格のパンチが伸びた。
ミサキの蹴りが拳を狙い打つ。
『ゴキッ!』
鈍い音と共に、手首が明後日の方向へ向く。
「うわぁぁぁ!」
叫び声を残して、走り出した後ろ姿を見送る。
「派手にやりやがって。
今日は退散するか?
折角、めかし込んできたのに。」
タケルは足で倒れている男を小突く。
立ち上がった男は辺りを見回し、リーダー格がいない事を知る。
倒れている男を背負うと、その場から逃げ出した。
「関係ないさ。
さあ、派手に踊ろうぜ。」
ミサキは屈託なく笑う。
「だな。」
タケルは同意すると、落ちているスケボーに乗り、入り口を目指す。
「あっ、ずりぃ!
それ俺のモンだぜ。」
ミサキは慌てて後を追う。
その姿は無邪気な子供と変わらなかった。
 
「得意技は蹴りか。」
ナツキは呟く。
非力な腕力を補うにはいい選択だ。
あれだけ撓れば、破壊力は何倍にも増すだろう。
仕留めたのも顎、脛椎、手首と鍛えられない部位ばかりだ。
神志那の教えと一致している。
「こりゃ楽しくなりそうだ。」
込み上げてくる笑いを噛み殺した。
「ナツキさん、何ニヤニヤしてるんですか?
マスク被ってるから、余計に不気味ですよ。」
開始前にワタルが煽り台から下りてきた。
「愉快過ぎて、笑いが止まらん。
何だお前、露出狂の煽り役がそんな地味な格好なのか?」
ナツキは薄手のショートパンツを見咎める。
「狂は付かないですよ。
露出ナイトです。」
生真面目なワタルが訂正した。
「どっちも同じだろ。
それじゃ客は盛り上がらんぞ。」
「普通のゲイはこれ位がアガルんですよ。
この間のラバーなんて着てたら、殆どがドン引きです。
今日はマニアより、ノーマルゲイ向けですから。
俺にはちょっと物足りないけど。」
ワタルが小さく笑う。
『だが奴は違う。』
ナツキは煽り台の下で踊るミサキに視線を向ける。
振り乱した髪から汗が飛び散っていた。
あれ位の乱闘では体力は消耗しないらしい。
まだ負け知らずで、無鉄砲に突き進む。
いつの日か、無残に惨敗する日が来る迄は。
良く言えば天真爛漫だが、傍若無人の方が正しいだろう。
神志那が手を焼くのも頷ける。
 
 
(つづく)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

終わり無い絶頂で男は全てを壊される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

無防備な恥部は痒みと快楽で嬲られる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

不良少年達は体育教師を無慈悲に弄ぶ

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...