妄想日記5<<DISPARITY>>

YAMATO

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Chapter7(防砂編)

Chapter7-⑧【Runaway】後編

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「おい、タクヤはどうした?
俺よか遅く来るとは上等だ。」
ナツキは席に座ると、煙草を咥えた。
「それがよ、行方不明なんだ。」
コウスケの顔が曇る。
「ゆくえふめい?
幾ら世紀末とはいえ、そんな奴いるのか?」
「ああ、タクヤがそうだ。
もう二日間、連絡が取れないんだ。
警察付き合ってくんねぇか?」
その言葉を聞いて、悪ふざけでない事は分かった。
「身内でもない奴が行っても無駄だ。」
珍しくナツキは全うな事を口にする。
「じゃあ、どうすればいいんだ?」
「どうせ知り合った奴とセックス三昧じゃねぇのか。」
「まさか!幾ら何でも携帯切って迄、それはないだろう。」
「まあ、裏に男がいる事は間違いないな。」
「臭いな。」
「お前、鼻が利くな。
音出さないで、屁をこいたのによ。」
ナツキは真顔でコウスケを見た。
 
「次はジムに行ってみるか。
折角の休みなのに悪いな。」
神志那が帰省するタイミングで、遅い夏休みを貰っていた。
「まあ、仕方ねぇさ。
あの馬鹿がいねぇと、盛り上がりに欠けるしな。」
カズユキの冷たくなった顔を思い出し、頭を振る。
「まあ、どっかでぴんぴんしてるだろう。
見付かったら、飯奢れよ。
俺の時給、今は高いだぜ。
焼肉か、寿司じゃねぇと、割が合わんな。」
「ああ、もちろんだ。
タクヤに払わせるから、何でもいいぜ。」
軽口を叩く顔に笑みはない。
「ジムは何処だ?」
「昔の児玉ジムだ。
経営者は変わっているけどな。」
二人は残暑の中、湯気の出てるアスファルトを汗だくで歩いた。
 
「タクちゃん?
そう言えばここ二日間見てないですよ。」
「そっか、これで八方塞がりだな。」
スタッフの答えにコウスケが落胆する。
「と言う事は三日前に来たんだな?」
「ええ…。たっ、確か三日位前かと…。」
「確かか?
適当なこと言ってると、タダじゃおかねぇぞ。」
身を乗り出して詰問する。
「ちょ、ちょっと待って下さい。
すっ、直ぐに確認します。」
迫力ある口調に口籠ったスタッフはパソコンに向かう。
「最後に来たのは三日前です。
間違いないです。」
「一人だったか?」
「えーと、確か、最近入会した人と帰った様な記憶が…。
退出時間も二人共同じです。」
ナツキはカウンターに入り込む。
「そいつの住所教えてくれるよな?」
凄むナツキにスタッフは諦め顔でキーボードを叩く。
「どんな奴だ?」
ナツキは待ちきれず、次の質問をする。
「真っ黒に焼けた方で、白いロングスパッツを穿いてました。
そっ、そうだ、帰りはタクちゃんがそのスパッツを穿いて帰ったんです。」
次第に思い出してきた様だ。
「一応、住所は登録してあるのですが、丁目迄は登録されてないです。」
「ちっ、いい加減だな。
名前は?」
「マツオカ マコトとなっています。」
その名前を聞いて、コウスケが腕を組む。
「スパッツ、マコト…。」
瞳を閉じて、ぶつぶつ呟く。
「おいっ、そいつの住所分かるぞ!」
コウスケは目を見開くと、大声で叫んだ。
 
 
(つづく)
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