妄想日記5<<DISPARITY>>

YAMATO

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Chapter7(防砂編)

Chapter7-①【ストーリー】後編

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男は腰に手を当てると、上体を反らす。
突き出した股間に膨らんだ亀頭が浮かんだ。
態とらしいアプローチにサトシは乗る事にした。
ヒナタの前で親指を立てる。
堰を切った口がその指を飲み込んだ。
恍惚の表情で愛撫するのを見届けると、ポケットからリモコンを出す。
夜の静寂の中で、低いモーター音は酷く大きい。
「あっ、あああっ…。」
ヒナタは腰をくねらせ、快楽を表す。
そうすれば縄が一層食い込む事を覚えたのだろう。
細い瞳が見開くのが分かった。
サトシは更に大きなモーター音を奏でる。
「うおっ、うわぁぁぁ…。」
手を下げると、それに合わせてヒナタの腰も低くなった。
サトシはしゃがみ込むと親指を地面近くに置く。
ヒナタが一旦寝転んだ。
すると頭を支点にブリッジした。
サトシが挑発時に良く使うブリッジだ。
ヒナタの身体が真っ赤に染まる。
そして真紅に膨れ上がった亀頭が月に吠えた。
 
だがこの姿勢が危険な事を縄師のサトシは充分に理解している。
縄が頸動脈を塞ぎ、呼吸を奪う。
『もういい。』
喉迄出掛かった言葉が声にならない。
頭の中で警報装置が鳴り響く。
『止めろ!
大変な事になるぞ!』
だが意に反して、リモコンのスイッチをマックスにしていた。
「それ位で止めておけ。
殺す気か、おっさん。」
その声で我に返る。
リモコンを放り投げ、ヒナタを抱き起こす。
白目を剥いていた。
痙攣する身体を抱き締め、声の方向へ目を向ける。
男の振り上げた拳が迫っていた。
 
くらくらする頭を振って起き上がる。
満月が眩し過ぎた。
ベンチの上だ。
人影が満月を遮断した。
「サトシ、お前を買い被っていた。
自身を律せない男に用はない。
店への出資は今日で止めだ。
二度と連絡してくるな。」
神志那のブーツが腹に食い込んだ。
「ちょ、ちょっと待って…。」
腹を蹴られ、言葉が詰まる。
「ナツキ、こいつに痛みを教えてやれ。
二度と間違いを犯さない様にな。」
神志那の命令で男が素早く動く。
背後から回った腕が首に掛かった。
手の甲からの圧が強まる。
あれだけ眩しかった月の光が弱まっていく。
アスファルトを叩く前に、月は闇に飲み込まれた。
 
ナツキは縄を解くと、ヒナタを背負う。
背中に熱いぺニスを感じた。
「全く見上げた野郎だ。」
ナツキはポケットの中でリモコンを操る。
「おい、背中で射精するんじゃねえぞ。」
返事の代わりに鼾が聞こえてきた。
「呑気な奴だ。」
アップボタンを押し続ける。
唸りを上げるモーターに感化されたのか、コウロギが一斉に鳴き出した。
 
ヒナタは机に頬杖を付き、シャーペンを鼻と上唇に挟む。
後頭部にコウキの視線が突き刺さる。
「止めるって、何も今じゃなくてもいいだろ!」
コウキが声を荒げた部室を思い出す。
「ああ、別に何時でもいいんだ。
だから今日でもいいんだよ。」
ヒナタは退部届けを置くと、踵を返す。
平行線はもう二度と交わる事はない。
「なあ、せめて記録会の後にしろよ。」
ヒロシが二人の間でおろおろする。
「やりたい事が見付かったんだ。
もう水泳に未練はない。」
ヒナタは部室のドアに手を掛けた。
 
 
(つづく)
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