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Chapter6(港川編)
Chapter6-⑬【Get U're Dream】後編
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サトシは常連客が主催する縛り会へ参加する為に上京していた。
マニアが趣向を凝らしたオリジナルの縛りを披露する場で、毎年参加している。
大半がリピーターで、顔見知りだ。
自分が指導した者も多い。
それだけに負けたくないという思いが強い。
日々キッチンに立ちながら、新たな縛りを妄想する。
以前は喝采を独り占めしていた。
だが近年は弟子達に出し抜かれる事が多い。
実績がある分、似たり寄ったりの縛りになっていた。
斬新なアイディアは初心者程、浮かぶ事を知る。
しかし彼等はテクニックが伴わない。
『俺だったらもっと上手く縛れるのに…。』
自分には決して思い付かない縛りを見せられ、臍を噛む。
様々な知識が独自性を奪っていた。
「どうだ、ホテルへ来るか?」
サトシが乳首を指で弾いた。
ヒナタは即答出来ない。
明日の記録会が頭に引っ掛かる。
タイムを望むなら、家に帰って体調を整えるべきだ。
頭ではそれを理解していた。
『だが…。』
色鮮やかなユニフォームを着た日本選手団が国旗や手を振っている。
だがヒナタには無縁な映像だ。
コウキは幾つかの実業団から誘いを受けている。
今年記録を出せば、卒業後の心配はない。
その為、明日の記録会には並々ならぬ執念を燃やしていた。
大学代表にならなければ、全てを失うのだから。
それに引き換えヒナタはいつもコウキの二番手だ。
いつも控えとしてコウキに同行するが、大きな大会で泳いだ事はない。
就職は精々スポーツクラブの水泳インストラクターがいい所だ。
オリンピック等夢のまた夢だった。
「行きます!」
唐突にヒナタは答える。
「今から来れば、今晩は帰れないぞ。
いいのか?」
サトシが念を押す。
「はい、構わないっす。」
ヒナタは丼を持ち上げると、汁を飲み干す。
今日が水泳選手の最後の日だと心に決める。
夢見た人と引き換えにするなら、夢も本望だろう。
『明日、退部届けを出したら、コウキはとんな顔をするかな?』
小さく笑うと、元気になったマラに手を伸ばした。
「お前、縛られた事あるか?」
サトシがリュックから縄を出す。
「いえ、ないっす。」
「そうか、普通初心者は縛るだけで悶絶する。
だがお前には物足りないだろう。
特別にハリガタを突っ込んだまま拘束するぞ。
その上で露出に連れていってやる。
今晩は寝れないぜ。」
サトシが縄の両端を引っ張ると、乾いた音が店内に響く。
「北島はいないみたいだな。
どうしたんだ?」
縄の音に釣られた様に親父の独り言が聞こえた。
「想像してみろ。
この縄が筋肉に食い込み、お前を拘束する。
そして食い込んだ縄は決してハリガタの排出を許さない。
藻掻けば藻掻く程、縄は食い込み、ハリガタを奥へ押し込む。
お前は快楽に涎を垂らし、何度も射精するんだ。
この快楽を知ったら、もう後戻りは出来ないぞ。」
リュウジの声が妄想を掻き立てる。
何度も何度も、繰り返し聞いた声だ。
ただそれは喘ぎ声ばかりで、言葉を聞くのは初めてだった。
憧れの声音が自分に向かっている。
ヒナタの口元から滴が落ちた。
テレビの中で七色のウェアが揺れている。
それがヒナタを後押しした。
自分に向けられた歓声は鳴り止まない。
(完)
マニアが趣向を凝らしたオリジナルの縛りを披露する場で、毎年参加している。
大半がリピーターで、顔見知りだ。
自分が指導した者も多い。
それだけに負けたくないという思いが強い。
日々キッチンに立ちながら、新たな縛りを妄想する。
以前は喝采を独り占めしていた。
だが近年は弟子達に出し抜かれる事が多い。
実績がある分、似たり寄ったりの縛りになっていた。
斬新なアイディアは初心者程、浮かぶ事を知る。
しかし彼等はテクニックが伴わない。
『俺だったらもっと上手く縛れるのに…。』
自分には決して思い付かない縛りを見せられ、臍を噛む。
様々な知識が独自性を奪っていた。
「どうだ、ホテルへ来るか?」
サトシが乳首を指で弾いた。
ヒナタは即答出来ない。
明日の記録会が頭に引っ掛かる。
タイムを望むなら、家に帰って体調を整えるべきだ。
頭ではそれを理解していた。
『だが…。』
色鮮やかなユニフォームを着た日本選手団が国旗や手を振っている。
だがヒナタには無縁な映像だ。
コウキは幾つかの実業団から誘いを受けている。
今年記録を出せば、卒業後の心配はない。
その為、明日の記録会には並々ならぬ執念を燃やしていた。
大学代表にならなければ、全てを失うのだから。
それに引き換えヒナタはいつもコウキの二番手だ。
いつも控えとしてコウキに同行するが、大きな大会で泳いだ事はない。
就職は精々スポーツクラブの水泳インストラクターがいい所だ。
オリンピック等夢のまた夢だった。
「行きます!」
唐突にヒナタは答える。
「今から来れば、今晩は帰れないぞ。
いいのか?」
サトシが念を押す。
「はい、構わないっす。」
ヒナタは丼を持ち上げると、汁を飲み干す。
今日が水泳選手の最後の日だと心に決める。
夢見た人と引き換えにするなら、夢も本望だろう。
『明日、退部届けを出したら、コウキはとんな顔をするかな?』
小さく笑うと、元気になったマラに手を伸ばした。
「お前、縛られた事あるか?」
サトシがリュックから縄を出す。
「いえ、ないっす。」
「そうか、普通初心者は縛るだけで悶絶する。
だがお前には物足りないだろう。
特別にハリガタを突っ込んだまま拘束するぞ。
その上で露出に連れていってやる。
今晩は寝れないぜ。」
サトシが縄の両端を引っ張ると、乾いた音が店内に響く。
「北島はいないみたいだな。
どうしたんだ?」
縄の音に釣られた様に親父の独り言が聞こえた。
「想像してみろ。
この縄が筋肉に食い込み、お前を拘束する。
そして食い込んだ縄は決してハリガタの排出を許さない。
藻掻けば藻掻く程、縄は食い込み、ハリガタを奥へ押し込む。
お前は快楽に涎を垂らし、何度も射精するんだ。
この快楽を知ったら、もう後戻りは出来ないぞ。」
リュウジの声が妄想を掻き立てる。
何度も何度も、繰り返し聞いた声だ。
ただそれは喘ぎ声ばかりで、言葉を聞くのは初めてだった。
憧れの声音が自分に向かっている。
ヒナタの口元から滴が落ちた。
テレビの中で七色のウェアが揺れている。
それがヒナタを後押しした。
自分に向けられた歓声は鳴り止まない。
(完)
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