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Chapter6(港川編)
Chapter6-①【PARTYが始まるよ】後編
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「なあ、マギーとキャロルって、レズカップルだろ?
キャットスーツ着た女なんて初めて見た!」
廊下に出たチカラがセイルに聞く。
「あはっ、認識が甘いな。
もともとキャットスーツは女性用さ。
それをゲイが着だしたの。
なので種類はレディースの方が圧倒的に豊富なんだ。
二人共レズビアンで、凄い美人。
テレビにも出てるから、素顔見たらびっくりするよ。」
セイルが事もなく答えた。
「そっか…、女性用か…。」
思わず声が漏れ出る。
身近にタレントがいる事は別にどうでも良い。
「ここがリックの衣装部屋。
好きなの選んでいいよ。」
セイルがスイッチを押すと、数回点滅した後に蛍光灯が点いた。
「すげぇ…。」
ミナトが溜め息混じりに言う。
部屋の両側に様々な衣装が掛かっていた。
マネキンが三体あり、異様な雰囲気が先に立つ。
だがマニアにとって、ここは聖地だ。
一着でも手に入らないラバースーツが溢れている。
その中には女性用のボンテージやドレスも混ざっていた。
床にはブーツやハイヒールが所狭しと並んでいる。
三人は呆気に取られ、言葉を失う。
ナツキとチカラは衣装選びに余念がない。
ミナトだけ呆然と立ち尽くしていた。
「ポートは美形だから女装がいいんじゃない?」
セイルは冗談気味にミナトへ言う。
「そっ、そんな俺はいいよ。」
動揺した声が返ってきた。
『こいつ女装願望があるな。』
ポケットから錠剤を出す。
「ほらっ、胃腸薬だ。
飲む前に飲んどけ。」
受け取ったミナトは疑う事なく口に含んだ。
『一時間後には立派なドラッグクイーンの出来上がりだな。』
セイルはサイズの大きなエナメルのブーツに目を留める。
同じ物をミナトも見ていた。
肩が震えている。
伸ばしたい腕を必死に堪えている様子だ。
「ここでは思いのままに過ごしなよ。
後でやっとけば良かったと、きっと後悔するから。」
戸惑う背中をそっと押す。
息の荒くなったミナトが一歩ブーツに近寄った。
「マギー、サンキュー。」
化粧箱を持ったマギーが衣裳部屋から出て行く。
「えっ、ミナト?」
カツラを被った大柄な女が煙草を咥える。
ミニのワンピースでは発達した大胸筋を隠せない。
下からブラジャーの紐が覗く。
顔だけなら、女性に間違われるだろう。
だが凛々しい筋肉を覆うエナメルのドレスは滑稽だ。
コントを見ている気がした。
本人は至って真面目にいい女を演じている。
突き出した真っ赤な唇から細い煙を吐き出す。
そこに普段の笑顔はない。
「彼女はメイクの仕事をしてるから本格的だろ。
さあ、美女になったポートを誰が犯す?
リビングに戻ったら、アブラハムに取られちゃうよ。
あいつが一番アブノーマルだから。」
セイルがナツキとチカラの顔を順番に眺めた。
「俺はいい。
何か興醒めだ。
先に帰って寝てるぞ。」
不貞腐れたナツキが我が儘を言い出す。
どれもサイズが小さく、着れるラバースーツがなかったのだ。
「ここから一人で帰れるのか?」
チカラはナツキの顔を覗き込む。
「お前、馬鹿か?
ここは日本だ。
タクシー位拾える。
金寄越せ。」
もうこうなったら手に負えない。
仕方なく金を渡した。
(つづく)
キャットスーツ着た女なんて初めて見た!」
廊下に出たチカラがセイルに聞く。
「あはっ、認識が甘いな。
もともとキャットスーツは女性用さ。
それをゲイが着だしたの。
なので種類はレディースの方が圧倒的に豊富なんだ。
二人共レズビアンで、凄い美人。
テレビにも出てるから、素顔見たらびっくりするよ。」
セイルが事もなく答えた。
「そっか…、女性用か…。」
思わず声が漏れ出る。
身近にタレントがいる事は別にどうでも良い。
「ここがリックの衣装部屋。
好きなの選んでいいよ。」
セイルがスイッチを押すと、数回点滅した後に蛍光灯が点いた。
「すげぇ…。」
ミナトが溜め息混じりに言う。
部屋の両側に様々な衣装が掛かっていた。
マネキンが三体あり、異様な雰囲気が先に立つ。
だがマニアにとって、ここは聖地だ。
一着でも手に入らないラバースーツが溢れている。
その中には女性用のボンテージやドレスも混ざっていた。
床にはブーツやハイヒールが所狭しと並んでいる。
三人は呆気に取られ、言葉を失う。
ナツキとチカラは衣装選びに余念がない。
ミナトだけ呆然と立ち尽くしていた。
「ポートは美形だから女装がいいんじゃない?」
セイルは冗談気味にミナトへ言う。
「そっ、そんな俺はいいよ。」
動揺した声が返ってきた。
『こいつ女装願望があるな。』
ポケットから錠剤を出す。
「ほらっ、胃腸薬だ。
飲む前に飲んどけ。」
受け取ったミナトは疑う事なく口に含んだ。
『一時間後には立派なドラッグクイーンの出来上がりだな。』
セイルはサイズの大きなエナメルのブーツに目を留める。
同じ物をミナトも見ていた。
肩が震えている。
伸ばしたい腕を必死に堪えている様子だ。
「ここでは思いのままに過ごしなよ。
後でやっとけば良かったと、きっと後悔するから。」
戸惑う背中をそっと押す。
息の荒くなったミナトが一歩ブーツに近寄った。
「マギー、サンキュー。」
化粧箱を持ったマギーが衣裳部屋から出て行く。
「えっ、ミナト?」
カツラを被った大柄な女が煙草を咥える。
ミニのワンピースでは発達した大胸筋を隠せない。
下からブラジャーの紐が覗く。
顔だけなら、女性に間違われるだろう。
だが凛々しい筋肉を覆うエナメルのドレスは滑稽だ。
コントを見ている気がした。
本人は至って真面目にいい女を演じている。
突き出した真っ赤な唇から細い煙を吐き出す。
そこに普段の笑顔はない。
「彼女はメイクの仕事をしてるから本格的だろ。
さあ、美女になったポートを誰が犯す?
リビングに戻ったら、アブラハムに取られちゃうよ。
あいつが一番アブノーマルだから。」
セイルがナツキとチカラの顔を順番に眺めた。
「俺はいい。
何か興醒めだ。
先に帰って寝てるぞ。」
不貞腐れたナツキが我が儘を言い出す。
どれもサイズが小さく、着れるラバースーツがなかったのだ。
「ここから一人で帰れるのか?」
チカラはナツキの顔を覗き込む。
「お前、馬鹿か?
ここは日本だ。
タクシー位拾える。
金寄越せ。」
もうこうなったら手に負えない。
仕方なく金を渡した。
(つづく)
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