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Chapter5(奸賊編)
Chapter5-⑪【夕涼み】前編
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「おい、ネットで凄い画像を見付けぜ。」
待ち合わせのカフェに入ってきたミナトが携帯を翳す。
「うおっ!」
思わず声が漏れる。
「なっ、凄いだろ!
お前のフェチが全て揃っているから保存しておいたんだ。
ロングブーツにセンス感じるよな。」
ミナトがにんまり笑う。
「ああっ…、凄い…。
画像送ってくれよ。」
スイムキャップ、ゴーグルを装着したマッチョがコンドームを被せていた。
チカラはその画像を今も持っている。
「マジ…、格好いいな…。」
「そう言うと思ったよ。
普通のオカマならドン引きだぞ。」
愉快そうにミナトが笑う。
「ああ、こんな変態に欲情するのは俺達くらいだ。」
俺達を強調して言う。
「全くだ。
直ぐ送るから、ちょい待て。」
その画像がチカラの原点だった。
仲は良かったが、性的な関係はない。
ミナトは厳つい顔を好み、自分とはかけ離れて事を知っていた。
会う度に欲情を覚えたが、必死にそれを抑える。
それが友達として長くいられる秘訣に思えた。
屈託のない笑顔を失いたくない。
稀有なフェチをシェア出来るだけで充分だ。
自分にそう言い聞かせる。
一番仲の良い友人のポジションに甘んじた。
「おおっ、ぶっ放してくれ…。」
ミナトの淫らな声が聞こえた。
船の縁に掴まり、自慰をする。
自分をナツキに置き換える。
『ウエットを着たミナトを犯しているのは俺だ。』
チカラは今日のパーティーにミナトを誘うつもりで来た。
きっと正常な判断が出来ない状態になるだろう。
『そうすれば、もしかして、ミナトを…。』
そんな淡い期待を抱いていたのだ。
「ねぇ、ちゃんと写真撮れてるかな?」
「ホテルに戻ったら、現像頼んでみようよ。」
女子グループが戻ってきた。
ナツキが立ち上がる。
後に続いたミナトが後ろ手で、ジッパーを上げた。
「お疲れ様です。
暖かいコーヒーを用意してあります。
ご自由に飲んで下さい。」
ミナトは普段と変わりのない声で女性達に声を掛けている。
「ねえ、かなりのイケメンね。」
「コーヒー飲んだな、一緒に写真撮ってもらおう。」
他愛もない会話に苛立ちを覚えた。
縁から手を離し、海中を目指す。
色鮮やかなサンゴ礁も目には入らない。
焦燥感に駆られ、海の中を彷徨った。
「基地でそんなパーティーがあるのか!」
話を聞いたミナトが大声を出す。
「ああ、きっと阿鼻叫喚だぜ。」
チカラは苛立ちを飲み込み、冗談っぽく言う。
「あー、残念だ。
今日はこの後、サンセットクルーズに乗るから、ちょっと無理だ。
あー、行きてぇな。」
ミナトの落胆がチカラに伝染する。
「そっか…、残念だな…。」
ミナトの顔から股間へ視線を移す。
黒い光沢に力強い陰影が浮かんでいた。
「腹減った!」
ナツキが車内で訴えた。
「そう言えば朝食ったきりだったな。
もう少し先にサービスエリアがある筈だから、少し我慢しろ。」
チカラは子供に言い聞かす様に諭す。
「これにしよう。
名物だからな。
これ一袋下さい。」
チカラは勝手に袋入りのサーターアンダーギーを指差す。
どうせ金を払うのは自分だ。
少しでも安く済ませたい。
「温かくて旨いが、口がパサつくな。
飲み物買ってきてくれ。」
財布を出すどころか、礼すら言わない。
チカラはこの暴君振りに笑うしかなかった。
(つづく)
待ち合わせのカフェに入ってきたミナトが携帯を翳す。
「うおっ!」
思わず声が漏れる。
「なっ、凄いだろ!
お前のフェチが全て揃っているから保存しておいたんだ。
ロングブーツにセンス感じるよな。」
ミナトがにんまり笑う。
「ああっ…、凄い…。
画像送ってくれよ。」
スイムキャップ、ゴーグルを装着したマッチョがコンドームを被せていた。
チカラはその画像を今も持っている。
「マジ…、格好いいな…。」
「そう言うと思ったよ。
普通のオカマならドン引きだぞ。」
愉快そうにミナトが笑う。
「ああ、こんな変態に欲情するのは俺達くらいだ。」
俺達を強調して言う。
「全くだ。
直ぐ送るから、ちょい待て。」
その画像がチカラの原点だった。
仲は良かったが、性的な関係はない。
ミナトは厳つい顔を好み、自分とはかけ離れて事を知っていた。
会う度に欲情を覚えたが、必死にそれを抑える。
それが友達として長くいられる秘訣に思えた。
屈託のない笑顔を失いたくない。
稀有なフェチをシェア出来るだけで充分だ。
自分にそう言い聞かせる。
一番仲の良い友人のポジションに甘んじた。
「おおっ、ぶっ放してくれ…。」
ミナトの淫らな声が聞こえた。
船の縁に掴まり、自慰をする。
自分をナツキに置き換える。
『ウエットを着たミナトを犯しているのは俺だ。』
チカラは今日のパーティーにミナトを誘うつもりで来た。
きっと正常な判断が出来ない状態になるだろう。
『そうすれば、もしかして、ミナトを…。』
そんな淡い期待を抱いていたのだ。
「ねぇ、ちゃんと写真撮れてるかな?」
「ホテルに戻ったら、現像頼んでみようよ。」
女子グループが戻ってきた。
ナツキが立ち上がる。
後に続いたミナトが後ろ手で、ジッパーを上げた。
「お疲れ様です。
暖かいコーヒーを用意してあります。
ご自由に飲んで下さい。」
ミナトは普段と変わりのない声で女性達に声を掛けている。
「ねえ、かなりのイケメンね。」
「コーヒー飲んだな、一緒に写真撮ってもらおう。」
他愛もない会話に苛立ちを覚えた。
縁から手を離し、海中を目指す。
色鮮やかなサンゴ礁も目には入らない。
焦燥感に駆られ、海の中を彷徨った。
「基地でそんなパーティーがあるのか!」
話を聞いたミナトが大声を出す。
「ああ、きっと阿鼻叫喚だぜ。」
チカラは苛立ちを飲み込み、冗談っぽく言う。
「あー、残念だ。
今日はこの後、サンセットクルーズに乗るから、ちょっと無理だ。
あー、行きてぇな。」
ミナトの落胆がチカラに伝染する。
「そっか…、残念だな…。」
ミナトの顔から股間へ視線を移す。
黒い光沢に力強い陰影が浮かんでいた。
「腹減った!」
ナツキが車内で訴えた。
「そう言えば朝食ったきりだったな。
もう少し先にサービスエリアがある筈だから、少し我慢しろ。」
チカラは子供に言い聞かす様に諭す。
「これにしよう。
名物だからな。
これ一袋下さい。」
チカラは勝手に袋入りのサーターアンダーギーを指差す。
どうせ金を払うのは自分だ。
少しでも安く済ませたい。
「温かくて旨いが、口がパサつくな。
飲み物買ってきてくれ。」
財布を出すどころか、礼すら言わない。
チカラはこの暴君振りに笑うしかなかった。
(つづく)
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