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Chapter5(奸賊編)
Chapter5-⑨【遠雷】後編
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突然、ナツキに頬を叩かれた。
「いてぇな、何だ…。」
言い終わる前に逆の頬も張られた。
「さっき殴られた分だ。
貰いっ放しは性に合わないんだ。
きっちり返すぜ。」
「だったら空港で貸したコーヒー代を返せよ。」
振り上げた右手が下がり、ホッとする。
「お前ら、気に入ったぜ。
明日、いい所へ連れていってやろうか?」
セイルが煙草を咥えた。
「いい所って?」
ナツキが食らい付く。
「知り合いの黒人がホームパーティーするんだ。
そこに連れていってやるよ。」
ナツキはセイルの手から煙草を奪うと、甘そうに煙を吸い込んだ。
「俺、英語なんて話せないぜ。」
チカラは躊躇する。
「大丈夫さ。
長く沖縄にいるから、みんな日本語ペラペラだよ。
こっちじゃ手に入らない物が沢山あるんだ。
あんたの好きな変わり種のコンドームもあるよ。」
セイルが卑猥な笑みを浮かべてチカラを見た。
戸惑いは引っ込み、好奇心と入れ替わる。
画像でしか見た事のない様々なコンドームを思い描く。
「コンドームだけじゃないよ。
リックはキャットスーツも持ってるんだ。
ラバーの息苦しさと拘束感は一度味わったら癖になるよ。
特に兄さんみたいな窒息プレイ好きにはな。」
ナツキは話を聞きながら、ほくそ笑む。
『こんな所でキャットスーツを着れるとはな。』
その頭の中から『領収書』という単語はすっかり抜けていた。
「じゃあ、明日の夕方ホテルへ迎えに行くよ。」
セイルが席を立ち、リュックを背負う。
ピッタリしたスパッツに巨根が露だ。
「お前、人の目とか気にならないのか?」
チカラが羨望の眼差しを向ける。
「えっ、何で?」
きょとんとしたセイルが立ち止まった。
「何故って…。
普通、恥ずかしいとか思うだろ。」
チカラはセイルの思考が理解出来ない。
「普通、恵まれた物は有意義に使わない?
頭の良い奴、金持ちの奴、皆恵まれた物で恩恵を得てる。
だから俺はこれを使うのさ。」
セイルはスパッツを持ち上げてみせた。
「セイルの言う通りだ。
手持ちの武器は有意義に使わねぇとな。
俺達も帰るか。
眠くて堪らん。」
ナツキは爪楊枝を咥えたまま立ち上がる。
財布を出す気配はない。
夜になってもキャップとサングラスを手放せないチカラは戸惑いを覚える。
『普通って、何だ?』
翌日は抜ける様な青空だった。
正に沖縄の夏だ。
「朝飯食ったら、焼きに行くぞ。」
ナツキの言葉に憂鬱になる。
海で待ち構える三浦の顔が浮かぶ。
だがそれを言えば、ナツキは余計に行くと言う筈だ。
「折角レンタカーがあるんだから、遠出しないか?」
チカラは別の言い方をする。
「名護まで行けば、かなり海は綺麗だぜ。
天気もいいし、ドライブの方が爽快さ。」
伺う様にナツキに言う。
「別に俺が運転する訳じゃないから、何処でもいいぜ。
要は焼けりゃいいんだ。」
ナツキは簡単に同意した。
「よしっ、露出ドライブに出発だ。」
気が変わる前に出掛ける事にする。
チカラはシングレットと上にパーカーを羽織った。
だがもうフードを被ったり、サングラスをする事はしない。
コンドームの締め付けが高揚感を増幅させた。
(つづく)
「いてぇな、何だ…。」
言い終わる前に逆の頬も張られた。
「さっき殴られた分だ。
貰いっ放しは性に合わないんだ。
きっちり返すぜ。」
「だったら空港で貸したコーヒー代を返せよ。」
振り上げた右手が下がり、ホッとする。
「お前ら、気に入ったぜ。
明日、いい所へ連れていってやろうか?」
セイルが煙草を咥えた。
「いい所って?」
ナツキが食らい付く。
「知り合いの黒人がホームパーティーするんだ。
そこに連れていってやるよ。」
ナツキはセイルの手から煙草を奪うと、甘そうに煙を吸い込んだ。
「俺、英語なんて話せないぜ。」
チカラは躊躇する。
「大丈夫さ。
長く沖縄にいるから、みんな日本語ペラペラだよ。
こっちじゃ手に入らない物が沢山あるんだ。
あんたの好きな変わり種のコンドームもあるよ。」
セイルが卑猥な笑みを浮かべてチカラを見た。
戸惑いは引っ込み、好奇心と入れ替わる。
画像でしか見た事のない様々なコンドームを思い描く。
「コンドームだけじゃないよ。
リックはキャットスーツも持ってるんだ。
ラバーの息苦しさと拘束感は一度味わったら癖になるよ。
特に兄さんみたいな窒息プレイ好きにはな。」
ナツキは話を聞きながら、ほくそ笑む。
『こんな所でキャットスーツを着れるとはな。』
その頭の中から『領収書』という単語はすっかり抜けていた。
「じゃあ、明日の夕方ホテルへ迎えに行くよ。」
セイルが席を立ち、リュックを背負う。
ピッタリしたスパッツに巨根が露だ。
「お前、人の目とか気にならないのか?」
チカラが羨望の眼差しを向ける。
「えっ、何で?」
きょとんとしたセイルが立ち止まった。
「何故って…。
普通、恥ずかしいとか思うだろ。」
チカラはセイルの思考が理解出来ない。
「普通、恵まれた物は有意義に使わない?
頭の良い奴、金持ちの奴、皆恵まれた物で恩恵を得てる。
だから俺はこれを使うのさ。」
セイルはスパッツを持ち上げてみせた。
「セイルの言う通りだ。
手持ちの武器は有意義に使わねぇとな。
俺達も帰るか。
眠くて堪らん。」
ナツキは爪楊枝を咥えたまま立ち上がる。
財布を出す気配はない。
夜になってもキャップとサングラスを手放せないチカラは戸惑いを覚える。
『普通って、何だ?』
翌日は抜ける様な青空だった。
正に沖縄の夏だ。
「朝飯食ったら、焼きに行くぞ。」
ナツキの言葉に憂鬱になる。
海で待ち構える三浦の顔が浮かぶ。
だがそれを言えば、ナツキは余計に行くと言う筈だ。
「折角レンタカーがあるんだから、遠出しないか?」
チカラは別の言い方をする。
「名護まで行けば、かなり海は綺麗だぜ。
天気もいいし、ドライブの方が爽快さ。」
伺う様にナツキに言う。
「別に俺が運転する訳じゃないから、何処でもいいぜ。
要は焼けりゃいいんだ。」
ナツキは簡単に同意した。
「よしっ、露出ドライブに出発だ。」
気が変わる前に出掛ける事にする。
チカラはシングレットと上にパーカーを羽織った。
だがもうフードを被ったり、サングラスをする事はしない。
コンドームの締め付けが高揚感を増幅させた。
(つづく)
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