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Chapter5(奸賊編)
Chapter5-①【時はかげろう】後編
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「ちっ、勿体ねぇな。
こんな特典のある職場なんか、滅多にねぇぞ。
で、次は何するんだ?」
チカラは大袈裟に舌打ちする。
「やっぱり俺には地上勤務は性に合わないみたいで。
チカラ君みたく身体を動かす仕事に就きたくて。
先週、面接を受けたジムから採用の連絡があったんです。」
青年は瞳を輝かせて話す。
「まあ、タカユキにはその方が合ってるかもな。
だったら俺のレッスンも入れてくれよ。」
チカラは新たな特典を見逃さなかった。
「子供達向けだけど、水泳のレッスンも受け持たせてもらえそうで。
やる気が漲って、今は筋トレのモチベーションが凄く高いですよ。」
青年が意識してナツキを見ないのは明白だ。
だがナツキの意識は既に沖縄へ飛んでいた。
ジャスティスがまだ沖縄にいるか分からない。
もしいるならビーチに行けば会える筈だ。
ナツキの変貌振りに驚く顔を想像すると、口角が上がる。
『もう、あの時の俺とは違うぜ。』
「何か可笑しいな事を言いましたか?」
ムッとした青年が睨む。
ナツキが笑ったのを自分の発言の所為だと思ったらしい。
「いや、お前の首があまりにきつそうだからだ。
窒息プレイが好きそうだな。」
「ちっ、窒息プレイ…。」
青年は同じ単語を繰り返した後、恥ずかしさに言葉を失った。
「チケット手配してもらったんだから、あまり苛めるなよ。
こいつ奥手だから、そんな経験はないさ。」
チカラがフォローするが、ナツキは言葉責めを止めない。
「マッチョなんて、皆ドMだ。
でなけりゃ、自らハードなトレーニングなんてする訳ねぇだろ。
まあ、窒息プレイしたくなったら、俺に連絡して来い。
チケットありがとな。」
ナツキは呆然と立ち尽くす青年の股間を思い切り握る。
案の定、固くなったペニスが反発してきた。
梅雨明けしていない沖縄へ向かう夜便はがらがらだった。
ナツキは四人掛けのシートを占有し、爆睡している。
通路を挟んだ席からチカラはそれを眺めた。
もっこりしたシルバーのパンツが欲情させる。
目を閉じ、必死に己を制した。
ビールの力を借りても、一向に眠気は訪れてこない。
『後、数時間我慢すれば沖縄だ。』
予め別便で責め具やウェアを送っておいた。
その使い道に思いを巡らす。
ビーチや発展場で知り合った奴をホテルに連れ込んで使うつもりだった。
今回の旅は東京では隠している性癖を解放させる事が目的だ。
東京は広い様で狭い。
直ぐに噂が広がる。
ネットが普及してから、噂はあっという間に拡散した。
しかも尾鰭が付いて。
一時期、チカラは整理券が出る程、人気インストラクターだった。
だが、それは長くは続かない。
嫉妬した同業者がチカラのゴムフェチをネットに書き込んだのだ。
瞬く間に噂は広がり、最後には病気持ちのレッテルが貼られた。
人気が陰るのは早い。
集客力が落ちたインストラクターにジムは冷たかった。
枠は削られ、残ったレッスンも時間短縮になる。
ネットに載せた同業者より、己の性癖を呪った。
(つづく)
こんな特典のある職場なんか、滅多にねぇぞ。
で、次は何するんだ?」
チカラは大袈裟に舌打ちする。
「やっぱり俺には地上勤務は性に合わないみたいで。
チカラ君みたく身体を動かす仕事に就きたくて。
先週、面接を受けたジムから採用の連絡があったんです。」
青年は瞳を輝かせて話す。
「まあ、タカユキにはその方が合ってるかもな。
だったら俺のレッスンも入れてくれよ。」
チカラは新たな特典を見逃さなかった。
「子供達向けだけど、水泳のレッスンも受け持たせてもらえそうで。
やる気が漲って、今は筋トレのモチベーションが凄く高いですよ。」
青年が意識してナツキを見ないのは明白だ。
だがナツキの意識は既に沖縄へ飛んでいた。
ジャスティスがまだ沖縄にいるか分からない。
もしいるならビーチに行けば会える筈だ。
ナツキの変貌振りに驚く顔を想像すると、口角が上がる。
『もう、あの時の俺とは違うぜ。』
「何か可笑しいな事を言いましたか?」
ムッとした青年が睨む。
ナツキが笑ったのを自分の発言の所為だと思ったらしい。
「いや、お前の首があまりにきつそうだからだ。
窒息プレイが好きそうだな。」
「ちっ、窒息プレイ…。」
青年は同じ単語を繰り返した後、恥ずかしさに言葉を失った。
「チケット手配してもらったんだから、あまり苛めるなよ。
こいつ奥手だから、そんな経験はないさ。」
チカラがフォローするが、ナツキは言葉責めを止めない。
「マッチョなんて、皆ドMだ。
でなけりゃ、自らハードなトレーニングなんてする訳ねぇだろ。
まあ、窒息プレイしたくなったら、俺に連絡して来い。
チケットありがとな。」
ナツキは呆然と立ち尽くす青年の股間を思い切り握る。
案の定、固くなったペニスが反発してきた。
梅雨明けしていない沖縄へ向かう夜便はがらがらだった。
ナツキは四人掛けのシートを占有し、爆睡している。
通路を挟んだ席からチカラはそれを眺めた。
もっこりしたシルバーのパンツが欲情させる。
目を閉じ、必死に己を制した。
ビールの力を借りても、一向に眠気は訪れてこない。
『後、数時間我慢すれば沖縄だ。』
予め別便で責め具やウェアを送っておいた。
その使い道に思いを巡らす。
ビーチや発展場で知り合った奴をホテルに連れ込んで使うつもりだった。
今回の旅は東京では隠している性癖を解放させる事が目的だ。
東京は広い様で狭い。
直ぐに噂が広がる。
ネットが普及してから、噂はあっという間に拡散した。
しかも尾鰭が付いて。
一時期、チカラは整理券が出る程、人気インストラクターだった。
だが、それは長くは続かない。
嫉妬した同業者がチカラのゴムフェチをネットに書き込んだのだ。
瞬く間に噂は広がり、最後には病気持ちのレッテルが貼られた。
人気が陰るのは早い。
集客力が落ちたインストラクターにジムは冷たかった。
枠は削られ、残ったレッスンも時間短縮になる。
ネットに載せた同業者より、己の性癖を呪った。
(つづく)
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