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Chapter4(利達編)
Chapter4-①【バレッタ】後編
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『また整った顔立ちのマッチョか。』
ナツキは面白くない。
四人の支配人は皆、鼻筋の通ったイケメン揃いだ。
しかもボディビルのコンテストに出ても、違和感のない輩ばかりだった。
トモヤも性格は悪いが、顔立ちだけなら俳優と言われれば信じてしまうだろう。
ジムを展開するより、芸能プロダクションにした方が儲かりそうだ。
こいつらを責め立てるビデオなら、ヒット間違いない。
『俺を責め役にすればだけどな。』
神志那に視線を向ける。
白髪は目立つが、印象は若々しい。
昭和の任侠映画に出てきそうだ。
とても40代後半には見えない。
神志那はルックス重視で採用している筈だ。
ナツキは独りこの空間に浮いている気がした。
いや、確実に浮いている。
そして相反する自分を身近に置いた真意が分かりかねた。
「きっ、北の支配人の間宮です。
そっ、それでは北の第一期営業報告をさせて頂きます。」
間宮の白いウェアはびしょ濡れだ。
丸でプールから上がってきたばかりの様相だ。
プロジェクターに月単位の売上グラフが映し出された。
南、東、中央は右肩上がりだったのに対して、北だけは緩やかに下降している。
「どうして北だけ下がっているんだ?
原因は?」
神志那が詰問した。
「そっ、それは…、同じ地区に競合店の出店がありまして…。
退会者が多く出た所に起因して…、おります。」
間宮はしどろもどろになりながら理由を述べる。
「競合店の出店の件は前回聞いた。
その時、君はブレイクスルーはあると、言っただろ!」
神志那が声を荒げる。
「はっ、申し訳ありません。」
間宮が深々と頭を下げた。
「様々なキャンペーンを打ったのですが、見込み程効果が出ず…。」
「言い訳はいい!
明日中にリカバリー案を提出しろ!」
「はっ、はい!」
神志那の怒声に間宮が縮み上がった声を出す。
「本日の処罰者は間宮で決まりですね。」
パソコンに向いていたトモヤが籠った声で確認する。
「当然の処罰だ。」
神志那の声が赤の間に響き渡った。
ナツキはしゃがみ込んだ間宮を見詰める。
「さあ、立て。
黒の間へ行くぞ。」
トモヤが間宮を見下ろす。
「はっ、はい。」
項を垂れた間宮は小刻みに震えていた。
ナツキはこの先、何が起こるのか、胸が高鳴るのを抑えられない。
黒の間には頑丈なピクチャーレールがあった。
トモヤはそこからチェーンで繋がれた手枷をセットする。
足下にあるフックからも足枷が伸びた。
大胸筋にハーネス擬きのチェーンが巻かれた間宮が連行されてきた。
マスクを被せられ、そこに繋がれる。
死刑囚の様だと思う。
発達した筋肉が小刻みに痙攣していた。
革のツナギを着た神志那がその前に立つ。
手には極太の鞭を持っていた。
大の字に固定された間宮は声も出ない様子だ。
振り上げた鞭が撓り、大胸筋に打ち下ろされた。
「うぐっ。」
間宮は必死に声が漏れない様に踏ん張る。
ナツキはそれを愉快に見守った。
チェーンが鞭の威力を増幅させている筈だ。
えげつない事を考えるもんだと、感心した。
(つづく)
ナツキは面白くない。
四人の支配人は皆、鼻筋の通ったイケメン揃いだ。
しかもボディビルのコンテストに出ても、違和感のない輩ばかりだった。
トモヤも性格は悪いが、顔立ちだけなら俳優と言われれば信じてしまうだろう。
ジムを展開するより、芸能プロダクションにした方が儲かりそうだ。
こいつらを責め立てるビデオなら、ヒット間違いない。
『俺を責め役にすればだけどな。』
神志那に視線を向ける。
白髪は目立つが、印象は若々しい。
昭和の任侠映画に出てきそうだ。
とても40代後半には見えない。
神志那はルックス重視で採用している筈だ。
ナツキは独りこの空間に浮いている気がした。
いや、確実に浮いている。
そして相反する自分を身近に置いた真意が分かりかねた。
「きっ、北の支配人の間宮です。
そっ、それでは北の第一期営業報告をさせて頂きます。」
間宮の白いウェアはびしょ濡れだ。
丸でプールから上がってきたばかりの様相だ。
プロジェクターに月単位の売上グラフが映し出された。
南、東、中央は右肩上がりだったのに対して、北だけは緩やかに下降している。
「どうして北だけ下がっているんだ?
原因は?」
神志那が詰問した。
「そっ、それは…、同じ地区に競合店の出店がありまして…。
退会者が多く出た所に起因して…、おります。」
間宮はしどろもどろになりながら理由を述べる。
「競合店の出店の件は前回聞いた。
その時、君はブレイクスルーはあると、言っただろ!」
神志那が声を荒げる。
「はっ、申し訳ありません。」
間宮が深々と頭を下げた。
「様々なキャンペーンを打ったのですが、見込み程効果が出ず…。」
「言い訳はいい!
明日中にリカバリー案を提出しろ!」
「はっ、はい!」
神志那の怒声に間宮が縮み上がった声を出す。
「本日の処罰者は間宮で決まりですね。」
パソコンに向いていたトモヤが籠った声で確認する。
「当然の処罰だ。」
神志那の声が赤の間に響き渡った。
ナツキはしゃがみ込んだ間宮を見詰める。
「さあ、立て。
黒の間へ行くぞ。」
トモヤが間宮を見下ろす。
「はっ、はい。」
項を垂れた間宮は小刻みに震えていた。
ナツキはこの先、何が起こるのか、胸が高鳴るのを抑えられない。
黒の間には頑丈なピクチャーレールがあった。
トモヤはそこからチェーンで繋がれた手枷をセットする。
足下にあるフックからも足枷が伸びた。
大胸筋にハーネス擬きのチェーンが巻かれた間宮が連行されてきた。
マスクを被せられ、そこに繋がれる。
死刑囚の様だと思う。
発達した筋肉が小刻みに痙攣していた。
革のツナギを着た神志那がその前に立つ。
手には極太の鞭を持っていた。
大の字に固定された間宮は声も出ない様子だ。
振り上げた鞭が撓り、大胸筋に打ち下ろされた。
「うぐっ。」
間宮は必死に声が漏れない様に踏ん張る。
ナツキはそれを愉快に見守った。
チェーンが鞭の威力を増幅させている筈だ。
えげつない事を考えるもんだと、感心した。
(つづく)
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