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Chapter3(立身編)
Chapter3-⑦【青春時計】後編
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『東京側の人事』と塚田が言った。
それを神志那が遮る。
ナツキには聞かれたくなかった様子だ。
シンゴの話だろうか?
そして塚田は『問題』と続けた。
芳しくない状態である事は間違いない。
だがシンゴの事はもうどうでも良かった。
出来る事はやったという充足感がある。
後はシンゴの運次第だ。
人の何倍も練習しても、柔道を続ける事が出来なかった。
この時、初めて『運』を知る事になる。
カズユキが死んだ時もそう思った。
運のあるなしが人生には大事だ。
ナツキは柔道を失って、もっと大きな物を得た。
『俺の運を少し分けてやるか。』
矢吹を見詰め、ニヤリと笑う。
「もう充分です。」
トレーニングする気のないナツキは、一通り見た所で案内の男に言う。
「畏まりました。」
男が腕時計を見た。
「塚田に7時までお連れする様に承っておりますが。」
「矢吹君だったね。
だったらシャワーを浴びたいんだ。
案内してくれ。」
オイルが乾いて、皮膚が強ばっている。
「社員用で宜しいでしょうか?」
「ああ、構わん。」
矢吹の視線が剃り上げた頭に向いている事に、ナツキは気付いていた。
ナツキはシャワーを顔面に浴び、オイルに水分を与える。
オイルが本来の性能を取り戻し、全身がヌルヌルとした艶に包まれた。
ラバーに覆われた感覚が甦り、マラが頭を擡げる。
シャワーのハンドルが鏡の様に背後を映していた。
心持ち開けておいたカーテンの隙間から覗く視線を確認する。
「おい、矢吹君、悪いが背中を洗ってくれないか。」
ナツキは再び顔面をシャワーに突っ込むと声を掛けた。
「はっ、はい。」
突然の依頼に動揺した声が返ってきた。
ナツキはシャワーの中で顔を緩ます。
「しっ、失礼します。」
オイル塗れの裸体に矢吹が動きが止まるのが気配で分かる。
「どうかしたのか?」
ナツキが振り返る。
大きく見開いた瞳が聳え立つマラから微動だにしない。
「オイルを塗り過ぎて手に負えないんだ。
流し落としてくれ。」
両手を上げ、挑発する。
ナツキは矢吹を手懐ける事を考えていた。
トモヤの敵対心剥き出しの反応を顧みると、新しい職場では孤立状態だ。
ここでの情報源が必要だった。
「なっ、何故、オイルを塗ったのですか?」
矢吹はナツキの脇の下に腕捲りした手を伸ばす。
小刻みに震える掌が心地好い。
「きついスーツを着るのに使ったんだ。」
ナツキは中途半端に説明する。
「すっ、スーツですか?」
裏返った声で聞き返してきた。
「ああ、ラバー製の窮屈なスーツだ。
もっと力を入れて、ゴシゴシ洗え。」
ナツキは最初が肝心と、命令口調で言う。
初めに出来た上下関係は簡単には覆せない。
それは運動部に所属していたナツキは身をもって知っていた。
「はっ、はい!」
矢吹の手に力が籠る。
そして掌が徐々に下がっていく。
瞼を閉じたナツキはマラを振って、その手を誘導した。
「おっおぉ。」
生え掛けの陰毛に達した時、低い雄声を矢吹に聞かせた。
(つづく)
それを神志那が遮る。
ナツキには聞かれたくなかった様子だ。
シンゴの話だろうか?
そして塚田は『問題』と続けた。
芳しくない状態である事は間違いない。
だがシンゴの事はもうどうでも良かった。
出来る事はやったという充足感がある。
後はシンゴの運次第だ。
人の何倍も練習しても、柔道を続ける事が出来なかった。
この時、初めて『運』を知る事になる。
カズユキが死んだ時もそう思った。
運のあるなしが人生には大事だ。
ナツキは柔道を失って、もっと大きな物を得た。
『俺の運を少し分けてやるか。』
矢吹を見詰め、ニヤリと笑う。
「もう充分です。」
トレーニングする気のないナツキは、一通り見た所で案内の男に言う。
「畏まりました。」
男が腕時計を見た。
「塚田に7時までお連れする様に承っておりますが。」
「矢吹君だったね。
だったらシャワーを浴びたいんだ。
案内してくれ。」
オイルが乾いて、皮膚が強ばっている。
「社員用で宜しいでしょうか?」
「ああ、構わん。」
矢吹の視線が剃り上げた頭に向いている事に、ナツキは気付いていた。
ナツキはシャワーを顔面に浴び、オイルに水分を与える。
オイルが本来の性能を取り戻し、全身がヌルヌルとした艶に包まれた。
ラバーに覆われた感覚が甦り、マラが頭を擡げる。
シャワーのハンドルが鏡の様に背後を映していた。
心持ち開けておいたカーテンの隙間から覗く視線を確認する。
「おい、矢吹君、悪いが背中を洗ってくれないか。」
ナツキは再び顔面をシャワーに突っ込むと声を掛けた。
「はっ、はい。」
突然の依頼に動揺した声が返ってきた。
ナツキはシャワーの中で顔を緩ます。
「しっ、失礼します。」
オイル塗れの裸体に矢吹が動きが止まるのが気配で分かる。
「どうかしたのか?」
ナツキが振り返る。
大きく見開いた瞳が聳え立つマラから微動だにしない。
「オイルを塗り過ぎて手に負えないんだ。
流し落としてくれ。」
両手を上げ、挑発する。
ナツキは矢吹を手懐ける事を考えていた。
トモヤの敵対心剥き出しの反応を顧みると、新しい職場では孤立状態だ。
ここでの情報源が必要だった。
「なっ、何故、オイルを塗ったのですか?」
矢吹はナツキの脇の下に腕捲りした手を伸ばす。
小刻みに震える掌が心地好い。
「きついスーツを着るのに使ったんだ。」
ナツキは中途半端に説明する。
「すっ、スーツですか?」
裏返った声で聞き返してきた。
「ああ、ラバー製の窮屈なスーツだ。
もっと力を入れて、ゴシゴシ洗え。」
ナツキは最初が肝心と、命令口調で言う。
初めに出来た上下関係は簡単には覆せない。
それは運動部に所属していたナツキは身をもって知っていた。
「はっ、はい!」
矢吹の手に力が籠る。
そして掌が徐々に下がっていく。
瞼を閉じたナツキはマラを振って、その手を誘導した。
「おっおぉ。」
生え掛けの陰毛に達した時、低い雄声を矢吹に聞かせた。
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