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Chapter3(立身編)
Chapter3-④【サヨナラの意味】後編
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「お前、これで出国出来るのか?」
ナツキの出来上がったばかりのパスポートの写真を見て、タクヤが感想を口にした。
自分で見てもスキンヘッドにラウンド髭の男は人相が悪過ぎる。
「多分だが、平気だろう。」
ナツキも自信がなくなってきた。
「それよりカズユキは本当に旅行行かないのか?
今更、宿どうするんだよ。
おりゃ!」
ブリッジしたタクヤの股間に歪な陰影が浮かぶ。
貞操管理されてるペニスから饐えた臭いが漂った。
「お前こそ、その臭いで、飛行機乗れないじゃねぇか。」
ナツキは自分の鼻を摘まみ、手で扇ぐ真似をする。
「仕方ねぇだろ。
この臭いがコウスケの好物なんだからよぉ!」
潰れかけたタクヤが、気合いでバーを戻した。
「大体、カズユキが怒ってる訳が分からねぇし。
口も利いてくれねぇしよ。」
「お前、本気で言ってるのか?」
「はっ?」
「カズユキが怒ってる理由だよ。
お前の事が好きだからに決まってんだろ。」
「へっ、俺の事を好き?」
ナツキが素っ頓狂な声を出す。
「だから別れるのが寂しんだよ。」
呆れ顔でタクヤが言った。
ナツキは生まれてから、一度も人から好きだと言われた事がない。
パスポートの写真に視線を落とす。
どう見ても人に好かれる面ではない。
逆に整った顔立ちのカズユキは男女から好かれるだろう。
多少のやっかみはあるにしても。
そのカズユキが自分の事を好いてるとは信じ難い。
同じ愛好者だから、一緒にいて楽しい程度だと思っていた。
「きっとカズユキは後悔してる筈だぜ。
残りの日々をケンカで終わらせたくないだろうからな。」
「でも話もしねぇんだよ。
これから帰るのも億劫だ。
今晩、泊めてくんねぇか?」
ナツキは両手を合わせる。
「あー、無理無理!
今夜はコウスケが来んだ。」
「別にお前らの交尾なんて興味深いねぇから、気にすんな。」
「馬鹿か。
俺が気にするよ。
口を利かないなら、身体に利かせればいいのさ。」
タクヤがニヤリと笑う。
「そういう時はな、こうするのさ。」
起き上がったタクヤの唇がナツキの口を塞ぐ。
驚いたナツキは見開いた瞳でタクヤを見るだけだった。
家に戻ると、電気は消えていた。
カズユキはまだ戻ってない様だ。
タクヤの考えたサプライズの準備をする。
「これでカズユキの機嫌は一発で直るぜ。」
その言葉を思い出し、苦笑いした。
終電を過ぎたが、カズユキは戻ってこない。
こんな事は一度もなかった。
携帯でカズユキを呼び出してみる。
意外と簡単に繋がった。
「あっ、俺。
悪かったな。
まさか帰ってこねぇつもりじゃねぇだろ?」
ナツキは堰が切れた如く話し出す。
「あの、こちらの携帯電話の持ち主のお知り合いですか?」
聞き覚えのない女性の声が返ってきた。
「あっ、はい。
同居している者ですが…。」
「あの、こちらの持ち主の方が交通事故に遭いまして…。
至急、病院に来てもらえますか。」
予想だにしない話にナツキは携帯を落とす。
「もしもし、聞こえてますか?
病院の場所は…。」
落ちた携帯から漏れる声が現実とは思えなかった。
(つづく)
ナツキの出来上がったばかりのパスポートの写真を見て、タクヤが感想を口にした。
自分で見てもスキンヘッドにラウンド髭の男は人相が悪過ぎる。
「多分だが、平気だろう。」
ナツキも自信がなくなってきた。
「それよりカズユキは本当に旅行行かないのか?
今更、宿どうするんだよ。
おりゃ!」
ブリッジしたタクヤの股間に歪な陰影が浮かぶ。
貞操管理されてるペニスから饐えた臭いが漂った。
「お前こそ、その臭いで、飛行機乗れないじゃねぇか。」
ナツキは自分の鼻を摘まみ、手で扇ぐ真似をする。
「仕方ねぇだろ。
この臭いがコウスケの好物なんだからよぉ!」
潰れかけたタクヤが、気合いでバーを戻した。
「大体、カズユキが怒ってる訳が分からねぇし。
口も利いてくれねぇしよ。」
「お前、本気で言ってるのか?」
「はっ?」
「カズユキが怒ってる理由だよ。
お前の事が好きだからに決まってんだろ。」
「へっ、俺の事を好き?」
ナツキが素っ頓狂な声を出す。
「だから別れるのが寂しんだよ。」
呆れ顔でタクヤが言った。
ナツキは生まれてから、一度も人から好きだと言われた事がない。
パスポートの写真に視線を落とす。
どう見ても人に好かれる面ではない。
逆に整った顔立ちのカズユキは男女から好かれるだろう。
多少のやっかみはあるにしても。
そのカズユキが自分の事を好いてるとは信じ難い。
同じ愛好者だから、一緒にいて楽しい程度だと思っていた。
「きっとカズユキは後悔してる筈だぜ。
残りの日々をケンカで終わらせたくないだろうからな。」
「でも話もしねぇんだよ。
これから帰るのも億劫だ。
今晩、泊めてくんねぇか?」
ナツキは両手を合わせる。
「あー、無理無理!
今夜はコウスケが来んだ。」
「別にお前らの交尾なんて興味深いねぇから、気にすんな。」
「馬鹿か。
俺が気にするよ。
口を利かないなら、身体に利かせればいいのさ。」
タクヤがニヤリと笑う。
「そういう時はな、こうするのさ。」
起き上がったタクヤの唇がナツキの口を塞ぐ。
驚いたナツキは見開いた瞳でタクヤを見るだけだった。
家に戻ると、電気は消えていた。
カズユキはまだ戻ってない様だ。
タクヤの考えたサプライズの準備をする。
「これでカズユキの機嫌は一発で直るぜ。」
その言葉を思い出し、苦笑いした。
終電を過ぎたが、カズユキは戻ってこない。
こんな事は一度もなかった。
携帯でカズユキを呼び出してみる。
意外と簡単に繋がった。
「あっ、俺。
悪かったな。
まさか帰ってこねぇつもりじゃねぇだろ?」
ナツキは堰が切れた如く話し出す。
「あの、こちらの携帯電話の持ち主のお知り合いですか?」
聞き覚えのない女性の声が返ってきた。
「あっ、はい。
同居している者ですが…。」
「あの、こちらの持ち主の方が交通事故に遭いまして…。
至急、病院に来てもらえますか。」
予想だにしない話にナツキは携帯を落とす。
「もしもし、聞こえてますか?
病院の場所は…。」
落ちた携帯から漏れる声が現実とは思えなかった。
(つづく)
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