妄想日記5<<DISPARITY>>

YAMATO

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Chapter3(立身編)

Chapter3-③【最高かよ】後編

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「おっ、これ男物だぜ!」
一番最後にキャットスーツを着た男性モデルの画像が表示された。
「うわぁ、450ドルだって!
今、レートが110円位だから、送料入れたら5万円越えちゃうよ。」
カズユキが悲鳴にも似た声をあげた。
「5万円か…。
流石に手が出ねぇな。」
金額を聞き、溜息が漏れる。
そんな高額の物など、買った事がない。
顔を後ろに向けると、愛撫が止まった。
「マスクだけでも1万円近くしたから、こんなもんか。
でも、ボクは絶対買わないからね。
買うなら自分で買ってよ!」
不安を覚えたカズユキが目線を逸らす。
ナツキは頭に手を当て、ラバーに触れる。
何か良い知恵は浮かばないかと、一休さんを真似てみた。
 
四月になり、神志那から連絡が入った。
中旬に出張で東京に来るとの事だ。
遂に作戦決行と、ナツキは胸が高鳴るのを押さえきれない。
内から込み上げるワクワク感は試合前に似ている。
神志那と会う時、期待と緊張が入り乱れた。
この感情は他の男では味わえない。
待ち合わせのホテルのロビーで待っていると、携帯が鳴った。
「神志那だ。
悪いが、急な会議が入った。
先にチェックインしててくれ。
神志那の名前を出せば分かる筈だ。」
電話は一方的に切れた。
ナツキにとっては好都合だ。
『支配者はたえず冷静でいろ。』
その教えをもう一度頭に叩き込む。
待ち望んだラバースーツは目前だ。
それを着た時に平常心でいられるだろうか?
いや、いなければならない。
主導権を握るには神志那以上に冷静でいる必要がある。
ナツキは大きく息を吐き出すと、フロントへ向かった。
 
ナツキは全頭マスクを被る。
鼻を突くラバー特有の匂いが士気を高めた。
暮れ行く部屋で、神志那が来るのを今か今かと待ちわびる。
ドアの開く音がした。
「いないのか?」
薄暗い部屋に声が響く。
返事する事なく、窓際から薄暮の町を眺める。
「いるなら、返事位…。」
神志那の言葉が途切れた。
闇の中に佇むナツキを認識したからだろう。
カズユキのワードロープの中から光沢のある物を選んできた。
ラテックスのスリーブレスのジャンプスーツにショルダーカバーを重ねている。
この明るさなら、一体化して見える筈だ。
背後から荒い息が近寄ってきた。
社員ではないナツキは無下な命令に従う必要はない。
『分は俺にある。』
ナツキはそう踏んでいた。
 
「美しい光沢だ。
惚れ惚れする。」
後ろから伸びた手が大胸筋を鷲掴みした。
ナツキは大胸筋に力を入れ、その指を弾く。
「拘禁された筋肉は最大限に輝く。
そうは思わないか?」
神志那の声音には普段の覇気がない。
優しく語り掛けてきた。
「うっす。」
短く答える。
「この小さなスーツの中で、お前の筋肉は悶え喜んでいる。
もっと厳しい監禁下に置いてみないか?
筋肉が爆発する所を見たいだろ。」
神志那が耳元で囁く。
「いつもみたく縛るって事っすか?」
ナツキは態と『いつも』を強調して聞く。
「ああ、縛りは同然だが、筋肉を拘禁した後だ。
息が止まる程の快楽を味わわせてやる。」
想定通りの展開に腹の中でほくそ笑む。
 
 
(つづく)
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