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Chapter2(復讐編)
Chapter2-⑨【らいおんハート】後編
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唐突に音が鳴り、室内に蒸気が充満する。
瞬く間に視界は閉ざされた。
ナツキはギョロ目のいる場所へ見当をつけて移動する。
『グチュ、グチャ…。』
音が導いてくれた。
発生源に手を伸ばす。
思いがけず、指先に生温い感触を得た。
それが直ぐに舌だと理解する。
指先にねっとりとした舌が絡み付く。
ナツキは亀頭から先走りが溢れ出ている事にも気付かず、指先に神経を向けた。
固めの舌が二本の指に食らい付く。
掌が亀頭が覆う。
大量の先走りで辺りは雄の臭いで満ちていく。
「チッ!」
フェラを中断された男が出て行った。
空いた場所に腰掛ける。
ギョロ目がナツキの肩に手を置き、跨ぐのが分かった。
目の前で熱り立つシルエットが揺れる。
饐えた臭いは雄その物だ。
それはきつく酸っぱい。
道場を思い出させる臭いはカズユキにはない。
思い切り息を吸い込むと、亀頭が膨らんだ。
カズユキに足りないのはこの臭いだ。
無味無臭な体臭に欲情する事はなかった。
先走りの溢れる亀頭が粘着質な穴へ誘導される。
糸を引く様な粘りけのある締め付けが出迎えてくれた。
アナルの能動的な動きが極楽へ誘う。
薄くなった蒸気の中に二つの瞳が浮かび上がった。
ナツキも正面からその視線に対峙する。
その瞳は避けるどころか、更に大きく開く。
ゾクゾクする快楽の中で、伸びた舌にナツキも舌を絡めた。
閉店を告げる放送が流れた。
ギョロ目はナツキから下りると、何も言わずに出ていった。
閉店時間を過ぎているが、ギョロ目はシャワーブースに入る。
ナツキも後を追う。
一番奥から湯煙が上がっていた。
激しく降り注ぐシャワーの中にギョロ目が立っている。
その姿を見て、ナツキはニヤリと笑う。
この場に不似合いなスイムキャップとゴーグルをしていたからだ。
「同じ穴の狢だな。」
ナツキも手拭いに挟んでおいたゴーグルを装着する。
ゴーグル越しでもギョロ目の目力は衰える事はない。
「閉店時間を過ぎてます。
至急、お帰りの仕度をお願いします。」
店員の声が聞こえてきた。
ナツキは肩を竦めると、脱衣所へ向かう。
「あんたN駅のジムのトレーナーだろ?」
背後から声がした。
「ああ、もう辞めたけどな。」
振り返って答える。
ナツキもジムでギョロ目を見ていた。
エアロビクスのクラスを持っていたのだ。
「チカラって言うんだ。
同業者だし、宜しくな。」
チカラが並んで歩く。
「確か、木曜日の夕方にレッスンを持ってたな。」
シンゴが休みの日だったので、記憶に残っている。
「辞めたなら、賢い選択だったな。
あそこ、もう直ぐ大手に吸収されんだ。
残った社員は可哀想だよ。
俺も契約切られたし。」
チカラが歩きながら、ナツキの尻を撫でた。
「社員はクビって事か?」
シンゴの去就が気になる。
「まあ直ぐにはクビにならないが、つまらん仕事に追いやられるだろうな。
または地方店舗に追いやられて、自分から辞めるの待つ。
どちみち吸収される側のプロパーに待ち受けるのは地獄だけだ。」
その言葉にナツキのマラは萎えていた。
(つづく)
瞬く間に視界は閉ざされた。
ナツキはギョロ目のいる場所へ見当をつけて移動する。
『グチュ、グチャ…。』
音が導いてくれた。
発生源に手を伸ばす。
思いがけず、指先に生温い感触を得た。
それが直ぐに舌だと理解する。
指先にねっとりとした舌が絡み付く。
ナツキは亀頭から先走りが溢れ出ている事にも気付かず、指先に神経を向けた。
固めの舌が二本の指に食らい付く。
掌が亀頭が覆う。
大量の先走りで辺りは雄の臭いで満ちていく。
「チッ!」
フェラを中断された男が出て行った。
空いた場所に腰掛ける。
ギョロ目がナツキの肩に手を置き、跨ぐのが分かった。
目の前で熱り立つシルエットが揺れる。
饐えた臭いは雄その物だ。
それはきつく酸っぱい。
道場を思い出させる臭いはカズユキにはない。
思い切り息を吸い込むと、亀頭が膨らんだ。
カズユキに足りないのはこの臭いだ。
無味無臭な体臭に欲情する事はなかった。
先走りの溢れる亀頭が粘着質な穴へ誘導される。
糸を引く様な粘りけのある締め付けが出迎えてくれた。
アナルの能動的な動きが極楽へ誘う。
薄くなった蒸気の中に二つの瞳が浮かび上がった。
ナツキも正面からその視線に対峙する。
その瞳は避けるどころか、更に大きく開く。
ゾクゾクする快楽の中で、伸びた舌にナツキも舌を絡めた。
閉店を告げる放送が流れた。
ギョロ目はナツキから下りると、何も言わずに出ていった。
閉店時間を過ぎているが、ギョロ目はシャワーブースに入る。
ナツキも後を追う。
一番奥から湯煙が上がっていた。
激しく降り注ぐシャワーの中にギョロ目が立っている。
その姿を見て、ナツキはニヤリと笑う。
この場に不似合いなスイムキャップとゴーグルをしていたからだ。
「同じ穴の狢だな。」
ナツキも手拭いに挟んでおいたゴーグルを装着する。
ゴーグル越しでもギョロ目の目力は衰える事はない。
「閉店時間を過ぎてます。
至急、お帰りの仕度をお願いします。」
店員の声が聞こえてきた。
ナツキは肩を竦めると、脱衣所へ向かう。
「あんたN駅のジムのトレーナーだろ?」
背後から声がした。
「ああ、もう辞めたけどな。」
振り返って答える。
ナツキもジムでギョロ目を見ていた。
エアロビクスのクラスを持っていたのだ。
「チカラって言うんだ。
同業者だし、宜しくな。」
チカラが並んで歩く。
「確か、木曜日の夕方にレッスンを持ってたな。」
シンゴが休みの日だったので、記憶に残っている。
「辞めたなら、賢い選択だったな。
あそこ、もう直ぐ大手に吸収されんだ。
残った社員は可哀想だよ。
俺も契約切られたし。」
チカラが歩きながら、ナツキの尻を撫でた。
「社員はクビって事か?」
シンゴの去就が気になる。
「まあ直ぐにはクビにならないが、つまらん仕事に追いやられるだろうな。
または地方店舗に追いやられて、自分から辞めるの待つ。
どちみち吸収される側のプロパーに待ち受けるのは地獄だけだ。」
その言葉にナツキのマラは萎えていた。
(つづく)
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