27 / 236
Chapter2(復讐編)
Chapter2-④【Lifetime Respect】前編
しおりを挟む
ナツキは神志那の出張の度に縛りの他、格闘のスキルを教わった。
「やれば、やり返してくる奴もいる。
そいつらを返り討ちにするには格闘のスキルが必要だ。
お前はセンスはいいが、知識がない。
無知は負けに繋がる。」
神志那が分かり易く説明する。
「格闘技ならテレビで見てるぜ。」
「格闘と格闘技は違う。
格闘にルールはない。
如何に早く相手を倒すかだ。」
即座に否定された。
「そりゃ、瞬殺出来たら楽だけどよ。
どうやって?」
「簡単だ、ルールを逆手に取ればいい。」
「と言うと?」
「禁止事項をやればいいんだ。
目潰し、脛椎絞め、危険な関節技、そして金玉だ。」
神志那がにやりと笑う。
ナツキの得意技の腕挫腋固めも、立ち技からの仕掛けは禁止となっている。
それだけ危険という事だ。
「一発で仕留め、戦意を奪っちまうんだな。」
「そうだ、ルールのない格闘は一発必中が絶対だ。
急所を確実に突け。
闇雲に打ち出すパンチなど無意味だ。
先手必勝、それで全てを終わらせる。
それをしっかり頭に叩き込んでおけ。」
神志那の言葉を思い出す。
シゲルは一発で仕留めた。
次は巨漢のゴロウだ。
動きは鈍いが打たれ強い。
巨体が闘牛の如く突進してきた。
寸前の所でナツキは尻餅を搗く。
大きな身体が覆い被さってくる。
『急所を確実に突け。』
高く上げた右足で喉仏を狙う。
案の定、俊敏さは微塵もない。
喉を押さえて、巨体が沈んだ。
「この野郎!」
ユズルが立ち上がりかけたナツキの鳩尾を狙ってきた。
「もう許して下さい。」
言葉とは裏腹にナツキは微笑む。
分かり易い攻撃パターンに思わず笑ってしまう。
神志那の言っていた格闘と格闘技の違いだ。
格闘の経験のない男など子供を相手にするのと変わらない。
『闇雲に打ち出すパンチなど無意味だ。』
パンチを躱し、伸びた腕に飛び掛かる。
蹴り上げた右脚を首に掛け、腕を取った。
勢い余って二人は倒れ込む。
だがナツキはその腕を離さず、関節とは逆の方向に伸ばす。
駆け寄ってくるシンゴが視界に入る。
タイムリミットだ。
躊躇する事なく、全体重を腕に掛けた。
「こっ、怖かったんです。
兎に角、怖くて、無我夢中で、良く覚えてないです。」
警察の事情聴取に答えながら、本当に涙が出てきた事に自分でも驚いた。
「誰も助けてくれなくて…。」
ここがポイントだ。
強く睾丸を握り、身体を揺らしてみせる。
「俺がもっと早く駆け付ければ、こんな事にならなかったのに。
すまん。」
神妙な表情のシンゴが頭を下げる。
過剰防衛が疑われたが、証人全員が被害者達の非を訴えた。
「それにしても、三人共病院送りにするとはな…。」
年配の警官はすっきりしない様子だ。
駆け付けた宮脇が柔道部での経緯を話してくれた。
これが駄目押しになる。
被害者から二度も靭帯を損傷された過去が心証を得るのに役立つ。
「また大怪我するのが怖かったんです。」
握力を強めると、身体は大きく揺れた。
(つづく)
「やれば、やり返してくる奴もいる。
そいつらを返り討ちにするには格闘のスキルが必要だ。
お前はセンスはいいが、知識がない。
無知は負けに繋がる。」
神志那が分かり易く説明する。
「格闘技ならテレビで見てるぜ。」
「格闘と格闘技は違う。
格闘にルールはない。
如何に早く相手を倒すかだ。」
即座に否定された。
「そりゃ、瞬殺出来たら楽だけどよ。
どうやって?」
「簡単だ、ルールを逆手に取ればいい。」
「と言うと?」
「禁止事項をやればいいんだ。
目潰し、脛椎絞め、危険な関節技、そして金玉だ。」
神志那がにやりと笑う。
ナツキの得意技の腕挫腋固めも、立ち技からの仕掛けは禁止となっている。
それだけ危険という事だ。
「一発で仕留め、戦意を奪っちまうんだな。」
「そうだ、ルールのない格闘は一発必中が絶対だ。
急所を確実に突け。
闇雲に打ち出すパンチなど無意味だ。
先手必勝、それで全てを終わらせる。
それをしっかり頭に叩き込んでおけ。」
神志那の言葉を思い出す。
シゲルは一発で仕留めた。
次は巨漢のゴロウだ。
動きは鈍いが打たれ強い。
巨体が闘牛の如く突進してきた。
寸前の所でナツキは尻餅を搗く。
大きな身体が覆い被さってくる。
『急所を確実に突け。』
高く上げた右足で喉仏を狙う。
案の定、俊敏さは微塵もない。
喉を押さえて、巨体が沈んだ。
「この野郎!」
ユズルが立ち上がりかけたナツキの鳩尾を狙ってきた。
「もう許して下さい。」
言葉とは裏腹にナツキは微笑む。
分かり易い攻撃パターンに思わず笑ってしまう。
神志那の言っていた格闘と格闘技の違いだ。
格闘の経験のない男など子供を相手にするのと変わらない。
『闇雲に打ち出すパンチなど無意味だ。』
パンチを躱し、伸びた腕に飛び掛かる。
蹴り上げた右脚を首に掛け、腕を取った。
勢い余って二人は倒れ込む。
だがナツキはその腕を離さず、関節とは逆の方向に伸ばす。
駆け寄ってくるシンゴが視界に入る。
タイムリミットだ。
躊躇する事なく、全体重を腕に掛けた。
「こっ、怖かったんです。
兎に角、怖くて、無我夢中で、良く覚えてないです。」
警察の事情聴取に答えながら、本当に涙が出てきた事に自分でも驚いた。
「誰も助けてくれなくて…。」
ここがポイントだ。
強く睾丸を握り、身体を揺らしてみせる。
「俺がもっと早く駆け付ければ、こんな事にならなかったのに。
すまん。」
神妙な表情のシンゴが頭を下げる。
過剰防衛が疑われたが、証人全員が被害者達の非を訴えた。
「それにしても、三人共病院送りにするとはな…。」
年配の警官はすっきりしない様子だ。
駆け付けた宮脇が柔道部での経緯を話してくれた。
これが駄目押しになる。
被害者から二度も靭帯を損傷された過去が心証を得るのに役立つ。
「また大怪我するのが怖かったんです。」
握力を強めると、身体は大きく揺れた。
(つづく)
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男
湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。
何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる