妄想日記8<<FLOWERS>>

YAMATO

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Chapter11(誤算編)

Chapter11-⑥【ブルースカイ ブルー】

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もう少し歩けばゲイビーチだ。
素性の知れない客を案内するのは大胆過ぎる。
メインのビーチは過ぎ、大小の岩々が現れた。
潮は引いている。
歩き出した時は膝下迄あった海水が、今は時折サンダルを濡らす程度だ。
濡れた砂に足跡が続いている。
もう人影は少ない。
「この辺りにしましょうか?」
「リョウキさんはいつもこの辺りで焼いているのですか?」
「いえ…、もう少し…、先です。」
「ではその辺りまで、頑張りましょう。」
真上から照り付ける太陽は容赦ない。
キャップを被っていても、後頭部が熱い。
思考が上手く纏まらない。
あれこれ考えても仕方ない。
突き進むだけだ。
 
岩場の隙間に砂浜が見え隠れする。
岩の影で露な姿の男達が焼いている筈だ。
「普段は…、この辺りで焼いてます。」
「ここなら落ち着いて焼けそうです。
素敵な場所を教えてくれて、ありがとう。」
本心か分からないが、とりあえず気に入ってくれた様子だ。
ショーンも淫らな格好で焼きたい事は分かった。
ナルシストではない筋トレマニアはいない筈だ。
テーブル状の岩があり、その奥にシートを敷く。
青空に雲一つない。
一時間も焼けば、ぼっとする筈だ。
嗜好は鈍り、深く考えなくなる。
今はまだ言う時ではない。
ポケットの中でウエアを握り締める。
ここがお気に入りの場所だ。
岩の影になるので、いつもなら全裸で焼いていた。
男がショートジーンズを脱ぐ。
下から現れたメタリックのビキニに目眩を覚える。
弾力のある筋肉とハイレグのビキニが眩し過ぎたのだ。
男が準備運動を始める。
リョウキの視線を知った上でか、挑発してきた。
上体を前に曲げて、尻を付き出す。
次に上体を反らして、股間を突き出した。
エナメルが日射しを反射する。
その目映い裸体は妄想の男と一致した。
 
リョウキは男臭い人が苦手だった。
かといって女性的な人が好きな訳ではない。
妄想で作り出した人は性を超越していた。
発達した大胸筋は女性のバストより大きい。
そして極限まで絞られたウエストは女性より細い。
鍛えぬいた筋肉は体毛はなく、剛と柔を兼ねていた。
ショーンはそんな空想から飛び出してきた様だ。
筋肉の一つ一つは大きく男らしい。
だがそれぞれに括れがあり、男臭さを中和していた。
正に理想の人だ。
 
「あのー、一つお願いがあるのですが…。」
一時間程経った事を確認し、声を掛ける。
「何ですか?
こんな素敵な場所へ連れてきてもらって、とても感謝してます。
遠慮せずに言って下さい。」
どうやらオイルを塗る程度を想定している様子だ。
妄想の人はいつも同じウエアを着ていた。
「これを着てもらえないですか?」
ポケットから出した水着を広げる。
それを見詰めたショーンの口は開いたままだ。
「あっ、いや、やっぱいいです。
忘れて下さい。」
理想の人と一緒にいられる。
それだけで充分、欲張ったら駄目だ。
引っ込めた手から水着が奪われた。
「このワンピースの水着を着ればいいのですね。
お安いご用です。
もっと無理難題かと、身構えてしまいました。」 
閉じた唇の広角が上がる。
水際は後退し、遥か先まで浜は延びていた。
 
(つづく)
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