妄想日記8<<FLOWERS>>

YAMATO

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Chapter9(最愛編)

Chapter9-④【Dear Father】

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父親の存在を知り、マッチョや年上を毛嫌いしていた。
奴等は自分を汚らわす物でしかない。
化粧をする美しい男が自分のタイプだと思っていた、
いや、そう思い込もうとしていたのだ。
だが父と和解した事で、その呪縛は少しずつ溶けていった。
いつしか忌み嫌う対象は欲する者へとシフトしていく。
今ではマッチョを好み、悶絶する年上に欲情していた。
その年上には限度がある。
一回り以上年の離れたリョウキは恋愛の対象ではない。
40歳を越えた世代は父親に近い。
性欲の捌け口になっても、心は満たされなかった。
 
ベッドに横たわりスマホを眺める。
画面をスクロールし、画像を流していく。
SNSを見る事で視覚的な勉強になった。
一人のMをフォローすると、彼の嗜好や動向を知る事が出来る。
何に欲情し、何処で発散し、何に満足するのかを教えてくれた。
マッチョの多くは日焼けを好む様だ。
彼が休みの日は類似のMを紹介してくれた。
SNSはリヒトのタイプが変化した事を知ってるらしい。
派手な色に髪を染めた男は坊主やスキンヘッドに変わっていた。
もうメイクをした男達は現れない。
次々に淫らな格好でトレーニングするマッチョが現れた。
殆どは海外からだ。
裸体でスクワットするソラが頭から離れない。
世界中のどんな卑猥なビルダーより、ソラのエロティズムが勝っていた。
どうしてあの時、画像を撮らなかったのか、後悔が止まない。
ソラと比較すると、それ以上に刺激的な身体はなかった。
画像をフリックして、画像を流す。
満足する物はないと分かっているが、つい見てしまう。
 
「えっ!」
逆に指を動かし、画像を戻す。
見覚えのある肉体だ。
ソラに似ていた。
漆黒に焼けた筋肉を薄い生地のスパッツが覆う。
メッシュのマスクを被っている。
画面をタップし、画像を出す。
それをピンチし、大きくする。
メッシュ下に隠れる表情がうっすらと分かる。
間違いなくソラだ。
ただ極端に減った脂肪は自分の知らない身体だった。
 
投稿者は『俺のスレイブ』となっている。
そこをタップし、投稿者の頁へ飛ぶ。
ソラらしき男の画像が並んでいた
古い画像を遡る。
漆黒だった筋肉は褐色、小麦色と薄れていく。
脂肪も少しずつ増えていった。
一番古い画像に辿り着く。
見覚えのある裸体だった。
真っ裸でスクワットする男。
何度も、何度も思い出す映像。
あの日のソラだ。
背景はぼやけているが、翼の様な大胸筋を見間違える筈がない。
あの場にいたのは三人だけだ。
ミッシェルはソラの画像を撮っていた。
そしてここに投稿していたのだ。
 
最初の画像は後ろ姿一枚だけだ。
次の投稿から全頭マスクを被る様になっていた。
そこから全身が写っている。
何故か、メッシュのマスクに欲情した。
メッシュ生地は見えそうで、見えない。
大好きだった顔を覆い隠すマスクに興奮したのだ。
どんな挑発的な表情よりも卑猥だった。
スレイブとなったソラを妄想する。
マスクの下で歪んだ顔が股間を刺激した。
漏れ出る声が聞こえてくる。
マスクのアップ画像で射精した。
画面に唇を押し付ける。
久し振りのキスにザーメンは止まらない。
 
(つづく)
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