妄想日記8<<FLOWERS>>

YAMATO

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Chapter8(宝物編)

Chapter8-⑭【さよーならまたいつか!】

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あの時、確かに我を忘れた。
トリガーは呻き声だ。
あの声が安全装置を外した。
躊躇していた気持ちは消え失せ、年上の男の更なる悶絶を欲した。
自分の性に残忍性があるのだろうか?
俄かに信じ難い。
人の気持ちが気になり、意見を引っ込める事が多い。
そんな自分にサディズムな性があるものだろうか?
リモコンでテレビの電源を入れる。
入れっ放しのDVDが再生された。
父親が便器に座っている。
伸びた足が股間を踏み締めた。
見慣れた顔の眉間に皺が寄っていく。
昨夜このシーンを何度も見て、イメージトレーニングをした。
 
このシーンだけ見ると、父はMの様だ。
モニターの中で、口が開く。
そこを目掛けて黄金水が着水した。
溢れた水がウエアを濡らしていく。
喉を鳴らして飲み込む音が股間へ手を誘う。
膨らんだ亀頭が待っていた。
以前は飲尿に興奮する父を見て、これも遺伝するのかと考えた。
だが自分は飲ますポジションに欲情していたのかもしれない。
年上の男が跪く。
彼等は自分の一挙手一投足を見守っている。
ブーツや小便を待っているのだ。
歪んだ顔に年上の威厳はない。
そこにあるのは滑稽な姿と溢れる爽快感だ。
悶絶する顔がソラへと変わる。
開いた口へ放尿しているのは自分だ。
掌の中の亀頭は力強い。
「おらっ、溢れてるぞ。
僕の大事なのを無駄にするなよ。
溢した罰だ。
って、ソラにとっては踏まれるのは褒美になっちなうな。
ほらっ、ケツをこっちへ向けろ。
ブーツをぶち込んでやるから。
痛い位、広がらないと感じなかったよな。」
妄想の中のソラを責め立てる。
キラキラした笑顔はない。
ブーツを食らい筋肉が痙攣している。
血管の浮かぶペニスが腹を打った。
 
だがこの先が分からない。
妄想が停止した。
興奮し切ったMをフィニッシュへ向かわせる方法を知らない。
DVDにその答えはなかった。
父はペニスを晒す事がなく、射精シーンもない。
男なら亀頭を摩れば、射精する筈だ。
Mもそれを望んでいるのだろうか?
それともアナルを責めた方が感じるのだろうか?
参考書はない。
世間のゲイはどこでこの回答を得るのか、知りたい。
 
電話が鳴った。
「ソラだけど、起きてた?」
「まだ起きてたよ。
明日のトレーニングのこと?」
「まあ、そうなんだけど…。
暫く別々にトレーニングしない?
毎日、そっちへ行く電車賃が持たなくてさ。」
『なら、僕が行くよ。』
出掛かった言葉を飲み込む。
提案になっているが、それは形式だけの事だと察したからだ。
「いつも来てもらうばかりでゴメン…。」
別れは突然やって来た。
自分の気持ちは関係ない。 
「また機会があったら、一緒にやろうよ。
じゃあ…。」
通話は切れた。
スマホを眺めるが、もう鳴る事はなさそうだ。
宝物は呆気なく消失した。
キラキラした笑顔はもう見れない。
『手に入らないから宝物か…。』
両手からすり抜けた宝物は戻ってこない。
また機会があったらは含みを持たせる事で、罪悪感を減らしたいだけだ。
自分の為に言った言葉ではない。
もう会う事がないのは明白だった。
だけど夢の中なら、二人で日焼けに行けるかもしれない。
そしてソラを悶絶させる事が出来る筈だ。
 
(完)
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