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Chapter8(がむしゃら編)
Chapter8-⑤【赤い罠(who Loves It?)】前編
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睨み付ける500円玉は何の助言も与えてくれない。
「あんたパパラッチか?」
背後で声がした。
振り向くと、ダウンを着た男がニヤニヤして立っていた。
「パパラッチ?
俺は只の…。」
「だよな、そんな股間を濡らした淫乱な奴がパパラッチな訳ないか。」
その言葉に視線を落とす。
ぶつかった時にコートの裾が捲れ、濡れた股間が露になっていた。
「只のリーマンがこんな時間に何してんすか?
時間あんなら話さない?
あんたみたいな淫乱な奴に打って付けの話があるんだ。」
キャップの下から口だけが動く。
「ああ、時間はあるけど…。」
伝票と500円玉を掴むと、男のテーブルに座る。
「俺はユウヤ、こっちはワタルさん。」
男が自己紹介した。
シオンはワタルから視線を外せない。
汗で濡れた筋肉がビニールのアウターに張り付いている。
裸体に近い男が眩しい。
「で、名前は?」
促され、慌ててユウヤを見る。
「シオン…。
で、俺に打って付けの話って?」
「ああ、シオンみたいに人混みで先走り垂らしてる奴にぴったりの話っすよ。」
ユウヤは勿体振って、ストローを口に含んだ。
「俺はそんなに淫乱じゃないけど…。」
「ワタルさんが今度店を出したんだ。
あんたみたいな淫乱野郎向けのね。」
「発展場?」
「いや、違う。
サロンなんだ。
お客さんが自由に寛げる憩いの店。」
ワタルが口を開いた。
「寛げる?憩い?」
説明を聞いて余計に混乱する。
「まあ、好きな格好で、好きな事の出来る店。
快楽に耽ってる奴を見るだけでもいいし、自ら快楽に耽ってもいいし。
腹が減ったら、飯も食えるぜ。
あんたの欲望を叶えてくれる店だ。」
「会社で嫌な上司に文句を言われて、むしゃくしゃする事ってあるだろ?
そんな日の帰りに寄って、発散してもらいたいんだ。
それが俺の憩いの店なんだ。」
雰囲気は伝わってきたが、具体的なイメージは湧いてこない。
「まあ、百聞は一見に如かずだ。
まだオープン前だけど、寄ってみないか?」
「俺の欲望を叶えてくれる…。」
ワタルの誘いに大きく頷く。
入口の二体のマネキンに圧倒される。
リアルな筋肉は今にも動き出しそうだ。
確かにここなら上司の嫌味等、直ぐに忘れさせてくれる。
「これ売ってる…の?」
棚に置かれたウェアに手を伸ばす。
どれも生地が薄く、裏の指が透けて見えた。
「ええ、これを着て、寛いでもらうのが目的です。
良かったら試着してみますか?
これなんかどうかな?」
ワタルの広げたウェアに目を見張る。
薄手のシングレットは尻の部分に穴が空いていた。
これを着て、ワタルの上に跨がる。
それは正に夢の通りだ。
股間が濡れていくのがはっきりと分かる。
「但し汚したら、即お買い上げっすよ。」
ユウヤの籠った声に違和感を覚える。
その発信源に目を向け、一歩退く。
マスクを被ったユウヤはもうキャップを被っていなかった。
(つづく)
「あんたパパラッチか?」
背後で声がした。
振り向くと、ダウンを着た男がニヤニヤして立っていた。
「パパラッチ?
俺は只の…。」
「だよな、そんな股間を濡らした淫乱な奴がパパラッチな訳ないか。」
その言葉に視線を落とす。
ぶつかった時にコートの裾が捲れ、濡れた股間が露になっていた。
「只のリーマンがこんな時間に何してんすか?
時間あんなら話さない?
あんたみたいな淫乱な奴に打って付けの話があるんだ。」
キャップの下から口だけが動く。
「ああ、時間はあるけど…。」
伝票と500円玉を掴むと、男のテーブルに座る。
「俺はユウヤ、こっちはワタルさん。」
男が自己紹介した。
シオンはワタルから視線を外せない。
汗で濡れた筋肉がビニールのアウターに張り付いている。
裸体に近い男が眩しい。
「で、名前は?」
促され、慌ててユウヤを見る。
「シオン…。
で、俺に打って付けの話って?」
「ああ、シオンみたいに人混みで先走り垂らしてる奴にぴったりの話っすよ。」
ユウヤは勿体振って、ストローを口に含んだ。
「俺はそんなに淫乱じゃないけど…。」
「ワタルさんが今度店を出したんだ。
あんたみたいな淫乱野郎向けのね。」
「発展場?」
「いや、違う。
サロンなんだ。
お客さんが自由に寛げる憩いの店。」
ワタルが口を開いた。
「寛げる?憩い?」
説明を聞いて余計に混乱する。
「まあ、好きな格好で、好きな事の出来る店。
快楽に耽ってる奴を見るだけでもいいし、自ら快楽に耽ってもいいし。
腹が減ったら、飯も食えるぜ。
あんたの欲望を叶えてくれる店だ。」
「会社で嫌な上司に文句を言われて、むしゃくしゃする事ってあるだろ?
そんな日の帰りに寄って、発散してもらいたいんだ。
それが俺の憩いの店なんだ。」
雰囲気は伝わってきたが、具体的なイメージは湧いてこない。
「まあ、百聞は一見に如かずだ。
まだオープン前だけど、寄ってみないか?」
「俺の欲望を叶えてくれる…。」
ワタルの誘いに大きく頷く。
入口の二体のマネキンに圧倒される。
リアルな筋肉は今にも動き出しそうだ。
確かにここなら上司の嫌味等、直ぐに忘れさせてくれる。
「これ売ってる…の?」
棚に置かれたウェアに手を伸ばす。
どれも生地が薄く、裏の指が透けて見えた。
「ええ、これを着て、寛いでもらうのが目的です。
良かったら試着してみますか?
これなんかどうかな?」
ワタルの広げたウェアに目を見張る。
薄手のシングレットは尻の部分に穴が空いていた。
これを着て、ワタルの上に跨がる。
それは正に夢の通りだ。
股間が濡れていくのがはっきりと分かる。
「但し汚したら、即お買い上げっすよ。」
ユウヤの籠った声に違和感を覚える。
その発信源に目を向け、一歩退く。
マスクを被ったユウヤはもうキャップを被っていなかった。
(つづく)
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