妄想日記6<<EVOLUTION>>

YAMATO

文字の大きさ
上 下
165 / 190
Chapter8(がむしゃら編)

Chapter8-①【今夜ここまま】前編

しおりを挟む
「ユウヤさん、凄いよ…。
こっ、こんなに凄いの初めてだ!」
新しい俳優が譫言を繰り返す。
「ユウヤじゃないだろ。
マスクマンと言え。」
以前なら信用しなかった譫言も、今は疑う事がない。
自信がユウヤを変えたのだ。
マスクを被ると、別人格が入り込んできた。
誰の視線も気にならない。
ひれ伏す男達は母親でなく、ユウヤを見ていた。
『もっと早くマスクと出会っていれば。
もっと早くワタルと知り合っていれば。』
 
毎日、山下の家に通う。
ワタルへの依存度が高まっていた。
ワタルの体液を飲まずにいられない。
飲まないとこの自信が消滅しそうな気がした。
「素晴らしい肉体になりましたね。
もう教える事はなくなりました。」
町にジングルベルが流れ出した時、トレーナーがスクワットをしながら言う。
ワタルに習い出してから三ヶ月が経過していた。
「えっ、それって卒業しろって事っすか?」
慌てて聞く。
「そうです。
これからは自分で道を探すのです。」
トレーナーのアナルに出入りするディルドは更に太く大きくなっていた。
「いや、それはまだ…。
まだ先生の張り型には及ばないし。
先生のレベルに達したいんだ。」
スクワットをするのを忘れ、訴える。
「スクワットが止まっていますよ。
サイズアップは自分の判断で出来ます。
もうスキルは充分に習得してるのだから。」
「だったら二倍払うから、続けさせてくれないか?
まだ先生に習いたいんだ。」
突然の宣言に狼狽えた。
 
「私も自分の道を探したいのです。
ここでの仕事はゴールではないんです。」
「だったら俺が支援するっすよ。
先生は何がしたいんすか?
金なら幾らでも出すから。」
ユウヤは矢継ぎ早に旨い言葉を並べる。
トレーナーを引き留めるチャンスは今しかない。
「幾ら欲しい?
三百万?
店を出すならそれじゃ足りない?
だったら一千万円でもいいよ。」
過去にこの提案を断った者は皆無だ。
いつも金が解決してくれた。
金は万能だ。
「それは有り難い提案ですが…。
でも自分だけの力でやり遂げたいのです。」
トレーナーが酷く遠い存在に思えた。
 
夜の街を山下と連れだって走る。
山下の身体から湯気が上がっていた。
寒い時期だが、熱気を帯びた筋肉には丁度良い。
船着き場には誰もいない。
「お前さ、無下にユウヤの誘い断る事ないだろ。
側に置いておけば、役立つぞ。」
山下はユウヤの提案の事を言っていた。
「それはそうですが…。
でも近くにいれば、きっと頼ってしまいます。
それが嫌なんです。」
ワタルは屈伸しながら答える。
「まあ、そこ迄決めたなら仕方ないな。
で、何をやるんだ?」
山下の白いボディスーツが街灯に照らされた。
「俺、店を出したいんです。
接客業って言うのかな?
客の喜ぶ顔が好きなんです。」
「と言うと飲食店か?」
「俺は調理免許もないし、てきぱきと何個もの料理を同時に作るのは無理です。」
祭での経験がそれを拒んだ。
 
(つづく)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

入れ替われるイメクラ

廣瀬純一
SF
男女の体が入れ替わるイメクラの話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...