妄想日記6<<EVOLUTION>>

YAMATO

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Chapter7(女優編)

Chapter7-⑨【Staying Power】後編

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「尿道に入れた事はあるっすか?
無理しなくてもいいっすよ。
金出して出血されたら、馬鹿らしいっすから。」
ユウヤは人差し指と中指を器用に使い、ストローを回す。
「これ位なら大丈夫だ。」
こんな所で中嶋にされた尿道拡張が役立つとは思わなかった。
お陰で万札を棒に振らずに済んだ。
「じゃあ、先に腸内で熟成されたオイルを頂くっす。
メインディッシュは最後に取っておく方なんで。
風呂借りるっすよ。」
ユウヤはキャップを拾うと、山下へ声を掛けた。
 
久し振りの虚脱感だった。
睾丸が空っぽになった感覚を味わう。
チンニングマシンにぶら下がった広背筋が大きく広がる。
スクワットで疲労しきっていたユウヤは別人の様に懸垂を繰り返す。
正に水を得た魚だ。
『もしかして俺の体液にも山下と同じ効能が?』
ワタルは中央に寄る広背筋に掌を添え、意識を促した。
「じゃあ、五万円。
税込みでいいっすよね?」
キャップを目深に被ったユウヤが財布から札を取り出す。
「ああ、構わない…。」
余りに上手く行く事に却って不安を覚えた。
「また予約を入れようかな?
テツヤ先生のより効果あるみたい。
疲労感が全くないっす。
来週空いてるっすか?」
「来週の同じ曜日ですよね?」
手帳に視線を落とす。
真っ白なカレンダが悟られぬ様に眉を寄せる。
「出来れば。」
「90分コースなら…、10時からなら可能です。」
躊躇しながら、声を絞り出す。
「10時でOK、予約入れておいて。
先生、この後予定はあるっすか?
飯奢るっすよ。
喉カラカラでしょ?」
サングラスをしたユウヤが誘ってきた。
「特に予定はないが。」
確かに嘘を吐いた所為か、喉がカラカラだ。
「じゃあ、決まりっすね。」
ユウヤはスマホを出すと、電話を掛け出した。
 
高級なレストランに入ると、ユウヤは名前を告げた。
「鎌倉様、お待ちしておりました。
奥の個室を用意しております。」
黒服の店員が先を歩く。
以前なら場違いな場所に来たと萎縮しただろう。
だが今のワタルは堂々と歩ける。
貞操具の盛り上がりすら、勲章に思えた。
「先生はいいっすね。
そんな格好で堂々と歩けて。」
震える手がワタルのロングスパッツに伸びる。
ユウヤにはその度胸がないという意味だと思った。
「一人で恥ずかしいなら、一緒にやればいいだろう。」
大腿に力を入れ、メッシュ生地の隙間を広げて見せる。
 
「お飲み物を用意して参ります。
お寛ぎ下さい。」
椅子を引いた店員はロボットの様に顔色一つ変えない。
この男に取っては筋肉の塊も貴婦人も客に変わりないのだろう。
「あー、ここだと安心出来るっすよ。」
ユウヤがサングラスを外した。
伏せ目勝ちにワタルの大胸筋を見る。
熱い眼差しが心地好い。
「どれ位、レッスン受ければ、先生のみたいな乳首になれるっすか?」
ユウヤが煙草に火を点けた。
「そうだな…。」
ジムでのユウヤの身体を思い返す。
小指の先にも満たない貧相な乳首だった。
 
 
(つづく)
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