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Chapter7(女優編)
Chapter7-⑧【Crazy Little Thing Called Love】前編
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「おっ、お前、どうしたんだ?」
シンは目玉が落ちそうな程、瞳を見開いた。
「今迄、色々お世話になりました。」
ワタルは深々と頭を下げる。
「まあ、人間生きてると、何かとあるよな。」
シンは頭を下げた意味を直ぐに理解した様だ。
「この店は畳む事にした。」
「えっ?」
顔を上げると、寂しげな視線と搗ち合う。
「親爺が倒れて、実家に戻るんだ。
俺の青春もジエンドって訳だ。」
冗談めかして理由を言った。
「そうなんですか。
大変ですね。」
気の効いた言葉が浮かばない。
「お前に譲ろうと思ってたんだが、その様子じゃ無理そうだな。」
「えっ、呉れるんですか?」
思いがけない話に聞き返す。
「馬鹿、只じゃねぇよ。
格安で譲るんだよ。」
それでも魅力的な提案だ。
「だったら月払いでも良いですか?
纏まった金は持ってないんで。」
「そんな事は知ってる。
月にこれで良いぜ。」
シンのが指を二本立てる。
「二万円ですか!」
「あのな…、お前は正真正銘の馬鹿だな。
20、20万円だ。
この辺りの相場じゃ格安だぞ。」
苦笑いしたシンが二本の指を鼻に突っ込んできた。
「それでやる事にしかしたのか?」
特製プロテインを飲みながら、山下が聞く。
「ええ、やる事にしました。」
ストローを咥えたまま、上目遣いで答える。
「お前一人位、養ってやる。
無理すんな。」
「援助はジムを只で使わせてもらうだけで充分です。
一人でやってみたいんです。」
漲る力がワタルを後押しした。
ジムへ行くと、キャップを被った男が黙々とトレーニングしていた。
「誰?」
「テツヤの顧客だ。
ここでパーソナル指導をしてた。」
「でもテツヤは…。」
「ああ、もう来ないと言ったんだが、金を払うから使わせて欲しいと粘られてな。」
山下がニヤリと笑う。
「奴を見てやったらどうだ?
ここの新しいカリスマトレーナーだと紹介してやる。」
「出来るかな?」
「テツヤから習ったら事を実践するだけだ。
簡単だろ?」
山下が男の下へ行く。
男は視線を上げる事なく、話を聞いている。
「交渉成立だ。
頼むとさ。
上手く手懐ければ、いい金蔓だ。
気に入られる様に気合い入れてけ。」
「かっ、金、貰えるのか?」
思いがけない展開に戸惑いを覚える。
「当たり前だ。
カリスマトレーナーのパーソナルだ。
テツヤよりは安めにしておいた。
90分二万だ。」
「にっ、にまん!」
「声がデケェ!」
山下が口を塞ぐ。
「鎌倉恵って知ってるか?」
ワタルは頷く。
二時間ドラマで主演を張る大物女優だ。
「そのご子息様だ。
金は唸る程、持ってる。
二万なんて、奴にとってははした金だ。
その化け物みたいな筋肉でアピールして来い。」
「化け物は酷いな。
きっかけは山下さんが作ったのに。
せめてマッスルモンスターと呼んで下さい。
ワタルは笑いながら、男を覗き見る。
相変わらず視線を落としたまま、トレーニングを続けていた。
決して顔を上げる事はない。
(つづく)
シンは目玉が落ちそうな程、瞳を見開いた。
「今迄、色々お世話になりました。」
ワタルは深々と頭を下げる。
「まあ、人間生きてると、何かとあるよな。」
シンは頭を下げた意味を直ぐに理解した様だ。
「この店は畳む事にした。」
「えっ?」
顔を上げると、寂しげな視線と搗ち合う。
「親爺が倒れて、実家に戻るんだ。
俺の青春もジエンドって訳だ。」
冗談めかして理由を言った。
「そうなんですか。
大変ですね。」
気の効いた言葉が浮かばない。
「お前に譲ろうと思ってたんだが、その様子じゃ無理そうだな。」
「えっ、呉れるんですか?」
思いがけない話に聞き返す。
「馬鹿、只じゃねぇよ。
格安で譲るんだよ。」
それでも魅力的な提案だ。
「だったら月払いでも良いですか?
纏まった金は持ってないんで。」
「そんな事は知ってる。
月にこれで良いぜ。」
シンのが指を二本立てる。
「二万円ですか!」
「あのな…、お前は正真正銘の馬鹿だな。
20、20万円だ。
この辺りの相場じゃ格安だぞ。」
苦笑いしたシンが二本の指を鼻に突っ込んできた。
「それでやる事にしかしたのか?」
特製プロテインを飲みながら、山下が聞く。
「ええ、やる事にしました。」
ストローを咥えたまま、上目遣いで答える。
「お前一人位、養ってやる。
無理すんな。」
「援助はジムを只で使わせてもらうだけで充分です。
一人でやってみたいんです。」
漲る力がワタルを後押しした。
ジムへ行くと、キャップを被った男が黙々とトレーニングしていた。
「誰?」
「テツヤの顧客だ。
ここでパーソナル指導をしてた。」
「でもテツヤは…。」
「ああ、もう来ないと言ったんだが、金を払うから使わせて欲しいと粘られてな。」
山下がニヤリと笑う。
「奴を見てやったらどうだ?
ここの新しいカリスマトレーナーだと紹介してやる。」
「出来るかな?」
「テツヤから習ったら事を実践するだけだ。
簡単だろ?」
山下が男の下へ行く。
男は視線を上げる事なく、話を聞いている。
「交渉成立だ。
頼むとさ。
上手く手懐ければ、いい金蔓だ。
気に入られる様に気合い入れてけ。」
「かっ、金、貰えるのか?」
思いがけない展開に戸惑いを覚える。
「当たり前だ。
カリスマトレーナーのパーソナルだ。
テツヤよりは安めにしておいた。
90分二万だ。」
「にっ、にまん!」
「声がデケェ!」
山下が口を塞ぐ。
「鎌倉恵って知ってるか?」
ワタルは頷く。
二時間ドラマで主演を張る大物女優だ。
「そのご子息様だ。
金は唸る程、持ってる。
二万なんて、奴にとってははした金だ。
その化け物みたいな筋肉でアピールして来い。」
「化け物は酷いな。
きっかけは山下さんが作ったのに。
せめてマッスルモンスターと呼んで下さい。
ワタルは笑いながら、男を覗き見る。
相変わらず視線を落としたまま、トレーニングを続けていた。
決して顔を上げる事はない。
(つづく)
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