139 / 190
Chapter6(一髪篇)
Chapter6-⑩【風の螺旋】前編
しおりを挟む
「腹筋するから準備してくれ。」
山下の声で我に返る。
「はい。」
ワタルに跨がっていたテツヤが離れた。
チンニングマシンで待っていた山下は寝そべると、両足を突き上げる。
テツヤはその足首にマシンから下がっている革具を巻き付けた。
何が起こっているのか全く理解出来ない。
反対側に伸びるロープを引っ張ると、山下が持ち上がっていく。
完全に宙吊りになった所で、ロープをマシンに固定した。
宙吊りの山下は上半身を引き寄せ、腹筋を始めた。
こんな腹筋を見た事がない。
持ち上げた上半身を更に左右へ捻る。
山下の見事な腹筋から汗が飛び散った。
「ウォーミングアップは終わりだ。
いつもの奴をやってくれ。」
山下が下から声を掛けた。
「はい。」
テツヤは拳にテーピングしながら返事する。
「まさか…。」
ワタルは顔を振り、想像を打ち消す。
しかしその想像は直ぐに現実となった。
振りかざした拳が宙吊りの腹を狙う。
「うっ!」
ヒットした拳が腹筋にめり込む。
だがテツヤは休まない。
左右の拳が的確に腹に打ち込まれた。
腰の入ったパンチはおざなりの物ではない。
黄金色にシックスパッドに赤みが増していく。
歪んだ山下の顔から汗が滴り落ちる。
ワタルは自分の腹を押さえ、奇妙なトレーニングに見入った。
拳を振りかざす度に汗が飛び散る。
足元には二人の汗が溜まっていた。
「おおっ…。」
呻き声が変わった事に気付く。
歪んだ表情は笑っている様にも見える。
「次がラストだ。
思い切り打て!」
山下が吠えた。
テツヤのモーションが大きくなる。
放たれたパンチで山下が揺れた。
そして戻ってきた獲物に止めを刺す。
アッパー気味のパンチが腹筋に食い込み、振り子は止まった。
同時に山下の股間が爆発した。
ザーメンが放射状に飛び散る。
テツヤのマスクにも白濁の汁が付着した。
テツヤはそれを舌で掬い取る。
「今日も良い味が出てます。
これはエキストラバージンの数倍の効果があります。」
テツヤはビキニに唇を寄せ、愛しげに舌を這わす。
ワタルはただその光景を眺める。
深層にあるのはジェラシーではなく、羨望だった。
それは自分でも気付かなぬ程、小さな意識だ。
テツヤだけがその眼差しの意味を知っていた。
ワタルはふらふらとテツヤに近寄る。
無性にその唇を欲したのだ。
今回、山下の家に来て、様々なオイルに触れた。
その中でもこの白濁の汁が一番希少価値である事が分かる。
そして一番効果がある事も本能が察した。
この汁を体内に取り込めば無限のパワーが得られる。
同時にキラキラと輝く黄金色の筋肉も手中に入るのだ。
50キロのダンベルも軽々持ち上げられだろう。
後頭部を引き寄せ、強引に口を押し付ける。
そして激しく吸った。
口内にある全ての物を奪い取る様に。
珍しく荒々しいキスだ。
テツヤがワタルの頬を押さえ、唇を離す。
「キスは幾らでも出来ます。
タケオさんの血が上る前に下ろさないと。
このトレーニングには時間制限があるので、少し我慢して下さい。」
テツヤが小さく笑う。
(つづく)
山下の声で我に返る。
「はい。」
ワタルに跨がっていたテツヤが離れた。
チンニングマシンで待っていた山下は寝そべると、両足を突き上げる。
テツヤはその足首にマシンから下がっている革具を巻き付けた。
何が起こっているのか全く理解出来ない。
反対側に伸びるロープを引っ張ると、山下が持ち上がっていく。
完全に宙吊りになった所で、ロープをマシンに固定した。
宙吊りの山下は上半身を引き寄せ、腹筋を始めた。
こんな腹筋を見た事がない。
持ち上げた上半身を更に左右へ捻る。
山下の見事な腹筋から汗が飛び散った。
「ウォーミングアップは終わりだ。
いつもの奴をやってくれ。」
山下が下から声を掛けた。
「はい。」
テツヤは拳にテーピングしながら返事する。
「まさか…。」
ワタルは顔を振り、想像を打ち消す。
しかしその想像は直ぐに現実となった。
振りかざした拳が宙吊りの腹を狙う。
「うっ!」
ヒットした拳が腹筋にめり込む。
だがテツヤは休まない。
左右の拳が的確に腹に打ち込まれた。
腰の入ったパンチはおざなりの物ではない。
黄金色にシックスパッドに赤みが増していく。
歪んだ山下の顔から汗が滴り落ちる。
ワタルは自分の腹を押さえ、奇妙なトレーニングに見入った。
拳を振りかざす度に汗が飛び散る。
足元には二人の汗が溜まっていた。
「おおっ…。」
呻き声が変わった事に気付く。
歪んだ表情は笑っている様にも見える。
「次がラストだ。
思い切り打て!」
山下が吠えた。
テツヤのモーションが大きくなる。
放たれたパンチで山下が揺れた。
そして戻ってきた獲物に止めを刺す。
アッパー気味のパンチが腹筋に食い込み、振り子は止まった。
同時に山下の股間が爆発した。
ザーメンが放射状に飛び散る。
テツヤのマスクにも白濁の汁が付着した。
テツヤはそれを舌で掬い取る。
「今日も良い味が出てます。
これはエキストラバージンの数倍の効果があります。」
テツヤはビキニに唇を寄せ、愛しげに舌を這わす。
ワタルはただその光景を眺める。
深層にあるのはジェラシーではなく、羨望だった。
それは自分でも気付かなぬ程、小さな意識だ。
テツヤだけがその眼差しの意味を知っていた。
ワタルはふらふらとテツヤに近寄る。
無性にその唇を欲したのだ。
今回、山下の家に来て、様々なオイルに触れた。
その中でもこの白濁の汁が一番希少価値である事が分かる。
そして一番効果がある事も本能が察した。
この汁を体内に取り込めば無限のパワーが得られる。
同時にキラキラと輝く黄金色の筋肉も手中に入るのだ。
50キロのダンベルも軽々持ち上げられだろう。
後頭部を引き寄せ、強引に口を押し付ける。
そして激しく吸った。
口内にある全ての物を奪い取る様に。
珍しく荒々しいキスだ。
テツヤがワタルの頬を押さえ、唇を離す。
「キスは幾らでも出来ます。
タケオさんの血が上る前に下ろさないと。
このトレーニングには時間制限があるので、少し我慢して下さい。」
テツヤが小さく笑う。
(つづく)
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる