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Chapter6(一髪篇)
Chapter6-⑧【アーモンドクロワッサン計画】前編
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「こんな気持ちの良い風呂は初めてです。
ありがとうございました。」
ワタルは火照る身体をバスタオルで拭きながら礼を言う。
「君の家は近い様だな。
何時でも入りにきてくれ。
歓迎するぞ。」
キッチンに立つ山下が気さくに言った。
「ではお言葉に甘えて、次の休みの日にお邪魔します。」
二人の黄金色に輝く筋肉に近付きたい。
それを可能にするのがこのオイル風呂であれば、毎日でも入りたい位だ。
「筋肉にオイルを浸透させるのは1回、2回では駄目だ。
最低週3回は入れないと、内から輝かない。
1日置きに来る事を勧める。」
山下が意味ありげに笑う。
山下の家は公園近くの一軒家だった。
広い庭の中に建つ平屋の母屋は相当な広さだ。
「ご家族はまだ寝てるのですか?」
落ち着かないワタルは服を着ようとする。
「あー、そのままでいい。
折角のオイルが服に吸い取られてしまう。
暫くそのままでいろ。」
「彼は独り暮らしだから、安心して。
資産家のご両親を亡くして、ここで悠々自適の生活を送っているのです。」
テツヤが代わりに答えた。
「おい、資産家は余計だ。」
テーブルに食器を並べる山下が訂正する。
部屋中にオリーブオイルの香りが漂っていた。
「さあ、食べる前にこれを被って。」
テーブルにマスクが置かれた。
「保湿マスクです。
これを被る事によって、オイルを肌に閉じ込めます。」
怪訝な表情のワタルを察して、テツヤが説明する。
「大丈夫、口は開いてるから、食うには困らん。」
クロワッサンを頬張った山下が豪快に笑った。
マスクを被った三人の奇妙な朝食が始まる。
「タケオさんに勧められたトレーニング方法を試しています。」
「効くだろ。あれやった後は膝に力入らないからな。」
山下の名前はタケオらしい。
二人の筋トレの話を咀嚼しながら聞く。
慌てる必要がなくなり、余裕が出来た。
一週間分の給料の補填方法は先送りにする。
「鍛えるなら体内から。
これが俺のモットーだ。」
「分かります。
体内から吸収する事で、筋肉に張りと輝きが増しました。
お陰でワタルさんとも知り合えたし。」
テツヤがワタルを見て微笑んだ。
それに釣られて曖昧に笑う。
体内を鍛えるの意味が理解出来なかったのだ。
「ワタルさんにも先程、試してみました。
と言っても初めてだったので、流入のみでしたが。」
「あー、それじゃ駄目だ。
オイルが浸透しないからな。
腸に入ったオイルをしっかり押し込まないと、効き目がない。」
山下は呆れ顔で言うと、オリーブオイルで作ったプロテインドリンクを飲み干す。
ワタルはやっと二人の会話を理解した。
筋トレの話ではなく、オイル浣腸を話題にしている事に。
「なあ、張りのある黄金の筋肉を手に入れたくないか?」
ワタルを見た山下がニヤリと笑う。
ここで頷けば、この先の展開が決まってしまう。
「まだワタルさんには無理です。」
「いや、これだけの筋量だ。
意外と簡単にやっちまうじゃないか。」
テツヤの助け船は呆気なく却下された。
(つづく)
ありがとうございました。」
ワタルは火照る身体をバスタオルで拭きながら礼を言う。
「君の家は近い様だな。
何時でも入りにきてくれ。
歓迎するぞ。」
キッチンに立つ山下が気さくに言った。
「ではお言葉に甘えて、次の休みの日にお邪魔します。」
二人の黄金色に輝く筋肉に近付きたい。
それを可能にするのがこのオイル風呂であれば、毎日でも入りたい位だ。
「筋肉にオイルを浸透させるのは1回、2回では駄目だ。
最低週3回は入れないと、内から輝かない。
1日置きに来る事を勧める。」
山下が意味ありげに笑う。
山下の家は公園近くの一軒家だった。
広い庭の中に建つ平屋の母屋は相当な広さだ。
「ご家族はまだ寝てるのですか?」
落ち着かないワタルは服を着ようとする。
「あー、そのままでいい。
折角のオイルが服に吸い取られてしまう。
暫くそのままでいろ。」
「彼は独り暮らしだから、安心して。
資産家のご両親を亡くして、ここで悠々自適の生活を送っているのです。」
テツヤが代わりに答えた。
「おい、資産家は余計だ。」
テーブルに食器を並べる山下が訂正する。
部屋中にオリーブオイルの香りが漂っていた。
「さあ、食べる前にこれを被って。」
テーブルにマスクが置かれた。
「保湿マスクです。
これを被る事によって、オイルを肌に閉じ込めます。」
怪訝な表情のワタルを察して、テツヤが説明する。
「大丈夫、口は開いてるから、食うには困らん。」
クロワッサンを頬張った山下が豪快に笑った。
マスクを被った三人の奇妙な朝食が始まる。
「タケオさんに勧められたトレーニング方法を試しています。」
「効くだろ。あれやった後は膝に力入らないからな。」
山下の名前はタケオらしい。
二人の筋トレの話を咀嚼しながら聞く。
慌てる必要がなくなり、余裕が出来た。
一週間分の給料の補填方法は先送りにする。
「鍛えるなら体内から。
これが俺のモットーだ。」
「分かります。
体内から吸収する事で、筋肉に張りと輝きが増しました。
お陰でワタルさんとも知り合えたし。」
テツヤがワタルを見て微笑んだ。
それに釣られて曖昧に笑う。
体内を鍛えるの意味が理解出来なかったのだ。
「ワタルさんにも先程、試してみました。
と言っても初めてだったので、流入のみでしたが。」
「あー、それじゃ駄目だ。
オイルが浸透しないからな。
腸に入ったオイルをしっかり押し込まないと、効き目がない。」
山下は呆れ顔で言うと、オリーブオイルで作ったプロテインドリンクを飲み干す。
ワタルはやっと二人の会話を理解した。
筋トレの話ではなく、オイル浣腸を話題にしている事に。
「なあ、張りのある黄金の筋肉を手に入れたくないか?」
ワタルを見た山下がニヤリと笑う。
ここで頷けば、この先の展開が決まってしまう。
「まだワタルさんには無理です。」
「いや、これだけの筋量だ。
意外と簡単にやっちまうじゃないか。」
テツヤの助け船は呆気なく却下された。
(つづく)
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