妄想日記6<<EVOLUTION>>

YAMATO

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Chapter5(懽楽編)

Chapter5-④【絶対あの場所に】後編

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「そういえば昔、世話になった人に会いたいと、頻繁に言ってたけど。」
タクが手を叩いた。
「困った事や悩み事を何でも解決してくれたんだって。」
「丸でスーパーマンだな。」
シュウヘイは一人の男を思い出す。
俺もあの場所でバイトしてなかったら、道を踏み外してたかもな。
後にも先にもケツを掘られたのはあの人だけだ。
『レパードマン』懐かしい響きを思い出した。
「あのワタルがさ、昔ゴーゴーしてたんだって。
信じられる?
拉致された時、その人に助けてもらったと言ってた。」
「拉致?
おいおい、ワタルさんはいつもそんな危ない目にあっているのか?
まあ、それならその人のいう事は絶対だな。」
少しだけ光明が見えてきた気がした。
ピンクの笑顔はもう見れない。
代わりにタクには笑っていてほしい。
『俺がタクのスーパーマンになってやる。』
 
「よし早速行動開始だ。
その人を捜索するぞ。
何か手懸かりはないか?
名前とか住んでた所とか、何でもいい。」
「そう焦らせないでよ。
名前は聞いたんだけどな。
えーと、ハル…、アキ…、ナツ…。
ここ迄出掛かっているんだけどな。」
タクが喉を指す。
「まさか、ナツキ?」
タクの顔を覗き込む。
「あっ、ビンゴ!ナツキだ!」
その答にニヤリと笑う。
『スーパーマンは他にいないか。』
ナツキなら今回の件も簡単に解決してくれそうな気がした。
 
退院後は就活で忙しくなり、連絡を取っていなかった。
半年振りに電話を掛けると、契約切れのアナウンスが流れる。
そのまま放置し、就職が決まった時に店を訪れてみた。
店は跡形もなく、辺りは再開発の波に巻き込まれ、道すら変わっていた。
それから二年が経過している。
クラブやナイトでも見掛けていない。
あれだけ目立つ人だ、東京にいれば何処かで会っている筈だ。
そうすると東京以外、もしかすると海外の可能性もある。
「何としても見付けだしてやる。
待ってろよ、ナツキ。」
シュウヘイはスマホを取り出すと、アドレス帳をスクロールした。
 
呼び出し音が続く。
契約は切れてない。
「出ろ、出ろ、早く出ろ。」
呪文の様に呟く。
『カチャ。』
繋がる音がした。
「もしもし…、タカユキですが、どちら様ですか?」
シュウヘイは思わず吹き出す。
今時、スマホで名乗る奴がいるとは。
「変わりないようですね。
シュウヘイです。
ブラックっと言った方が分かり易いかな。」
「あー、ブラック!
久し振り、元気か?」
天真爛漫な声が返ってきた。
一回り以上年上だが、タカユキの無邪気さは相手を癒してくれる。
「それで今日連絡したのは久し振りにナツキさんを思い出して。
電話したんだけど、繋がらなくて。
連絡先を知ってますか?」
近況を話終わると、本題を切り出す。
「あー、俺も最近は連絡してないな。
ヨンハなら知ってると思うから、聞いてみるよ。
折り返しでいい?」
「申し訳ないけど、出来るだけ早くお願いします。」
通話を切ると、タクの鋭い視線と搗ち合った。
 
 
(つづく)
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