妄想日記6<<EVOLUTION>>

YAMATO

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Chapter4(下坂編)

Chapter4-⑫【SHAKE】前編

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「本当に面白い所なんだろうね?
温泉をドタキャンしてまで来る価値ある?
そうそう、キャンセル料は勿論ワタル持ちだからね。
僕はびた一文払わないから…。」
半信半疑のタクは質問を止めない。
「うるせぇな。
黙って歩け。」
ワタルは正面を見詰めたまま先を急ぐ。
「何かいつものワタルと違う。
何かあった?
それにその乳首…、ちょっとデカ過ぎない?というかグロいよ。」
並んで歩くタクが胸元を覗き込む。
『グロい』
それは最大の賛辞だ。
「だが…、まだまだだ。
もっとデカくならないと。
もっと力が欲しいんだ。」
「何ブツブツ言ってんの。
本当にイカれちゃったんじゃないの?」
タクは冗談めかして言うが、目は笑っていなかった。
 
「待たせたな。」
ワタルが声を掛けると、男が瞳を見開く。
「えっ、高木の相方って、先輩だったんすか?
ちょっと、いや、かなり意外っす。」
タイトなエナメルのタイツが街灯を反射している。
陰影が更にその存在感をアピールしていた。
背後から聞こえる荒い息遣いがタクの心情を物語っている。
「高木がそこのパーキングで待っているっすよ。」
リョウマが顎で『P』の標識を指す。
「なら行ってくる。
こいつを連れて、中へ入っててくれ。」
ワタルはタクの脇をすり抜ける。
「おらっ、しっかり掘られてこい。
この間、一人で会いに行ってきたんだろ?」
タクにその言葉は届かない。
憧れの男をじっと見詰めている。
「この間、プールに来た奴か。
先輩の頼みだ。
続きをやってやるか。」
リョウマは己のタイツの上からぺニスに掴み、舌舐めずりした。
蛇に睨まれた蛙は食われるのを待つだけだ。
 
「気分はどうだ?
最高だろ?
皆、お前を見てるぞ。」
高木は受付でフライヤを見せ、フィーを払う。
受付の男が何度もワタルを見た。
数多の猛者が通過する受付でさえ、ワタルは稀有な存在だ。
当然、周りにいた男達も息を潜め、ラバースーツを着込んだ異形者に好奇の視線を向
けている。
「胸張って、その凛々しい乳首を見せ付けてやれ。
今夜はお前が主役だ。
お前の為のナイトにするぞ。」
甘い囁きに頷き、背を反らす。
肥大した乳首がラバーを持ち上げた。
大胸筋の上に親指を遥かに凌ぐ異物が君臨する。
「すっ、すげぇ…。」
隣の男の溜め息がマスク越しにもはっきり聞こえた。
 
「えっ、ワタル…?」
驚愕するタクの表情に満足する。
狭いフロアは欲求不満な男達がひしめき合っていた。
「来て良かったろ?」
頷くタクの背後には一部の隙もなくリョウマがくっついている。
激しいビートの中、タクが呻く。
「ああっ、最高!
アナルが壊れても構わないよ!」
人込みの中で掘られる快感にタクも狂気を帯びていた。
「おらっ、ジャンプするぞ!」
リョウマが叫ぶ。
DJが煽ると、皆がジャンプした。
大音響と共にフロアが揺れる。
「ぐわぁ!」
タクの叫び声はいとも簡単に飲み込まれた。
 
 
(つづく)
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