妄想日記6<<EVOLUTION>>

YAMATO

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Chapter4(下坂編)

Chapter4-⑤【タイムマシン】後編

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「今日も来るか?」
帰り際に高木が寄ってきた。
「今日は仕事なので…。」
小声で答える。
「まあ、いい。
精々、そのケツワレを汚しておけ。」
高木は怒った風でもなく、淡々と言った。
昨日、長時間掘られて、脱肛している。
今日はとても無理だ。
座るのにも難儀した。
これが気乗りしない原因だった。
 
「よっこらしょ。」
プールサイドに腰を下ろす。
「何、その声。
年だね。」
タクが左右を見回しながら突っ込む。
「なあ、こんなTバックで注意されないか?」
ワタルはヒリヒリするアナルが地面に付かない様に斜めに座る。
「大丈夫だよ。
リサーチ済みだから。
ほら、見てみ。
あの親父なんて、六尺だし。」
タクが顎で差す。
確かに六尺姿の男が堂々と歩いてくる。
迫り出した大胸筋に負けずと、腹も出ていた。
監視員は見て見ぬ振りだ。
注視している様子はない。
気が大きくなったワタルはうつ伏せになる。
「背中塗ってくれ。」
オイルを渡す。
「うわぁ、グロい!
ねえ、どうして脱肛してるの?
まさか昨日…。」
「違う!タクがドタキャンしたから、ハリガタ使い過ぎただけだ。」
慌てて尻を閉じる。
「何が違うのさ。
その狼狽え振り、何か隠してない?」
勘の鋭いタクが疑惑の視線を向けてきた。
 
「まあ、いいや。
ねぇ、あの監視員、ワタルに似てない?」
タクも隣で寝そべり、顔を寄せてきた。
監視台に座る男は真っ黒に焼け、とても日本人には見えない。
黒光りした筋肉が挑発的だ。
確かにゴーゴーしてた頃なら間違えられたかもしれない。
「15年前ならな。」
張りのある筋肉を見詰めながら呟く。
突然、監視員が振り向く。
男の掛けたミラー型のサングラスに自分の顔が映る。
監視員が笛を口に運ぶ。
『ピッ、ピー!』
ホイッスルがプールサイドを駆け抜けた。
ワタルは自分が注意されたと思い、急いで起き上がる。
咄嗟に胡座を組んだので、脱肛部が地面と激突した。
「走らないで下さい!
滑るので、気を付けて下さい。」
監視員の声を顰めっ面で聞く羽目になる。
「はーい。」
背後から子供が答えると、監視員が微かに笑った。
サングラスの所為で視線は分からない。
だが自分に向けて、笑った気がした。
「ねー、ちょっとトイレ行ってくる。」
タクが突然立ち上がった。
トイレに目を向けると、六尺の親父が入っていく。
「タクも好きだな。
ああ、ごゆっくり。」
言い終わる前にタクは駆け出していた。
「おいっ、走るな!」
ワタルの声は届かない。
再びホイッスルがけたたましく鳴り響いた。
 
監視員が女性に交代していた。
起き上がり、プールサイドを見回す。
一際黒い男が詰所に入っていく。
近頃では珍しい競パンを穿いた男はサングラスをしている。
先程の監視員に間違いない。
ワタルはその詰所を食い入る様に見詰める。
『もしかすると15年前の俺がタイムマシンに乗って、会いに来たのかもしれない。』
そんな下らない妄想が頭を掠めた。
 
 
(つづく)
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