妄想日記6<<EVOLUTION>>

YAMATO

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Chapter3(楓編)

Chapter3-②【GOOD BYE MY SCHOOL DAYS】後編

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空調もないトイレで汗が滴り落ちる。
一体何時掃除したのかと思う程、黒ずんでいた。
「罰が当たらない様にピカピカにしろだって!
こんなに汚していたら、お前は即死だ!」
悪態を吐きながら、泡立ったブラシを一心不乱に擦る。
目的が出来た事が嬉しくて堪らなかった。
多少の黄ばみは残ったが、これは仕方ないと諦める。
「便所掃除に何分掛かってんだ!
看板と暖簾を表に出せ。」
トイレから出ると、怒声が飛んできた。
「はっ、はい!」
ワタルは返事をすると、勢い良く表へ駆け出す。
頬を伝う汗が心地好い。
 
「直ぐに客が来る。
それに着替えちまえ。」
両手の塞がったシンが顎でカウンターを指す。
手に取ってみると、白いシングレットとケツワレだった。
「接客にこれを着るんですか?」
生地の薄さに唖然とする。
「ああ、そうだ。
こんなちんけな店に来るのは近所の大学の運動ガマだけだ。
その方がリピーターが増える。
さっさと着替えろ!」
シンは鍋を見ながら、野菜を切っていた。
今迄よく一人で切り盛りしていたと感心する。
 
「へい、らっしゃい!」
シンの声でカウンターを拭いていたワタルは顔を上げる。
「おらっ、元気良く挨拶しろ!」
「いらっしゃい!」
慌てて大声を出した所為で、布巾で汗を拭ってしまう。
暖簾から顔を覗かせたのはマツヤだった。
「あれっ、前にここで見たっすよね?
新人っすか?」
ジャージを着たマツヤはシングレット姿を食い入る様に見る。
「ああ、今日から入ったワタルだ。
宜しく頼むわ。一人か?」
シンが目配せした。
事前に言われた通り、お絞りとお通しを用意する。
 
「二人っす、今日は友達がいるんで。
入れよ。」
マツヤの背後から青年が顔を覗かせた。
黒縁の眼鏡を掛けた神経質そうな風貌はユーリに似ている。
「お邪魔します。」
青年は興味深げに店内を見回す。
「二人共ビールでいいか?」
「ジョッキ大で!
今日はめちゃ暑かったんで、喉がカラカラっすよ。
あっ、こいつ同郷の幼馴染みのレン。
就活でこっち出て来たんで、連れてきたっす。」
紹介されたレンがちょこんと頭を下げた。
 
「4分の1は泡にしろ。
特に大ジョッキは3分の1は泡だ。」
シンのレクチャーを思い返し、ジョッキにビールを注ぐ。
だが上手く泡が立たず、ビールを並々注いでしまう。
それを見たシンの視線がジョッキとワタルに突き刺さった。 
「アンダーはケツワレなんすね。
エロいっす!」
ジョッキをカウンターに置くワタルの大殿筋をマツヤが撫でる。
「おっ、いい張りしてんすね。
おい、レンも触ってみろ。
田舎じゃ、こんな事出来ないだろ。」
マツヤが唆す。
「なら少しだけ…。
失礼します。」
恐々と伸びた掌が大殿筋に触れる。
そして電気に触れた様に瞬時に離れた。
「こいつ田舎育ちだから奥手なんすよ。」
マツヤがジョッキを持ち上げる。
それに合わせてレンもジョッキを持った。
 
 
(つづく)
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