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Chapter26(東京バトル編)
Chapter26-⑫【残像】
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「ぐわぁ!」
冷水を頭から浴びせられ、意識が戻る。
頭がズキンズキンと痛む。
狭いバスタブの中で、両手は固定されていた。
開口マスクで口が固定され、話す事も出来ない。
便器に腰掛けた三浦が見下ろしていた。
「人間とは不思議な物です。
殺したい程憎い相手に、欲情するのですから。
恐怖に引き攣る表情に、オーガズムを覚えます。」
三浦が浴衣を脱ぐ。
熱り立つ巨根が汚れきったビキニを持ち上げていた。
ドアに寄り掛かったマサフミが動画を撮影している。
薄笑いを浮かべる黒い顔をぼんやりと眺めた。
もう逆らう気力は残ってない。
『ユーキ、ゴメンな。
敵討ち出来なかった。
もうダメみたい…。』
最期にユーキの顔を思い出し、つい笑ってしまう。
「この期に及んで笑っているとは、大した人だ。
まあ、その方が責め甲斐がありますが。
今日が最期です。
せめて極楽の中で、イカせてあげますよ。」
三浦の目に狂気が光る。
脱いだビキニで薬を包み、開きっ放しの口を塞がれた。
饐えた臭いに、悶絶する。
「そう、その表情です!
益々勃起力が増しますよ。」
髪の毛を引っ張られ、ガチガチに硬くなったペニスがビキニを奥に押し込む。
「ごおっ!」喉チンコに当たり、嘔吐しそうになる。
「今、吐くと、窒息しますよ。
精々気を付けて下さい。」
三浦は気持ち良さそうに放尿した。
染み込んだビキニが食道を塞ぐ。
溢れ出た小便が全身を濡らす。
必死に鼻腔で息をする。
それを見た三浦が鼻を摘む。
呼吸が出来なくなり、足をばたつかせる。
見る見る内に、鏡の中の顔が真っ赤に染まっていく。
「気分はどうですか?
私は最高ですよ。
ヤマトさんが苦しめば、苦しむ程、私はオーガズムを感じます。」
摘まんだ指に力が入る。
ばたつかせた足から力が抜け、意識が遠退く。
その時、黒い腕が伸び、三浦の手を払った。
「いい加減にしろ!
マジ、死んじまうぞ!」
マサフミが怒鳴る。
空気が一気に流れてきた。
「マサ君、何をふざけているんですか?
私の邪魔はしないで下さい。」
三浦が肩からタックルすると、マサフミはすっ飛んだ。
寄り掛かっていたドアの蝶番が外れ、不安定に揺れた。
廊下で聞き耳を立てていたエイタは足が震えて身動き出来ない。
言い争いの中で、『死ぬ』という単語が出てきた。
決して聞き間違いではない。
そして大きな衝突音がした後、静かになった。
『ヤバい、ヤバ過ぎる。』
腰が抜けたのか、立っていられない。
這ったままエレベーターへ向う。
一刻も早くここを離れろと、本能が告げた。
エイタがエレベーターの中に消えると、タケルは部屋の前に行く。
『904』の文字盤を睨むが、中から物音はしない。
一刻を争う。
回りを見渡すが、スタッフの姿はない。
非常ベルが目に入った。
躊躇なく押す。
けたたましい音が鳴り響く。
「火事だ!早く逃げろ!」
大声でドアを叩き続けた。
鳴り止まないドアを忌々し気に睨む。
「あなたはなんてツキがある人なんでしょうね。
こんな時に、火事とは!
まあ、焼け死なないことを祈ります。」
マスクと両手の帯を解くと、そそくさと身支度をする。
部屋を出ると、一気に階段を駆け降りた。
パニック状態のフロントを抜け、雑踏に紛れる。
ホテルの前は野次馬で溢れていた。
ヤマトを背負い、階段を降りる。
「大丈夫ですか?
煙の所為ですか?」
支配人が慌てて寄って来た。
「いや、入浴中に非常ベルが鳴ったので、足を滑らせてしまって。
救急車を呼んでもらえますか?」
支配人がフロントに駆けて行く。
その隙にホテルを出て、タクシーを拾った。
三浦を追いたいのはやまやまだが、今はヤマトの方が優先だ。
運転手に自宅を告げる。
「お客さん、病院の方がいいんじゃないですか?」
バックミラーに運転手の不審げな顔が映っていた。
タケルは暫し考え、ユーキが入院している病院に行き先を変える。
それきり運転手は黙った。
車窓に目を向ける。
一瞬でもエイタでいいと思った。
それは紛れも無い事実だ。
『今はヤマトさんの容態を心配しろ!』
自分自身を叱咤し、心の片隅で芽生えた矛盾から目を背けた。
雑踏の中から、タクシーに乗り込むタケルを見詰めた。
「やはりネックはタケルですか。」
三浦は呟くと、スマホの電話のアイコンを押す。
「私だ。暫くヤマトとタケルの側にいて、二人の様子を逐次連絡しなさい。」
それだけ命じると、電話を切った。
ヤマトの苦痛に歪む顔の残像が、脳裏から離れない。
下半身が熱くなる。
「ヤマトさんには幸福の絶頂時に、逝ってもらいましょう。」
こんなに精神が高揚したのは久し振りだ。
口笛で楽しげなメロディーを奏でる。
サビに差し掛かった時、その音色はサイレンで掻き消された。
(完)
冷水を頭から浴びせられ、意識が戻る。
頭がズキンズキンと痛む。
狭いバスタブの中で、両手は固定されていた。
開口マスクで口が固定され、話す事も出来ない。
便器に腰掛けた三浦が見下ろしていた。
「人間とは不思議な物です。
殺したい程憎い相手に、欲情するのですから。
恐怖に引き攣る表情に、オーガズムを覚えます。」
三浦が浴衣を脱ぐ。
熱り立つ巨根が汚れきったビキニを持ち上げていた。
ドアに寄り掛かったマサフミが動画を撮影している。
薄笑いを浮かべる黒い顔をぼんやりと眺めた。
もう逆らう気力は残ってない。
『ユーキ、ゴメンな。
敵討ち出来なかった。
もうダメみたい…。』
最期にユーキの顔を思い出し、つい笑ってしまう。
「この期に及んで笑っているとは、大した人だ。
まあ、その方が責め甲斐がありますが。
今日が最期です。
せめて極楽の中で、イカせてあげますよ。」
三浦の目に狂気が光る。
脱いだビキニで薬を包み、開きっ放しの口を塞がれた。
饐えた臭いに、悶絶する。
「そう、その表情です!
益々勃起力が増しますよ。」
髪の毛を引っ張られ、ガチガチに硬くなったペニスがビキニを奥に押し込む。
「ごおっ!」喉チンコに当たり、嘔吐しそうになる。
「今、吐くと、窒息しますよ。
精々気を付けて下さい。」
三浦は気持ち良さそうに放尿した。
染み込んだビキニが食道を塞ぐ。
溢れ出た小便が全身を濡らす。
必死に鼻腔で息をする。
それを見た三浦が鼻を摘む。
呼吸が出来なくなり、足をばたつかせる。
見る見る内に、鏡の中の顔が真っ赤に染まっていく。
「気分はどうですか?
私は最高ですよ。
ヤマトさんが苦しめば、苦しむ程、私はオーガズムを感じます。」
摘まんだ指に力が入る。
ばたつかせた足から力が抜け、意識が遠退く。
その時、黒い腕が伸び、三浦の手を払った。
「いい加減にしろ!
マジ、死んじまうぞ!」
マサフミが怒鳴る。
空気が一気に流れてきた。
「マサ君、何をふざけているんですか?
私の邪魔はしないで下さい。」
三浦が肩からタックルすると、マサフミはすっ飛んだ。
寄り掛かっていたドアの蝶番が外れ、不安定に揺れた。
廊下で聞き耳を立てていたエイタは足が震えて身動き出来ない。
言い争いの中で、『死ぬ』という単語が出てきた。
決して聞き間違いではない。
そして大きな衝突音がした後、静かになった。
『ヤバい、ヤバ過ぎる。』
腰が抜けたのか、立っていられない。
這ったままエレベーターへ向う。
一刻も早くここを離れろと、本能が告げた。
エイタがエレベーターの中に消えると、タケルは部屋の前に行く。
『904』の文字盤を睨むが、中から物音はしない。
一刻を争う。
回りを見渡すが、スタッフの姿はない。
非常ベルが目に入った。
躊躇なく押す。
けたたましい音が鳴り響く。
「火事だ!早く逃げろ!」
大声でドアを叩き続けた。
鳴り止まないドアを忌々し気に睨む。
「あなたはなんてツキがある人なんでしょうね。
こんな時に、火事とは!
まあ、焼け死なないことを祈ります。」
マスクと両手の帯を解くと、そそくさと身支度をする。
部屋を出ると、一気に階段を駆け降りた。
パニック状態のフロントを抜け、雑踏に紛れる。
ホテルの前は野次馬で溢れていた。
ヤマトを背負い、階段を降りる。
「大丈夫ですか?
煙の所為ですか?」
支配人が慌てて寄って来た。
「いや、入浴中に非常ベルが鳴ったので、足を滑らせてしまって。
救急車を呼んでもらえますか?」
支配人がフロントに駆けて行く。
その隙にホテルを出て、タクシーを拾った。
三浦を追いたいのはやまやまだが、今はヤマトの方が優先だ。
運転手に自宅を告げる。
「お客さん、病院の方がいいんじゃないですか?」
バックミラーに運転手の不審げな顔が映っていた。
タケルは暫し考え、ユーキが入院している病院に行き先を変える。
それきり運転手は黙った。
車窓に目を向ける。
一瞬でもエイタでいいと思った。
それは紛れも無い事実だ。
『今はヤマトさんの容態を心配しろ!』
自分自身を叱咤し、心の片隅で芽生えた矛盾から目を背けた。
雑踏の中から、タクシーに乗り込むタケルを見詰めた。
「やはりネックはタケルですか。」
三浦は呟くと、スマホの電話のアイコンを押す。
「私だ。暫くヤマトとタケルの側にいて、二人の様子を逐次連絡しなさい。」
それだけ命じると、電話を切った。
ヤマトの苦痛に歪む顔の残像が、脳裏から離れない。
下半身が熱くなる。
「ヤマトさんには幸福の絶頂時に、逝ってもらいましょう。」
こんなに精神が高揚したのは久し振りだ。
口笛で楽しげなメロディーを奏でる。
サビに差し掛かった時、その音色はサイレンで掻き消された。
(完)
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