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Chapter26(東京バトル編)
Chapter26-②【ナクシタモノ】
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「ベッドの用意が出来たけど。」
リビングに戻ると、エイタは眠っていた。
時計を見ると、まだ時間はある。
今の内にシャワーを浴びる事にする。
シャワーから出ると、まだ寝息が聞こえた。
テーブルに置いてある手付かずのブラックを一気に飲み干す。
風呂上がりはビールの方が好ましいが、出掛ける手前そうはいかない。
グラスを片そうかと、ソファーから立ち上がる。
足元がふらつく。
睡魔が一気に押し寄せてきた。
『30分だけだ。
少し目を瞑るだけ…。』
言い訳は闇へ消えていく。
立ち上がる事なく、そのままソファーで眠りに落ちた。
「寝ちゃった?」
エイタはそっと目を開け、声を掛けてみる。
「凄い効き目だな!」
ポケットから出した包みとコーヒーを見比べた。
起き上がり、タケルの着ていた服をチェックする。
レザーのベストのポケットにスマホが入っていた。
それを取り出すと、電源を切る。
「意外と簡単に、事は済むもんだな。」
伸びをしながら呟く。
多少の罪悪感はあった。
『しょうがないさ。
保身の為だ。』
そう自分に言い聞かす。
うとうとしていると、呼び鈴が鳴った。
それを無視する。
暫くすると、また呼び鈴が鳴った。
リビングのモニターに男が映っている。
こいつがヤマトかと、直ぐに分かった。
「はぁーい。」
通話のボタンを押して、眠たげな声を出す。
「あのヤマトと言いますが、タケル君いますか?」
モニターに映る男の声が聞こえた。
服を脱ぎ、玄関へ向かう。
内鍵を開け、顔を出す。
「あの、タケル君はいますか?」
おどおどした口調がS心を擽った。
「タケルは寝ているよ。
ちょっと張り切り過ぎて、ダウンしてる。
裸だけど、起こしてこようか?」
エイタは目一杯おどけて答える。
「いや、寝てるならいいです。
失礼しました。」
ヤマトは背中を見せると、エレベーターに向かって行く。
『あはは、楽勝だな!』
笑いを堪え、震える背中を見送った。
リビングに戻り、タケルが眠っている事を確認する。
部屋の中、押し入れや納戸を見て廻るが、依頼された物は見付からない。
スマホを取り出し、リダイアルする。
直ぐに繋がった。
「もしもし、エイタ。
全て予定通り、上手く行ったよ。」
自慢げに報告する。
「そうか、良くやった。
そのままタケルを引き止めなさい。」
相手は素っ気なく、次の指示を出す。
「でも起きたら、きっと出て行くよ。」
至極当たり前の事を言う。
「そこを何とかしろ!
とにかく今日一日、ヤマトさんに会わすな!
それで病院は分かりましたか?」
高飛車な怒鳴り声にスマホを離す。
飛沫が飛んできそうな気がしたのだ。
「ああ、財布を漁ったら、領収書が出てきた。」
病院名を告げる。
「分かりました。
それでDVDはありましたか?」
イライラした声音はもう聞き飽きた。
「それが幾ら探してもないんだ。」
ふて腐れ気味に答える。
「薬の効き目は充分にあります。
もっと気合いを入れて、探しなさい!
くれぐれもしくじらない様に。
その時はあなたの人生もパアですよ。」
相手はそれだけ言うと、電話を切った。
三浦は電話を切ると、部屋の中を歩き回る。
激しい雨が窓を叩く。
『あいつらの所為で、私の人生は目茶苦茶だ。』
クラブでの一件は被害者が特定出来なかったので、事件扱いにならなかった。
しかし実名がネットに載り、世間的な制裁を受けたのだ。
仕事は減り、マンションにも住めなくなった。
残ったのはローンだけだ。
SLCのメンバーも手の平を返した様に、遠ざかって行った。
「クソッ!」ソファーを蹴飛ばす。
もう終わりだ。
何年も掛けて築き上げた物が全て崩れ去った。
その張本人だけは許せない。
どんな手を使ってでも、ヤマトに思い知らせてやる。
ユーキみたいに一気に手を下さない。
徐々に恐怖を味あわせてやる。
ヤマトの恐怖に引き攣る顔を想像すると、やっと落ち着いてきた。
手帳を開き、言う事を聞きそうな奴をピックアップする。
孤立無援のヤマトに仕掛ける次の手を考えると、ゾクゾクした。
久し振りにペニスが熱り立つ。
スマホを手にし、電話を掛ける。
「久し振りですね。三浦です。
あなたの淫乱な肉体が懐かしくなりました。
今、新宿のホテルにいます。
至急、来て下さい。
断る権利がない事はあなた自身が一番よく分かっている筈です。」
勃起したペニスをゆっくり扱きながら話す。
相手は無言だ。
返事を待たずに場所を説明し、終話ボタンを押した。
(つづく)
リビングに戻ると、エイタは眠っていた。
時計を見ると、まだ時間はある。
今の内にシャワーを浴びる事にする。
シャワーから出ると、まだ寝息が聞こえた。
テーブルに置いてある手付かずのブラックを一気に飲み干す。
風呂上がりはビールの方が好ましいが、出掛ける手前そうはいかない。
グラスを片そうかと、ソファーから立ち上がる。
足元がふらつく。
睡魔が一気に押し寄せてきた。
『30分だけだ。
少し目を瞑るだけ…。』
言い訳は闇へ消えていく。
立ち上がる事なく、そのままソファーで眠りに落ちた。
「寝ちゃった?」
エイタはそっと目を開け、声を掛けてみる。
「凄い効き目だな!」
ポケットから出した包みとコーヒーを見比べた。
起き上がり、タケルの着ていた服をチェックする。
レザーのベストのポケットにスマホが入っていた。
それを取り出すと、電源を切る。
「意外と簡単に、事は済むもんだな。」
伸びをしながら呟く。
多少の罪悪感はあった。
『しょうがないさ。
保身の為だ。』
そう自分に言い聞かす。
うとうとしていると、呼び鈴が鳴った。
それを無視する。
暫くすると、また呼び鈴が鳴った。
リビングのモニターに男が映っている。
こいつがヤマトかと、直ぐに分かった。
「はぁーい。」
通話のボタンを押して、眠たげな声を出す。
「あのヤマトと言いますが、タケル君いますか?」
モニターに映る男の声が聞こえた。
服を脱ぎ、玄関へ向かう。
内鍵を開け、顔を出す。
「あの、タケル君はいますか?」
おどおどした口調がS心を擽った。
「タケルは寝ているよ。
ちょっと張り切り過ぎて、ダウンしてる。
裸だけど、起こしてこようか?」
エイタは目一杯おどけて答える。
「いや、寝てるならいいです。
失礼しました。」
ヤマトは背中を見せると、エレベーターに向かって行く。
『あはは、楽勝だな!』
笑いを堪え、震える背中を見送った。
リビングに戻り、タケルが眠っている事を確認する。
部屋の中、押し入れや納戸を見て廻るが、依頼された物は見付からない。
スマホを取り出し、リダイアルする。
直ぐに繋がった。
「もしもし、エイタ。
全て予定通り、上手く行ったよ。」
自慢げに報告する。
「そうか、良くやった。
そのままタケルを引き止めなさい。」
相手は素っ気なく、次の指示を出す。
「でも起きたら、きっと出て行くよ。」
至極当たり前の事を言う。
「そこを何とかしろ!
とにかく今日一日、ヤマトさんに会わすな!
それで病院は分かりましたか?」
高飛車な怒鳴り声にスマホを離す。
飛沫が飛んできそうな気がしたのだ。
「ああ、財布を漁ったら、領収書が出てきた。」
病院名を告げる。
「分かりました。
それでDVDはありましたか?」
イライラした声音はもう聞き飽きた。
「それが幾ら探してもないんだ。」
ふて腐れ気味に答える。
「薬の効き目は充分にあります。
もっと気合いを入れて、探しなさい!
くれぐれもしくじらない様に。
その時はあなたの人生もパアですよ。」
相手はそれだけ言うと、電話を切った。
三浦は電話を切ると、部屋の中を歩き回る。
激しい雨が窓を叩く。
『あいつらの所為で、私の人生は目茶苦茶だ。』
クラブでの一件は被害者が特定出来なかったので、事件扱いにならなかった。
しかし実名がネットに載り、世間的な制裁を受けたのだ。
仕事は減り、マンションにも住めなくなった。
残ったのはローンだけだ。
SLCのメンバーも手の平を返した様に、遠ざかって行った。
「クソッ!」ソファーを蹴飛ばす。
もう終わりだ。
何年も掛けて築き上げた物が全て崩れ去った。
その張本人だけは許せない。
どんな手を使ってでも、ヤマトに思い知らせてやる。
ユーキみたいに一気に手を下さない。
徐々に恐怖を味あわせてやる。
ヤマトの恐怖に引き攣る顔を想像すると、やっと落ち着いてきた。
手帳を開き、言う事を聞きそうな奴をピックアップする。
孤立無援のヤマトに仕掛ける次の手を考えると、ゾクゾクした。
久し振りにペニスが熱り立つ。
スマホを手にし、電話を掛ける。
「久し振りですね。三浦です。
あなたの淫乱な肉体が懐かしくなりました。
今、新宿のホテルにいます。
至急、来て下さい。
断る権利がない事はあなた自身が一番よく分かっている筈です。」
勃起したペニスをゆっくり扱きながら話す。
相手は無言だ。
返事を待たずに場所を説明し、終話ボタンを押した。
(つづく)
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