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YAMATO

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Chapter21(略奪編)

Chapter21-⑨【嵐の金曜日】

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「マヌケなユーキの言う事を真に受けないようにしなさい!」
三浦があきれ顔で叱咤する。
セイジは腸が煮え繰り返る思いで唇を噛み、拳を握り締めた。
「まあ、ヤマトさんを手懐けたのはお手柄です。
良くやってくれました。」
掌を返した様に絶賛する。
「これは交通費です。
取っておいて下さい。」
一万円札がテーブルに置かれた。
拳を開くと、忌々しさも薄れていく。
三浦は飴と鞭を上手く使い分けて、セイジをコントロールした。
ふて腐れながら札を掴むと、ポケットに捩じ込む。
「このままヤマトさんを腑抜け状態にしておきましょう。
実行は次の土曜日。
タケルの帰国日がターゲットです。
準備をさせることなく、畳み掛けます。」
三浦は不適な笑みを溢した。
 
セイジが帰った後、何もする気がしなかった。
肉感的な身体が恋しい。
ジムにも行かず、日課も止めて、家でボッとする。
月曜日は仕事が終わると、真っ直ぐ帰る。
セイジからの連絡はない。
火曜日も同じだった。
ただスマホを握り締めて、鳴るのを待つ。
水曜日に思い切って、電話してみる。
「もしもし、ヤマト…。」
声を搾り出す。
「おうっ!どうした?」
セイジは俺の存在など忘れていた様だ。
「会えないかな?」
やっとの思いで言う。
「おうっ!いいぜ。
平日だとゆっくりやれないから、金曜日の夜に会おうぜ。」
曜日が指定され、通話は切れた。
金曜日は二日先だ。
遥か先に思えた。
暗闇の中でスマホが鳴る。
夕暮れは疾うに終わっていた。
慌てて取り出すと、タケルからのメールだ。
『最近連絡ないが、変わった事はないか?
土曜日の夕方には着くから、無茶するな。』
旅先でも心配してくれてる事が嬉しい反面、鬱陶しくもあった。
『三浦からは何も言ってこないよ。
心配しないで。』
簡単な返信で済ます。
今、三浦の事はどうでもいい。
早く二日が過ぎ去る事だけを考えた。
 
「そうですか、やっとヤマトさんから掛けてきましたか。」
三浦は満足げに頷く。
「掛けてこなかったらどうしようかと、思ったぜ。」
スピーカーから安堵の溜息が聞こえてきた。
胸を撫で下ろすセイジが隣にいる様だ。
「金曜日は頑張って下さい。
ヤマトさんを依存症にするのです。
日曜日の話だと、後一歩です。
あなたには期待してます。」
穏やかに電話を切る。
そしてメールを打ち出す。
『三浦です。困った事になってます。
トラブルに巻き込まれ、ゆすられています。
皆さんの力を貸して貰えないでしょか?
謝礼は弾みます。
正義の力で悪党を懲らしめましょう!
協力頂ける方は土曜日のナイトにご参集願います。』
SLCの中で血の気が多く、金で動きそうな5人に一斉送信する。
次々に快い返信が返ってきた。
満足げにブランデーを呷る。
これで数的にも有利になったのだ。
 
毎日、自慰行為をするが、欲望が萎える事はない。
『ダメだ。セイジじゃないと、ダメなんだ!』
腹立たしさに、尻に刺してたディルドを壁に投げる。
金曜日は一日、仕事が手に付かなかった。
燃え滾る下半身を自分自身で制御出来ずにいる。
戸惑う気持ちと裏腹に、アナルはセイジを求め続けた。
五時きっかりに退社する。
待ち合わせした駅に向かう。
近くにカフェもあったが、表で待つ。
一刻でも早くセイジが欲しい。
「待ったか?」
スーツ姿のセイジが改札から現れた。
首を横に振る。
「何か食って行こうぜ。」
セイジが肩を叩く。
「いや、早くしたい!」
躊躇せず、はっきりと言う。
この一週間で心境に変化があった。
優先順位が大きく変動したのだ
「何かヤマトさん、変わったな。
エロいオーラが出まくりだぜ。
なら早速帰って、可愛がってやるか。」
セイジはそう言うと、シャツの上から乳首を引っ張る。
『俺はこの時を待っていたんだ。』
人目も憚らず、喘ぎ声を漏らした。
 
 
(つづく)
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