妄想日記1<<ORIGIN>>

YAMATO

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Chapter16(バンコク編)

Chapter16-③【サマーナイトタウン】

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最後の目的地はバンコクだ。
「随分、人が多いね。」
プーケットに比べると、人も車も格段に多い。
「ここはサラディーンの繁華街だから、新宿みたいなところだ。
欲望と快楽の街だぜ。」
タケルが意味深に笑う。
ホテルのチェックインを済ませ、街に繰り出していた。
「おっ、ここだ。ちょっと一服しようぜ。」
タケルが駅下のオープンカフェのテーブルに付く。
店員がオーダーを聞きに来た。
メニューを眺めていると、突然目隠しされた。
「誰だ?」どこかで聞いた声だ。
『まさか?』振り向くと、ユーキが立っていた。
「えっ?えっ?何で?」
嬉しい反面、面食らう。
「ヤマトさん、めちゃ焼けたじゃん!いいな!」
ユーキが賛嘆する。
「それよりユーキがどうして、ここに?」
答えを得られず、もう一度聞く。
「タケルが招待してくれたんだ。
驚いた?」吹き出したユーキの唾を顔面に浴びる。
どうやら夢ではなさそうだ。
「ユーキにはミサキの件で世話になったからな。
加えてバンコクでは何人かとアポを取っていて、ヤマトさんにゆっくり付き合っていられないんだ。
それで土地勘のあるユーキに来てもらったんだ。」
タケルが事情を説明する。
それにしてもその行動力は突飛過ぎた。
「俺も焼きたい!」
ユーキが駄々っ子の様に言う。
「明日、プールで焼けばいいじゃないか。
まあ、これでも飲んで落ち着け。」
タケルがアイスコーヒーを勧める。
「さっきまでホテルのプールで焼いてたけど、ジリジリ感がないんだ。
海で焼きたい!」駄々っ子は手足を揺らし、諦めない。
「仕方ないな。
ホテルで近場の海の行き方を聞いてやるから、明日は二人で行ってこい。」
タケルは諦めて、要求を呑んだ。
「やった!」得意満面のユーキはグラスを一気に傾けた。
 
「今日はこれからどうする?」
二人の顔を交互に見る。
「やはりバンコクと言えば、マッチョのショーさ!
後はクラブで決まりだね。」ユーキが即答した。
「まあな。オカマの王道コースだ。
ヤマトさんは初めてのバンコクだから、久し振りに行ってみるか。」
タケルも同意する。
「マッチョのショーって、何するの?」
二人の含み笑いを見て、想像に難くない。
「まあ、実際見てからのお楽しみだよ。
とにかくド肝を潰すから!」
ユーキが大袈裟に言う。  
しかしその表現は決して大袈裟ではなかった。
店に入った時、その熱気に息を呑む。
舞台の上ではマッチョがポージングしていた。
入れ替わり舞台に上がり、押し出される形で舞台を降りていく。
出演者のお見立てをしている様だ。
既に前方の席を陣取った客は札を振り上げ、ヒートアップしていた。
舞台を降りたマッチョは客席を回り、サービスする。
自分たちの席にもマッチョが座った。
ユーキは片言の英語を話ながら、筋肉をベタベタと触る。
マッチョもユーキの露出した筋肉を揉んでいた。
ショーが始まる前から、ユーキの飲むピッチは上がっていく。
ジョッキを持つ手がひっきりなしに動くのに対し、左手は全く動かない。
不自然さに左手の行方を追う。
マッチョのビキニの中で見えなくなった。
 
「ヤマトさんも触ってみれば?」
ユーキが手招きした。
「俺はいいよ。」
恥ずかしさが先に立ち、即座に断る。
「凄い筋肉だぜ。勿体ないな。」
ユーキはマッチョと見つめ合いながら、互いの筋肉を触り合う。
確かに勿体ない気もする。
触っているマッチョの筋肉はコンテストビルダー並の迫力があった。
舞台の上でポージングしている中にはマッチョと呼ぶには違和感のある人もいる。
この中では断トツの筋肉の持ち主だ。
ショーが始まる。
接客していたマッチョは皆、舞台裏に掃けていく。
舞台が暗転し、三人のマッチョが現れた。
スポットライトのセンターがユーキのお気に入りだ。
TバックやGストを穿き、ポージングをする。
股間は露骨にペニスの形で盛り上がっていた。
ユーキは口笛を吹き、身を乗り出す。
タケルは足を組み、サングラス下の表情は分からない。
ビルダーの裸体に目を奪われた。
やはり触っておけば良かったと後悔する。
次に舞台に上がったのは、少し脂肪の乗ったマッチョ体型だ。
その後は段々と質は落ちいく。
一通り全員が舞台に上がると、ストーリー性のあるショーに変わった。
 
 
(つづく)
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