妄想日記1<<ORIGIN>>

YAMATO

文字の大きさ
上 下
173 / 354
Chapter15(ピピ島編)

Chapter15-①【太陽とビキニ】

しおりを挟む
『プーケットは抜ける様な青空。』の筈だった。
しかし実際に降り立った空港は土砂降りの雨模様。
「マジ、ゴメンな。
こんな筈じゃないんだけどなぁ。」
神妙な面持ちのタケルが空を見上げる。
細身のレザーパンツに薄手のライダース風ジャケットを合わていた。
「別にタケルが悪い訳じゃないよ。」
見るからに落胆して見えたのだろう。
雨季を過ぎたタイで雨に降られると想像していなかった。
「きっとスコールだ。
直ぐに晴れるさ。」
慰めを聞きながら、雨空を睨む。
タケルがライダースを脱ぎ、タイトなタンクトップ姿になった。
発達した大胸筋と腹筋に脂肪は殆どない。
フィットしたタンクトップにニップルピアスが浮かび上がる。
均整の取れた姿態に思わず見惚れてしまう。
タケルは常に冷静だ。
物事に動じた姿を見た事がない。
羽田の出国時の金属チェックでセンサーが鳴った。
「Shit!」タケルは舌打ちする。
空港職員が英語で呼び止め、奥へ消えた。
「大丈夫だった?」
戻って来たタケルに聞く。
「ああ、マラのピアスを見せたら納得した。
まあ、いつもの事さ。」
豪快に笑い飛ばす。
どこまで本当か分からないが、一緒にいて安心出来た。
もう一つタケルといて、楽な事がある。
付き合う事に対して、拘りや拘束がない。
ミサキとの事があるだけに、直ぐに付き合う気になれない。
それを気遣って、自由にさせてくれた。
 
部屋からの眺望は素晴らしかった。
雨が止み、薄日が射す。
アンダマン海に幾筋の陽射しが降り注ぐ。
雨上がりの庭で、蛙が大合唱を始めた。
「ヤマトさんの願いが通じたのかな。
晴れてきたぜ。」
タケルに抱き寄せられてキスをする。
セックス時のキスと違い、ライトなキスだ。
早速水着に着替える。
「やっぱ、Tバックはマズいよね?」
恐る恐る聞いてみる。
「そうだな。
仏教国だからケツは出さない方が無難だ。
とりあえず今日は様子見にするか。」
即座にアドバイスが返ってきた。
慌ててスーツケースを掻き回す。
「まさかフルバックの水着は持ってないとか?
それだけ大量の水着があるのに。」
飽きれ顔のタケルが溢れ返ったスーツケースを見詰める。
黙って頷くしかない。
TバックやGストは何枚も持ってきたのに、フルバックは一枚も入っていなかった。
「ヤマトさんらしいな。
ちゃんと用意してあるぜ。
これ穿けよ。」
二枚の水着が放り投げられた。
オレンジとブルーの色違いだ。
オレンジを手に取り、穿いてみる。
Vカットの水着で、バック部も極力小さい。
そんな心遣いが嬉しかった。
 
パトンビーチは活気があった。
「こんにちは。」
「ありがとございます。」
「社長さん、安いよ。」
擦れ違う度に売り子達は片言の日本語で話し掛けてくる。
「おお、ここだ。
ヤマトさんの大好きなゲイビーチに到着。」
タケルがおどけて言う。
周りを見回すと、圧倒的に男ばかりだ。
タケルが呼び込みの男の子と交渉している。
「ヤマトさんもビールでいい?」
その問い掛けに大きく頷く。
強い過ぎる陽射しで喉がカラカラだ。
タイ人の男の子がデッキチェア二台を用意する。
箒で砂を掃き、ビーチタオルを敷く。
寝そべると、眩しい太陽が照り付けた。
「気持ちいい!」
大声で叫ぶと、周囲の外人がみんな振り向く。
周りは欧米の年配者が多い。
視線が合っても逸らすことなく、ニコニコしている。
さっきの男の子がシーハビールを持って来てくれた。
タケルがスマートに料金を払う。
「ではプーケットに乾杯だ。」
掲げられたビールも太陽を浴びる。
「乾杯!」釣られて、声高にビールを重ねた。
「いくらだった?」
タイの相場が分からない。
「フィーがひとり100バーツで、ビールが一本70バーツ。
だから日本円で500円ちょっとだな。」
説明しながらタケルがサーフパンツを脱ぐ。
ボックス型の水着を穿いていた。
巨根の型がはっきりと分かる。
「俺も一度はそんな小せぇビキニを穿いてみたいよ。」
視線に気付いたタケルが冗談を言う。
「小さいビキニの似合う体型で悪かったな!」
口を尖らせ言うと、タケルは大笑いした。
 
 
(つづく)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

消防士の義兄との秘密

熊次郎
BL
翔は5歳年上の義兄の大輔と急接近する。憧れの気持ちが欲望に塗れていく。たくらみが膨れ上がる。

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

支配された捜査員達はステージの上で恥辱ショーの開始を告げる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

泥々の川

フロイライン
恋愛
昭和四十九年大阪 中学三年の友谷袮留は、劣悪な家庭環境の中にありながら前向きに生きていた。 しかし、ろくでなしの父親誠の犠牲となり、ささやかな幸せさえも奪われてしまう。

処理中です...